『ガロン領へ1』
今回は短め
ギルドで正式な指名依頼にしてもらい、依頼をうけて、今俺たちはガロン領へ向かっていた。
「最近、坊主たちは俺の馬車をよく利用しているな」
「だって、これが1番目立たないからね。臭い以外でね」
「そうそう、ゼロ様の言う通り1番確実な移動手段ですもんね。臭い以外はですけどね」
「うむ、主殿は今回、自分がいた場所に戻ることになるのじゃが、一応そこは貴族領。下手に目立って周りからあらぬ疑いをかけられるのは避けたいからのぉ。臭い以外目立たぬ移動手段で最適なのじゃよ」
「お前らわざとか?わざと臭いを強調していないか?料金を一応とるんだぞ?割り増しにしてやろうか?」
「「「いえいえ別にそんなつもりはありませんよ臭い以外は」」」
「息ピッタリ合わせているじゃねーか‼︎しかも結局臭いのこといっているじゃん‼︎」
アンネルさんにツッコミをいれられながら、そのアンネルさんの馬車でいま、その噂がでたフォントス村に向かっているのであった。
一応本来ならその地の領主である両親にも挨拶をしておくべきだろうが、強欲な家族のことだ。王都に来て言わなかったが、仕送りを大量に請求しようとするだろう。その領を離れて3年になるが、すでに俺についての情報は知っているはずであろう。だが、念のために俺にちょっかいかけてきたらそく領地没収となるような命令書を王宮が先にだしているはずだ。
「一応主殿の生みの親なのだから顔ぐらい見せればいいのにのぉ」
「だって生まれてこの方興味持たれていなかったからね。どうせ今は次期当主候補として長男と次男を育てているからね。ついでに生まれた俺のことなんてどうでもいいんだろ」
「主殿の悲しい一面を見た気がするの・・・」
「なんかこう、かわいそうに思えてきましたね」
「ま、生まれてこの方愛情は受けていなかったし、優しくしてくれたのがミットさんだけだったからね。ミットさんがやめたのをきっかけに縁でも切ろうかな・・・」
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ガロン領にある新築の屋敷にて、当主であるフォン・ガロン・ヨクゴは王都から届いた命令書を読んでいた。
「なるほど、あの息子が今領内に帰ってくるのか・・・。王都にてかなりの功績をあげているようだから、その分もらえているであろう金を送ってくればいいものを。全く送ってこないてたは親不孝にもほどがあるわ!!」
「そうですね父上。我が家は由緒正しい伯爵家なのに、あのような魔物使いなどという人類の敵でもあるようなモンスターを仲間にする職業になっていますもんね」
「しかも、あの野郎魔法の才能まで隠していたようだぞ。王都に現れた怪物を氷の魔法で倒したという話だしな。あの10歳の時には魔法の才能はないといわれていたからうちから追い出して冒険者にしてしまったが、魔法使いとして育てなかったことを悔やまれるな。魔法使いになってその才能を国にかってもらえればうちもいくらかは金が回ってきただろうに」
「だったら父上、今すぐにでもあいつのところに行って請求してくればいいじゃないですか。これまで一応屋敷で育てられたのだからその養育費としてね」
「だが、この命令書が問題だ。ゼロは今回村で噂になっていることの調査としてここに来るらしい。でだ、その時に家が関わりを持つのは禁止で、少しでもちょっかいをかければ即座に領地没収となっておる」
「なんですかその無茶苦茶な命令は!!あいつだって一応血縁だから請求しに行くぐらいはいいでしょうが!!」
その内容にヨクゴと、その息子の長男バカンは揃って憤慨した。ちなみに次男のドアンはこの日は領内の別の村に行っていて屋敷にはいなかったのである。
「ふう、最近怒りで血が上るとあたまがくらくらする」
「父上も年ですもんね。もういい加減に当主の座を渡してくれませんか?」
「いや、まだお前には早い。もっと農民どもからうまいこと税を搾り取る方法を学べ」
「そうですか・・・」
「ま、ゼロのことはもう気にするな。手出しができぬならほっとけばよい。どうせ何もできんだろうからな」
当主の部屋をでたバカンは、そのまま自分の部屋に向かった。
その部屋にはすでに3人の人影があった。
「なあ、お前たちなんとかゼロからも金を搾り取ることができないか?」
「そうですね・・・ゼロさんですか。あの方は王都でそりゃもう簡単に怪物を退治できてしまう方ですからね。下手すると我々の首もとられてしまうので・・」
「なら、お前たちが研究に使っているという人の数を増やしてやる。そうだな、フォントス村から新たに5人好きに使うがよい。まあ、何も使っていないようだがな」
「いえいえ、結構使いますよ。世間では何もせずにただ空に飛ばしているだけと思われていますが、立派な実験をしていますからね。そうですね・・もう5人増やせませんか?」
「わかった。それで手を打とう。だが、必ずゼロから有り金を搾り取ってくるのだぞ!!」
「わかりましたですよはい」
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バカンの部屋から出た3人は、そのまま村に向かった。
「しかし、あの人たちは何もわかっていないようですね。自分たちよりも格下の冒険者だと見下したりしているから何もわからなくなってしまう」
「ドラゴンを従魔にしている時点で相当な実力者だと分かればいいのに。本当に愚かな人間どもですよ」
「ま、愚かだからこそ我々がやっている実験には気が付かないんでしょうね」
「ですが、あのゼロが調査すると我々のことを見つけてしまう恐れがあります」
「いいんですよ。どうせ、我々の方から仕えてみたいと思える方ですからね。「あのお方」の可能性だってかなりありますしね」
「愚かな人間たちの一人とは思えないな・・・ま、私たちも昔は人間ですから人のことは言えませんがね」
「とりあえず、今夜も襲いましょうか。許可はもらえましたもんね」
「金の点はどうするのだ?搾り取れと言われてもそんなことはできないだろう?}
「いや、いい考えがあるんですよ」
「「え、あなたが考えたやつですか・・・」」
「なんでそんなこと言うんですかねぇ・・」
話ながら、その三人は村へと早足で急いだのであった・・・。
久しぶりの謎の3人組登場。果たしてゼロとの接触はあるのか!!




