『休暇の終わり・災厄到来』
カトレアってなんかおとなしい感じだな。
他の従魔たちが元気すぎるだけなのかな?
カトレアが仲間になり、俺たちは一旦宿に戻り寝て、次の日になった。
「よし、それじゃあアルテミス、昨日と同じように様子を見に行ってくれ」
「わかったのじ「大変ですゼロさん!」ん?」
いきなり声が宿に響き渡った。その声の出所を見ると、そこにはギルドマスターのアポさんがどうやら焦った様子でいた。
どうもただことではない気がする。
「アポさん、どうしたんですか?」
「レヴィアタンとシーサーペントがポセイドンクラーケンから離れてどこかへ行ってしまったようです‼︎そして、ポセイドンクラーケンが陸上に上がり始めたそうです‼︎」
「なんだって⁉︎」
仮に陸上に上がるにしても、あと2日ほどは余裕があったはずだ。
「おそらくじゃが、説得が失敗したのじゃろうな。で、なんとなく上から説得された事にイラついて予定より早く行動を開始したのじゃろう」
「なるほどそういうこと、って言っている場合じゃないじゃん⁉︎」
さすがにまずい事態になっているようなので、俺たちは慌ててポセイドンクラーケンがいた海岸まで走った。
「うわぁ、でっかいな・・・」
着くと、海面に二本の槍のようになっている触腕があった。
見ていると、それをいきなり浜辺に刺した。
「一体どうする気なんだ?」
「あの触腕を地面に刺し、それを使って自身の体を海底から牽引しておるのじゃろう。体が重くて海底を歩いている感じじゃったから浮かべないのじゃろう」
「どれぐらいであがってくるかな?」
「たぶんあと30分ほどじゃな」
意外にも猶予はあった。
「アポさん、これからあのイカが陸上に自分で上がる前に網をつかって捕獲して、海面に氷魔法で足場を作り、そこに引きずり上げて戦います。なので念のために避難を呼びかけてください」
「わ、わかりました。ご武運を」
アポさんがギルドで避難を呼びかけに行ったのを見届け、まず、網を使うことにした。
「ハクロ、網を早く投擲してくれ」
「了解‼︎」
あらかじめ作っておいた網を海に投げ入れた。
「アルテミスはその網でなんとかポセイドンクラーケンを捕獲して少し待ってくれ!その間に魔法で足場を作る!」
「わかったのじゃ!」
アルテミスがドラゴンの姿になり、網をつかんでなんとかポセイドンクラーケンを捕獲しようとしている間に、俺は氷魔法を使って足場を作ることにした。
「大体このぐらいのサイズで凍れ‼︎『アイス・フィールド』‼︎」
魔法を発動させるど、みるみるうちに海面が凍り、あっと言う間に氷の大地ができた。
「アルテミス、この上にポセイドンクラーケンを乗せるんだ!」
「わかったのじゃ!」
網をつかんだアルテミスは、背負い投げの要領で一気に網を引きずり上げて、捕獲されているポセイドンクラーケンを叩きつけた。
氷に少しヒビが入ったが、それでもかなり厚いらしく、まだ大丈夫そうだった。
網にかかって、身動きが取れなくなっているポセイドンクラーケンをみると、怒っているのか体の色がすごく赤くなっていた。
「ギシャァァァァァァァァア‼︎」
「結構嫌な鳴き声だな。だが、そこまでだ‼︎アルテミス、ブレスを思いっ切りお見舞いしてやれ‼︎」
「『ファイヤー・バーストブレス』‼︎」
アルテミスが超強力な炎のブレスをはき、ポセイドンクラーケンは網ごと炎に包まれていったのであった・・・。
ポセイドンクラーケン、やっと出番きたのに。




