『謎の気配と原因』
本日は本当に多く投稿できたな。
次の日、俺たちはとりあえず港町を見てまわることにした。
「さすが港町、王都ほどではないとはいえ結構にぎわっているよなー」
「うう、生臭いのじゃ・・・」
「とりあえず従魔用空間に戻ったほうがいいんじゃないですか?私としてはゼロ様を独占できるのですけど」
「たわけ!今こそ克服のチャンスなんじゃ!そう簡単に逃げてたまるか!」
「ネーネー、マスター」
「アノサカナデカイヨー」
「うわ!でかっ!?」
どうやら北の方でとれた魚のようであった。この世界の海ではモンスターと、そうではない魚が混同しているが、食べられるものなら関係なく流通するようだった。
「ん?」
「どうしたんですかゼロ様?」
「いや、今なんか誰かに見られていたような気が・・・?」
「周りの人たちからじゃないですかね?今私たち目立っていますし」
確かに周りから見れば俺たちは目立っていた。
普通のアラクネとは違い、上半身が人間の女性とほぼ同じで美しいハクロ。かわいらしい容姿で老若男女に幅広く可愛がられるスラ太郎。身長が2メートルほどの高さを誇り、鱗がところどころに見えるがモデルのような美しさを見せるアルテミス。
彼女たちを連れて歩けばそりゃ確かに目立つが・・・・。
「でもなぁ、なんかこう違うんだよな」
なんかこう、じっと見られているような?
「ハクロ、お前の糸で何かわからないか?」
「うーん、人が多いのでわかりませんね」
人が多いところではその能力もあまり役に立たなさそうであった。
「じゃが、嫉妬などが主殿に向けられているのはわかるが、そんなじっと見るような気配なんて感じんぞ」
「やっぱ気のせいかな?」
なんかもやもやしながら、とりあえず今どうなっているか調べるために昨日と同じ場所でアルテミスに潜って調べてもらうことにした。
「変わりはないようじゃ。説得をあれからすでに長いこと続けておるようじゃがポセイドンクラーケンは聞く耳を持たないようじゃ」
「イカに耳ってあるのでしょうかね?そもそも水の中だと音が聞こえないような」
「ハクロ、お主勉強不足じゃの。一応水中でも音は聞こえるんじゃ。水の中じゃと音は空気中よりもより早く伝わるんじゃ。そのため水の中で音を使って通信する手段を持つ者もおる。ただまあ、実をいうと普通に水中で話しても聞こえんじゃろ。せいぜい自分の周りだけのみじゃ」
「あれ?でもアルテミスはどうやって聞いているんだ?」
「ああ、あいつらはたんに念話で会話しとる。その受信領域に合わせただけじゃ」
「てことはそのイカが合わせていなかったら」
「聞いておらぬであろうな」
「・・・意味なくない?」
それってつまり、説得が無駄なのでは・・・。
「じゃが、話し合いは心からじゃ。心が伝われば言葉が通じなくてもわかるのじゃ」
「なんかまともないいこと言っていますね」
「普段から我はまともじゃろうがーーーーーーーー!!」
確かに、一番まともな思考をしているかもしれない。一応長いこと生きてきているんだし、それなりに常識は知っているんだろうな。
「ん?まただ」
「どうしたんじゃ主殿?」
「いや、またさっきとおなじ感じの視線を感じたからな。やっぱ気のせいじゃないのかな?」
「ちょい待て・・・・・・・そこじゃ!そこの建物の陰に隠れておるな!!」
アルテミスがあたりに集中して気配を探すと、どうやら誰かがいたらしい。
「ん?この気配、お主、人ではないな。姿を現せ!!」
アルテミスがそう叫ぶと、その建物の物陰から何かが出てきた。
その姿に、俺たちは驚いた。
一瞬、人かと思ったら少し違う。アルテミスの言う通り人ではなかった。ただ、モンスター化と言われればどう答えればいいのかわからなかった。
その容姿は人間に見えるハクロと少し違い、どちらかと言えば、妖艶ともいえるダークエルフのような見た目だった。少し褐色の肌をし、髪は明るい黄緑色のような長髪。目は黄色。手足も細長く、器用そうな感じ。
ただ、その足元から生えてきている、木の根のようなものに座っていた。それだけで人ではなく、モンスターであることは間違いないようだった。
「お主、もしかしてドリアードか?それにしては人に近すぎる見た目をしておる」
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『ドリアード』
植物型モンスター。見た目は人に近いが足や手から葉っぱや木の根なんかが生えている。植物に深く関わりそのことに関係することのプロフェッショナルなモンスター。しかし、見た目が美しいものが多いため乱獲され、近年では乱獲が禁止されている絶滅危惧種となってしまったモンスターでもある。エルフたちとは仲がいい。ランクはBクラスだが、おとなしいため乱獲されたという。
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アルテミスのその質問にも黙ったままで、なぜか無表情だった。そして、その眼は俺にじっと向けられたかと思うと、その口の両端が少し上がったような気がした。
『ドリアード(?)は仲間になりたいようだ。>従魔にしますか?』
あ、なんか久しぶりにその選択見たな。というか、ハクロの時と同じように(?)が付いているってことは普通のドリアードじゃないのか?見た目からしてすでに普通ではないが。
「・・・従魔になりたいのか?」
尋ねると、そいつはうなずいた。
「え、ゼロ様、このモンスターを従魔にするんですか?なんか怪しいんですけど」
「奇遇じゃな。我も同意見じゃ。まあ、主殿が決めるなら別にかまわぬが」
「それじゃあ、従魔にするよ。そうだ、名前も付けないとな。お前の名前は・・・『カトレア』だ」
魔法陣が俺の足元と、そのモンスターの足元で光ってすぐに消えた。これで従魔にできたはずである。
鑑定してステータスを見てみた。
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名前:『カトレア』
種族:チャームドリアード
年齢:7000歳
MP:98000
ATK:2400
DF:930
スキル:「従魔の絆」「大地の恵み」「母性愛」「土の精霊王の加護」「妖艶」「癒しの光」「造形」「空間収納」「隠密」
称号:「千年魔物」「ストーカー」「木の人形使い」「森の守護神」
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MPが飛びぬけて高いな。それに他は見たことないのが混じっているな。というかなんか見たくなかったものまであるんだけど。
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『チャームドリアード』
植物型モンスター。見た目が完全に人、むしろダークエルフに近くなっている。大昔に国を傾けたといわれているほど美しい。ドリアードの希少種。だが、ほとんどの場合、その見た目から襲われて乱獲されてしまう。しかし、このモンスターは自身を死に至らしめて死んでしまう。そのため、今ではほとんど見ることができない。
「大地の恵み」・・・大地の恵みで、植物を自由自在に成長させられる。また、土や栄養がない場所でも自身の魔力により植物を育てられる。
「母性愛」・・・母性愛。ほっとさせるような雰囲気にさせる。
「土の精霊王の加護」・・・鉱石や植物など大地に関することに対しての能力があがる。
「妖艶」・・・その姿を見るだけで、魅了される。一応、魅了状態という扱いにはならない。
「造形」・・・様々なものを作れるようになる。ただし、材料がないとダメ。ゴーレムが制作可能になる。
「隠密」・・・気配を完全に消せる。
「ストーカー」・・・特定の相手を追い続けた者につく。
「木の人形使い」・・・ウッドゴーレムを多く使用したものにつく。
「森の守護神」・・・森に長いこと移住し、その森を守り続けた。
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なんかすごい感じだな。納得はできるけど、なんでそんなモンスターがここに?
「じーーーーーーーーーーーーーっ」
「うわぁ!?」
いつの間にか目の前まで迫ってきていたよ!隠密のスキルかよ!!
「えっと、とりあえずだな、これからよろしくな、カトレア。」
「・・・よろしく」
なんかあれだな。見た目としては妖艶だけど、精神年齢がどう考えてもスラ太郎と同じレベルな気がしてならない。
「えっと、ゼロ様の従魔になったんですよね?私はハクロ、よろしくね?」
「我はアルテミスじゃ。主殿が決めたことだし歓迎するぞ」
「ワタシハスラ太郎。ヨロシクー!」
「・・・よろしくお願いいたします。先輩方」
「いや、先輩とかそういうのは別に関係ないのですけど」
「年齢が違うからな」
「ソウソウ」
「・・・じゃあ、普通に名前で呼びますね。たった今、このお方に名前を付けてもらいましたカトレアです。よろしくお願いいたします」
なんかまたみんなと違うタイプの子だな。冷静というか、落ち着いているというか。
「それでは、あの、あなたは何て呼べばいいのでしょうか?ご主人様と呼べばいいのでしょうか?」
「いや、別に好きに呼んでいいんだが。俺の名前はゼロだしな」
「私はゼロ様と呼んでいますよ」
「我は主殿と呼んでおる」
「マスターダヨ?」
「そうですか。では、これからご主人と呼ばせていただきます」
「あんまり変わっていないと思うんだけど。ま、これからよろしくな」
「はい、ご主人」
なんか、カトレアが従魔になった。ポセイドンクラーケンの討伐だったのになんか従魔が増えたな。
あれ?でもこの子どこからこの港町に来たんだ?ストーカーが付いていたということは結構遠いところからかな?そこはあんまり考えたくないが・・・。
カトレアの花言葉は「優美な貴婦人」「成熟した大人の魅力」「魔力」「魅惑的」だそうです。ネットで調べましたが、たぶんあっています。
今回新たに従魔が加わりました。このカトレアもみなさんよろしくお願いいたします。
「よろしくお願いいたします」




