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90 座敷わらし、ラトレルさんを仲間に誘う

 私たちの部屋でベッドの一台にラトレルさんが、もう一台に十也と私が座り話をすることにした。


 部屋が狭いので本当は食堂を借りた方がよかったのかもしれないが、他の人間に話を聞かれたくないので仕方ない。


「例えばだが、ラトレルさんと私たちがパーティを組んだらラトレルさんは割に合わないと思うか。今は十也は戦力にならんが、その分私がどうにかするつもりだ。報酬も生活費だけあれば後はラトレルさんの取り分で構わない」


 私たちが頼れるのはやはりラトレルさんしかいない。迷惑が掛かったとしてもお願いするしかなかった。


「早急にランク上げするには魔物を倒す必要がある。しかも強いやつだ。私だけでは十也をつれてテンゴウ山の奥には行けない。狼が出る場所に二人だけでは危険すぎるから、ラトレルさんの力を借りたい」


 ラトレルさんは返事に迷っているようだった。


「君たちくらいの子がFランクからひとつランクを上げるのは一、二年かけてなんだよ。Eランクからはもっと掛かるのが普通だ。なんでそんなに急ぐ必要があるんだ」


 理由を聞かれてもそれは答えられない。


「十也の防御力を上げたいだけだ。少なくともDランクにはしておきたい。たぶんランクが上がるにつれ身体能力も上がるはずだからな」


「危険な場所にいくつもりなのかい。だったら余計に手はかせないよ」


「――僕たちはBランク冒険者のアーサーにどうしても会いにいかなければいけないんです。とりあえず今回は一目見るだけでもいい。今を逃したら次にいつ会えるかわからないから姿だけでも覚えておきたい。だけど、いずれアーサーと行動を共にする必要があって。僕たちの未来に関して絶対に譲れないほど大事なことなんです」


「悪いけど、俺はもうパーティを組まないことに決めているんだ」


「それなら、パーティではなくていい。私たちがここにいる間だけ力を貸してほしい」


「お願いします。こんなことラトレルさんしか頼める人がいないんです」



「君たちの気持ちはわかった。だけど、なぜ俺が仲間をつくるつもりがないのか話すから聞いてくれないか」


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