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55 座敷わらし、獲物を探す

 次の日、朝食をすませてから十也と一緒にセンターへ足を運んだ。


 十也はセンターで魔物や魔法についての本を読むそうだ。持ち出し禁止の書棚と読書用の立ち読みカウンターは、依頼掲示板の奥の一角なので、同じフロアだから別行動でも大丈夫らしい。


 私は依頼掲示板の前を端から確認していた。★1から★3までは、大型の魔物の依頼は載っていなかった。


 報酬が高額になる魔物だと★4だが、灰狼(ハイロウ)黒狼(コクロウ)紫狼(シロウ)の討伐と私が苦手としている狼が多い。生息地は樹海全体。


 何故狼ばかりかというと影狼(カゲロウ)と一緒で個体数が多く危険度が高い魔物だから数を減らしたいそうだ。ちなみに影狼(カゲロウ)は★5に掲載されている。


 あとは金貨一枚という高額報酬で鉱鳳(コウホウ)という金属を食べて身体の中で魔力と融合させた魔力玉というものを体内に持つ珍しい鳥が載っていた。


 魔力玉は魔道具に使うそうだが生息地が山の頂上付近なので迷って樹海に降りてきたものを狙うしかないらしい。


 山頂まで行けば捕獲し放題だが、難易度の高い登山をしなければならないのでAランク、Sランクの冒険者でもなければとても無理だ。


 魔鹿(マジカ)の角も載っているが生息地は樹海の北側と東側の全域、随時依頼は角だけなので、死んでいたり、何かの事故で折れて山に落ちていたものでも可になっている。


 もちろん捕獲したものだと、革や肉も買い取ってもらえるので報酬はとても高くなる。


 正確な生息地がわかっている魔物は沼蜥蜴(ヌマトカゲ)沼蟹(ヌマガニ)だ。共に樹海にある沼に生息しているそうだが、ドロドロの沼の中にいるため捕獲が難しい。


 沼蜥蜴はサイズが小さいのでトカゲと名前がついているが、竜種に近く耐久性の良い素材が取れる。


 しかし沼に潜んでいてとても見つけずらく、最近は全く捕まらないそうだ。


 沼蟹は全長が三十~五十センチほどあり肉は高級食材、甲羅は万能薬の原料になる。


 しかし外観はトゲトゲしていてその棘には毒がある。直接触り毒棘が刺さってしまった場合、のた打ち回るほどの激痛を覚悟しなければいけないので、とても危ないらしい。


 死に至るほどの毒ではないそうだが、過去には沼に落ち、数匹に刺された痛みでショック死した冒険者もいたようだ。


 赤熊(アカグマ)飛蜘蛛(ヒグモ)は生息地まで一週間ほど掛かる。

 赤熊は赤毛の巨体で、一週間も掛かる山の中から持って帰るのが大変だし、ヒグモは全長一メートルを超える大型の蜘蛛で、脚は美味いらしいが、蜘蛛なのにジャンプしてかなり高く飛ぶそうだから、私には捕まえることができない思う。


 冒険者は得手不得手があり、私には無理だと思っている魔物でもそれぞれの討伐を得意とし、鉱鳳と沼蜥蜴以外は定期的に納入する冒険者パーティがいるそうだ。


 私も魔鹿の居場所さえわかれば捕獲可能だと思うのだが、生息範囲が北側、東側全体では広すぎて見つけることが難しい。


 偶然出会うのを待つしかない。


 ★6の依頼は山脈の険しい場所に生息している魔物ばかりでたどり着くこと自体が困難だ。


 他には盗賊や窃盗団の討伐で対人戦が多い。

 人間相手はその後のことも含め何が起こるかわからないので、やむを得ない事情がない限り出来るだけ避けたい。


 掲示板の中でひとつだけ気になった依頼がある。★5なのだが、この前、猿を譲ってもらった大鷲に似た岩鳥(ロックチョウ)の卵の依頼だ。


 卵から人工孵化させ騎乗用に育てるそうだ。まず納入時で中身が生きていれば金貨二枚、死んでいても殻が役立つらしく銀貨一枚。

 持ち帰った卵が施設で孵化に成功した場合追加で金貨二十枚が報酬として支払われるそうで、


 ギャンブル的な要素はあるものの高報酬だ。


 巣の場所は冒険者ギルドでいくつか把握しているのでわざわざ自分で探す必要もない。


 妖精化できる私であれば巣までは親鳥に気づかれないで近づける。卵を盗ってからの帰り道さえ気をつければいけると思うのだがどうだろうか。


 一度試してみてもいいかもしれない。しかしこれはかなり危険を伴うので、十也はおいてネコと二人で出かけようと思っている。


 明日は場所がわかっていて日帰りできる沼に行ってみることに決めた。

 私なら激痛でのた打ち回ることはないと思うので、沼蜥蜴と沼蟹の捕獲を頑張ってみるつもりだ。


 とりあえず受付で沼について必要なことを教えてもらい、本を読んでいた十也に声をかけた。


 十也と一緒にセンターを出て屋台でコロッケのようなものを買って食べた後、前から確かめたいことがあったので、静水館に帰る前に武器屋の髭もじゃに会いに行くことにした。


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