オルゴールが紡いだ喧嘩した兄妹へのギフト?
(;^_^A 初めましての人、久方ぶりの人、閲覧ありがとうございます。ひっそりこっそりお恥ずかしいですが、ご興味のある人は読んでいただけたら嬉しいです。
小さな家に、兄と妹が暮らしていました。
兄の一番の宝物は、銀色にきらきら光る自転車。
妹の宝物は、舞踏会の音楽が流れ、音色に合わせて少年と少女の人形がくるくる踊るオルゴール。
ある日、妹がうっかり兄の自転車を壊してしまい大喧嘩に。兄は怒り、喧嘩の最中に今度は彼が妹のオルゴールを床に落として壊してしまいました。小さな歯車が散らばり、二度と音は鳴りません。
二人は口をきかなくなりました。
木枯らしが吹くある寒い日、妹が高熱を出して寝込みました。兄は心配でたまりません。彼は自分が二番目に大切にしているきらきらした宝石のついた金の懐中時計を売り、薬を買いました。残りのお金で、街の古道具屋で見つけた、妹のオルゴールに似た物を買いました。蓋を開けると、きらきらした音色が流れ、音に合わせて兄妹の熊が楽しく動きます。
実は妹も、喧嘩の後ずっと後悔していました。彼女は、兄の自転車と同じものを街で見つけ、それを買うため、オルゴールの次に好きな何枚ものハンカチに夜なべで刺繍をしました。花や星をきらきらと縫い、雨の日に立ち売りして得たお金で、自転車を買いに行きました。その帰り、ずぶ濡れになり風邪をひいたのです。
二人は、お互いが二番目に大切なものと引き換えに、相手の一番の宝物を買い直したのです。
妹の熱が下がった朝、兄は妹の部屋へ行き、そっと新しいオルゴールを枕元に置きました。妹が目を覚ますと、それを見て驚き、そして
「合い言葉は……『ごめんね』」
と囁くと包みを渡しました。兄が包みを開けると、中身はきらきら光る自転車の鍵。
そして彼女は兄を裏庭に連れ出しました。そこには、ぴかぴかに磨かれた、新しい銀色の自転車が立っています。
兄は目を大きく見開き、そして笑いました。
「仲直りしよう」
兄はキッチンで、ふわふわのホットケーキを焼きました。窓の外では木枯らしが吹いていましたが、家中が甘い香りと温もりでいっぱいです。
オルゴールが優しい音色を奏で、自転車のベルが、小さな家に幸せなハーモニーを奏でます。
二人はテーブルを囲み、きらきらと蜂蜜をかけたホットケーキを一緒に食べました。そっと手を握り合います。一番大切なのは、形ある宝物でなく、きらきらしたお互いを思う心だと、二人は知ったのでした。
おしまい
登場人物のイメージは別サイトで書いてた兄妹キャラから、兄は小説の執筆代で、妹はお団子売ったアルバイト代で…とかだとそのまんまになってしまうので、懐中時計と刺繍ハンカチになっちゃいました。
m(_ _)m 拙い架空話をお読みいただき本当にありがとうございました。




