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いつか終わる世界に  作者: 作者です
上級ダンジョン【町】初挑戦編
46/133

5話 上級【町】初挑戦


 ラウロは装備の鎖より、将革の鎧兜をまとう。


 革に打ち込まれた鋼板や鎖帷子は兵のままなので、小盾も含めて上級で王鋼へと改良したい。



 グイドが時空紋に手をそえる。


「ではご武運を」


「安全第一っすよ」


 四名がうなずくと同時に、時空紋が輝きを増した。

 

・・

・・


 降り立ったのは石畳の道であり、幅はそこまで広くない。


「これは話に聞いていた以上ね」


「うん。酷い」


 二階建ての壁が一部崩れており、瓦礫が道にまで落ちていた。


 細い通路は塞がれている。それは建物の残骸ではなく、通れないようにしたバリケード。


「とりあえず、居場所を確認しましょう」


 レベリオはコンパスを見て。


「方角は南東です。ラウロさん、高所からの確認をお願いできますか」


「おうよ」


 ラウロは〖聖なる足場〗を使い、まずは周囲を見渡せる位置まで上がる。敵に見つかるのも怖いので、慎重に進めて行く。


 マリカは肌で風を感じ取り。


「敵はいないよー」


 アリーダは近場の無事な建物の前へ。


「とりあえず、最初は安全確認しながらね」

 

 片手剣を抜き、ドアノブに手をそえる。


「鍵かかってるわ」


 レベリオはその後ろに立っていた。


「そっちの建物も確かめましょう。中に入るのはまだ止めておきます」


 その後も何件か調べたが、開いていたのは三件中一つ。


「もし神像とかあるなら、鍵かかってる所よね」


「窓などは閉じられてますが、壊すことは出来るかな」


 本来ある木窓ではなく、板と角材を釘で打ち付けてある。


「鍵かかってるお家、二階からなら行けそーかな?」


 壁には女性なら入れそうな穴があいていた。


「もし進入するなら、一階の窓から皆で行きましょう」


「なんか火事場泥棒みたいで気が引けるわね」


 実際に建物のなか探索する行為は、【町】だとそう呼ばれてたりする。


 レベリオはどこか活き活きとした声で。


「ダンジョンであることに違いはありません」


 これまでにないほど、楽しそうにしていた。




 空を見上げ。


「どうでしょうか?」


 ラウロは周囲を見渡していたが、地面に〖足場〗をつくり、そこに着地すると。


「全員で見た方が良い」


 上空の〖足場〗を消す。


・・

・・


 四方を囲む町壁の中には、それを一回り小さくした内壁。


 所どころから黒い煙が上がっていた。


 町壁は一部が崩れかけており、内壁の上部には敵対者と思われる姿が。遠目なのであれだが、たぶん骨鬼か。



 だがそれよりも目に引く建築物があった。


 ここからでは角度的に見にくいが、針は七時半をさしている。


「あれって時計塔かなぁ?」


「塔というよりは神殿のようにも見えますね」


 内壁の中は緩やかな丘のようになっている気がする。中心部と思われる場所には、上部に時計のついた大神殿。


「これはもう町じゃないわね。少なくともゴーワズと同規模よ」


 マリカは一方を指さし。


「北側に飛ばされた人たち、あれじゃ南門までこれないじゃん」


 ラウロはうなずくと。


「南北遮断壁とでも言えば良いのかね?」


 内壁と町壁(東)を繋ぐように、都市内を遮る壁が通っていた。高さとしては町壁や内壁よりも低い。


「とりあえず僕らは設営予定地を目指しましょう」


 南壁は近いので、転移された位置としては当たりだ。


・・

・・


 マリカの〖風読〗だけでなく、各々が警戒しながら町中を進む。


 火事場泥棒はもう少し距離を詰めてからと決まった。


「神殿の時計ですが東面にはなかったので、南もしくは北にだけあるようですね」


 コンパスがなくても、見渡せる位置までいけば、大神殿からおおよその方角も分かりそうだ。


 大通りは避けた方が良いと聞いていたので、なるべく封鎖されていない細い道を通っていく。


 

 ラウロは建物からの襲撃を警戒して、二階の窓を注視しながら。


「本来の【町】はたぶんもっと小規模だよな。こういう景色はなかったはずだ」


 ここら辺はどうやら壊された建物も少ないようで、敵とも遭遇しないからか、普通に町を歩いている感覚になっしまいそう。


「水路とかあるのかしら」


 鍛冶場や工房。


「武具屋とかな」


「それこそ壊したら時空紋だよ~」


 レベリオは警戒を続けながらも。


「鍵などが入手できれば、そういった施設にも入れるんですが」


 強化個体や罠の紋章での報酬など。


「武器や防具が沢山あったりしてな」

 

 【町】では確認できなかったそれら店舗だが、今の【町】となれば期待もしてしまう。


「どうも気が緩んでしまいますね」


「う~ん 大通り以外は、敵の気配ないんだよねぇ」


 〖風読〗に頼りながらも南門を目指す。


・・

・・


 道幅は広くもないが余裕はある。それでも両側の建物がまあまあ高いので、すこし圧迫感があった。



 マリカは装備の鎖より弓と矢筒を取りだし。


「屋根の上に反応でたよ。今のところ十体だけど、空気の流れ的にまだ増えそう」


 急ということは待ち伏せではなく、時空紋からの出現と思われる。



 【町】での遭遇パターンはすでに把握していた。


「ラウロお願い」


「はいよ」


 〖夕暮〗の斬撃をアリーダに当てた。どんなに弱くても攻撃判定があれば、問題なく〖夜入〗は発生する。


 今は午前中。太陽は確認できないが、視界はすこぶる良好。


 ラウロが〖聖壁〗を頭上に展開させると、アリーダはその下にひとまず隠れる。



 レベリオが〖我が盾〗と〖貴様らが盾〗を発動。


 盾の光が物理判定を得て広がれば、マリカがレベリオの傘下へと片膝をついて潜り込む。


「その位置から狙えそうですか?」


 王鋼の盾を取りだし、斜め上方からの矢に備える。


「うん大丈夫」


 ラウロは小丸盾で矢を防ぎながら。


「敵の種類はなんだ?」


「ゴブリンね」


 アリーダは〖聖壁〗の下から逆上がりの要領で飛び乗る。


「援護頼むわよ」


 〖空刃斬〗で敵を牽制しながら、〖足場〗を階段状に展開させていく。



 小鬼の姿は見えるが、こちらに矢を放っては隠れてしまう。壁との距離が近すぎて、かなり不利だった。


「〖雨〗はちょっと無理かな」


 〖風矢の友〗を周囲にばら撒く。


 マリカはしゃがみながらも、鏃を上に向けて発射させた。


 だが彼女の矢は命中せず、そのまま屋根の上へと通り抜けて行く。


 馬鹿にしたような笑いが耳に届くが、後を追っていた〖友〗たちが、急旋回をしてゴブリンに突き刺さった。



 マリカの援護を受けながら、アリーダはラウロの操作する〖足場〗を使い高度を上げて行く。


「俺も転移するぞ」


 この場に〖聖域〗を展開。


 〖貴様が盾〗で身を守りながら、駆け上がっていくアリーダの姿を見つめ。


「こっちに暗闇はいるか?」


「〖足場〗があれば高所からの着地でも平気ですし、今回はなしで行きましょう」


 アリーダが屋根に到着。


「矢で狙うのは二人とは逆側の建物に集中させてください」


「はーい」


 ラウロは兵鋼の刃を浅く握り〖無月〗を発動。ゆっくりと闇が全身に広がっていく。


「地面の方に援軍が来たら、俺も援護すっから」


「今のとこ空気に変化ないかな」


「よろしくお願いします」


 闇に包まれ、オッサンは姿を消した。



 屋根上にて。


「使っちゃ駄目だぞ」


「分かってるわよ」


 消費する神力や使用後の疲労などを考えると、〖紅〗はボス戦や強力個体専用の技と思われる。


 近場の小鬼が得物を弓から短剣に交換していた。


 〖聖域〗を展開。この場は屋根上で狭いこともあり、聖なる光は途中で途切れる。


「足もと不安定だから気をつけろよ」


「あんたもね」


 ラウロはサポートに徹する。死角となる位置に〖聖十字〗を張ったり、アリーダが囲まれる前に〖空刃斬〗で遠ざけるなど。


 向こう側の建物にも小鬼はおり、矢を放ってくるので〖聖壁〗で身を守る。



 今回のゴブリンは弓兵なので軽鎧ではあるが、装備は中級の物より一新されていた。


 薄くとも鋼鉄の板を斬り裂き、なおかつ出血というデバフを付属する。


「さすがは斬撃(強)だよ」


 〖血刃〗の威力は〖私の剣〗の斬性能に比例されて強化されていた。


 〖無断〗であれば打性能。


 屋根上での使用は難しいが、〖一点突破〗は突性能。


 それに加えて神鋼となれば、大量の神力を沈められる。年齢からくる熟練の差なども、その剣だけで簡単にラウロは追い越されているだろう。


 一方的な殺戮。


 〖聖壁〗や〖聖十字〗など、対応する装備がないというのは便利だけど、こうやって目の当たりにすれば実感する。


 〖聖拳〗の残念な点は断魔装具で補えないこと。光の宝玉で制作されたアクセサリーなどもあるが、とても希少な品だった。他属性の宝玉でも、合作神技であれば強化できる。


 聖や感情、装備はない。時空は不明。


・・

・・


 向こう側の小鬼もマリカが数を減らしてくれていた。


「レベリオ! こっちは残り一体だっ!」


 下方より声が返ってくる。


「剣の紋章は!」


 サポートに徹していたからこそ、幾分かの余裕も生まれていた。


 何度も失敗を繰り返したが。


「問題ない!」


 片目に古き剣の紋章。


「ではお願いします!」


 〖聖壁〗を二つ並べて発動させ、隙間もあるが向こう側への橋を完成させる。


「じゃあ行くわよ」


 最期の一体。

 ゴブリンは半曲刀を受け止めるが、短剣もろとも鎧ごと切断され、身体が二つに別れた。



 石畳の道に時空紋が浮かび上がる。紋章一つにつき三体が出現。


 総勢三十体を越える骨鬼が、レベリオとマリカの前後へと、逃げ道を塞ぐように出現した。



 防具は全てが黒い鎧をまとう。


 片手持ちの盾と棘刺又を持った個体。


 両手剣を構えるのもいるが、そちらの方が数は少ないか。



 アリーダはゴブリンを殺すと同時に向きを返し、ラウロの造りだした橋に飛び移る。


「こっちにも来たわね」


 向こう側の屋根にも小鬼の増援を確認。


「すまんな、そっちは任せる」


「頼んだわよ」


 ラウロは〖聖壁〗が一つ空くのを待ってから。


「マリカ跳べ!」


 レベリオが盾を構えると、それを踏み台にしてジャンプする。


 矢を下に向けて放つ。


 地面と接触する瞬間に弾け、風圧が自身を浮かび上がらせ、新たに作られた〖聖壁〗へと着地した。



 ラウロが加わる以前はこれと似た手段で、アリーダは大型相手に〖大剣落し〗を使っていたらしい。


 マリカは別の矢筒を取りだすと、大量の〖友〗を宙に浮かばせる。


「まずは三から」


 自らが放った矢を含めて、四発が骨鬼の鎧に突き刺さった。全てが同じ位置に命中しているが。


「固いですね」


 恐らく防具に使われているのは将や王あたり。


「骨鬼はちょっと相性わるいんだよね~ 次はもっと増やそっと」


 目玉があった窪みからは、赤い光がレベリオを見つめていた。


「なんとかしますよ」


 背後からも集団は迫ってくるが、行く先を塞ぐ骨たちに盾を構えた。


 〖我が盾の突進〗による打撃が衝撃を装甲内部に響かせる。その個体は転倒したが追い打ちは仕掛けず。


 側面から斬りかかって来たので、守短剣の鍔で受け止めてから〖盾の打撃〗を喰らわせる。よろめきながら後退したが、未だに窪みの光は消えていない。


 

 五本の〖友〗でレベリオを囲ませないよう撃ち込んでいく。


 クールタイムが終わるのを待ってから、〖風圧の矢〗で背後の集団を遠ざける。



 〖我が盾の相棒〗 打撃強化や浸透はないが、武器による攻撃にも敵意を向けさせる効果を付属。防御力を低下させる。


「三人一組ですか」


 守短剣での攻撃を四角盾で守られたが、敵意の銀光をまとわせることは成功。デバフもつく。


 別の個体が棘刺又で押さえつけようとするも、なんとか神鋼の盾で防ぐ。


 レベリオは後ろにさがって距離をとったが、側面から剣で突いきたので、ガントレットの肘打ちで弾き落す。姿勢が崩れたので〖打撃〗を喰らわせ、対象の沈黙を確認。



 【防ぎ役】がこちらの攻撃を受け止め、【封じ役】が棘つきの刺又で動きを封じ、【攻め役】が斬りかかる。三人一組を徹底しているので、他の連中は下手に入ってこれない。



 残った二体は退避して再編成。代わりに別の組が前にでる。

 これが本来の流れだと思うが、今の相手は敵意を強めていた。


 防御力も低下したまま退くことなく、レベリオを狙いその場から動かず。


 こちらから接近。


 神盾の〖打撃〗は四角盾で防がれるが、浸透により前腕の骨に亀裂が入る。力を込めて盾を振り抜けば、腕骨は完全に砕けた。


 別個体の刺又を守短剣で受け止める。相手が力んだ瞬間に腕を引き、姿勢が前に崩れた所で、神盾の角を叩きつける。


「ゴブリンと違って静かですね」


 レベリオが距離をとれば、再び三体がこちらへと。


 守短剣を構えながら前に踏み込むと、【防ぎ役】も一歩進んでから盾を動かす。


「連係は僕らだって使います」


 アリーダの夜は今さっき明けた。


 【防ぎ役】の背後に青白い刃が出現し、それが背当てを斬り裂いた。


 守短剣の鍔を四角盾の端に引っかけ、一気に横へ押し込む。骨鬼が姿勢を崩したところで、神盾の〖打撃〗が頭に直撃すれば、兜ごと中身もひしゃげる。

 【封じ役】が刺又をレベリオの腰に叩きつけ、こちらもバランスを崩す。


 【攻め役】が背後に回り斬りかかって来たが、〖夜明〗の刃が両手剣を弾き落した。



 そこからは順調に進んでいた。



 マリカは背後の集団を遠ざけていたが、ラウロの刃が光を失ったことで、時々そちらにも援護をしなくてはいけなくなった。


 【攻め役】が先手を取り、受けた瞬間に二体の【封じ役】が刺又で突いてくる。


 戦方は一つに限らず。


 【封じ役】が先手を取る。刺又を守短剣で弾いたが、【守り役】が盾での突進。こちらも神盾の〖打撃〗で迎え撃つ。


 【攻め役】が両手剣を振り上げるが、〖空刃斬〗が寸前で剣身に命中し軌道を反らす。



 防御力低下を受けた骨鬼は率先して、マリカとラウロが狙っていた。


 もう背後の集団はそこまで迫っている。レベリオが完全に囲まれろば、骨鬼はもう三人一組を無視して群がるだろう。


「降りるぞ!」


 レベリオは戦いながら、一方に守短剣を向けた。


「いえ。大丈夫そうです」


 ラウロは気づき、地面に〖足場〗が設置する。



 屋根の上から着地。


「お待たせ」


 〖一点突破〗により敵中に突っ込むと、そのままの勢いで〖波〗を放つ。


 二体は吹き飛んだ。命中させた個体は靴底で地面を削りながら停止したが、四角盾で見事に防ぎ切った。


「守ることに集中しすぎね」


 一歩さがって剣を構えなおすと、〖無断・幻〗が盾を弾き落し、返す刃で首を飛ばす。


「さあさあ者ども頭が高い、攻撃担当のお通りよ」


 装備の鎖より大剣を取りだした。


「ラウロさんは〖空刃斬〗を使って、マリカと背後の足止めをお願いします!」


 屋根上でオッサンは兵鋼と将鋼を構える。


「もうすぐ〖夜明〗だ」


 今度は左右の剣なので、連撃も早くできるはず。



 レベリオは引き付けに専念。


 〖平伏・大剣落し〗


 押さえつけ効果は今一つだったので、次はもっと高い位置からした方が良い。とりあえず〖私の剣〗をまとわせてから、大剣を振り回す。


「断罪落としもしたいけど、こいつら脆いわね」


 〖紅〗は使わないにしても、骨鬼は血がでないからか、どこか不満そうだった。


「あれもリスク高いので、ちゃんと見極めませんと」


 失敗すると〖冤罪〗で大剣が破損するので、修理にださなくてはいけなくなる。


 神力の消費が多いなども当てはまるが、こういったリスクや制限が増えるほど、神技はより強力なものになっていく。


・・

・・


 上級での初戦は終わった。


 素材回収をしながら。


「私としては骨鬼って弓の方が厄介よ」


「そうですね」


 ただ今回は強化個体も混じっていない。


「迷いの森で問題なく活動できるなら、なんとかなるかな~」


「問題は内壁の中ですね。あとは大神殿」


 ラウロは灰の中から何かをすくい上げると。


「おいこれ」


 皆がそちらに注目する。灰に混じり手の平にあったのは鍵だった。


「うそ」


「やったー 私たち運いいね」


 レベリオに渡す。


 鍵の形状はどれも同じと聞いている。使うごとに崩れてしまう仕様。


 家屋であれば鍵は表の一つだが、倉庫などは内部にも鍵があり、扉ごとにも二つ三つ必要とのこと。


 鉄製の頑強な扉であれば、専用の鍵が必要になるかも知れず。


「満了組の印象を上げたいので、お金と交換してもらうでも良いですか?」


「そういう判断はお前に任せてるからな」


 二人も了承してくれた。


 その後も回収を続けたが、鍵は一つだけだった。


・・

・・


 移動を再開させる。


 時計も持参していたが、今の位置からであれば大神殿が確認できた。


 挑戦開始したのが七時二十分ころで、現在の時刻は九時半を回っている。


 大きな戦闘もなく、南門にも大分近づいてきたので。


「今のところ順調ですね。そろそろ家屋の探索でもしますか」


「始めての火事場泥棒だな」


「わーい」


「何事も経験よね」


 鍵の掛かった家屋はすぐに見つかった。


 厳重に板と角材を打ちつけられた窓。レベリオは空間の腕輪からツルハシを取りだし。


「そういえば、これを得物にしてた人いましたね」


「あの人よね。槍の加護だったけど、サブで使ってるの見たことあるわ」


「もしかしてン・マーグの方か?」


 近接武具の紋章で槍身一体を使えば、〖俺の鶴嘴〗も可能。


「一点突破で振りかぶってたっけ~」


「ちゃんと防護膜も発生してたから、本当に良くできた神技よね」


 主神の記憶がある時は、絶対に言わないだろうとラウロは感じていた。


「〖波〗はどうなるんだろうな?」


「あぁー そこまでは見てませんでしたね」


 自分が知らないだけで、この三人にも色んな物語があったのだろう。



 もしかすると中で小鬼あたりが潜んでいる。もしくは出現するかもしれないので。


「ラウロさん、念のためお願いします」


「おう」


 レベリオの後ろに立ち、聖十字を彼の前に張る。


 マリカとアリーダは少し離れた位置で、剣を構え〖友〗を浮かす。




 気が緩んでいたとまでは言わないはず。


「ではっ」


 鶴嘴を打ちつけた瞬間だった。


「……っな!」


「まじか」


 時空紋が二人の足もとに出現した。


「うそでしょ!」


「え? えっ!」


 アリーダは咄嗟に駆け寄ってしまうが、呆然としていたマリカは残されてしまうと気づき、足を踏ん張って急停止。


 レベリオは上半身だけを動かし、彼女らの方を向きながら。


「南門で待機し…」


 ラウロと何処かに転移された。









断魔装具の革ですが、これは人工革というか神工革で、生物のとは違います。


大槌ねずみなどは違いますが、動物はちゃんとした生命です。


偽魔物は創造主が創造した神工の魂ではなく、感情神が合作した模擬ですので輪廻との関りはありません。



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