5話 上級【町】初挑戦
ラウロは装備の鎖より、将革の鎧兜をまとう。
革に打ち込まれた鋼板や鎖帷子は兵のままなので、小盾も含めて上級で王鋼へと改良したい。
グイドが時空紋に手をそえる。
「ではご武運を」
「安全第一っすよ」
四名がうなずくと同時に、時空紋が輝きを増した。
・・
・・
降り立ったのは石畳の道であり、幅はそこまで広くない。
「これは話に聞いていた以上ね」
「うん。酷い」
二階建ての壁が一部崩れており、瓦礫が道にまで落ちていた。
細い通路は塞がれている。それは建物の残骸ではなく、通れないようにしたバリケード。
「とりあえず、居場所を確認しましょう」
レベリオはコンパスを見て。
「方角は南東です。ラウロさん、高所からの確認をお願いできますか」
「おうよ」
ラウロは〖聖なる足場〗を使い、まずは周囲を見渡せる位置まで上がる。敵に見つかるのも怖いので、慎重に進めて行く。
マリカは肌で風を感じ取り。
「敵はいないよー」
アリーダは近場の無事な建物の前へ。
「とりあえず、最初は安全確認しながらね」
片手剣を抜き、ドアノブに手をそえる。
「鍵かかってるわ」
レベリオはその後ろに立っていた。
「そっちの建物も確かめましょう。中に入るのはまだ止めておきます」
その後も何件か調べたが、開いていたのは三件中一つ。
「もし神像とかあるなら、鍵かかってる所よね」
「窓などは閉じられてますが、壊すことは出来るかな」
本来ある木窓ではなく、板と角材を釘で打ち付けてある。
「鍵かかってるお家、二階からなら行けそーかな?」
壁には女性なら入れそうな穴があいていた。
「もし進入するなら、一階の窓から皆で行きましょう」
「なんか火事場泥棒みたいで気が引けるわね」
実際に建物のなか探索する行為は、【町】だとそう呼ばれてたりする。
レベリオはどこか活き活きとした声で。
「ダンジョンであることに違いはありません」
これまでにないほど、楽しそうにしていた。
空を見上げ。
「どうでしょうか?」
ラウロは周囲を見渡していたが、地面に〖足場〗をつくり、そこに着地すると。
「全員で見た方が良い」
上空の〖足場〗を消す。
・・
・・
四方を囲む町壁の中には、それを一回り小さくした内壁。
所どころから黒い煙が上がっていた。
町壁は一部が崩れかけており、内壁の上部には敵対者と思われる姿が。遠目なのであれだが、たぶん骨鬼か。
だがそれよりも目に引く建築物があった。
ここからでは角度的に見にくいが、針は七時半をさしている。
「あれって時計塔かなぁ?」
「塔というよりは神殿のようにも見えますね」
内壁の中は緩やかな丘のようになっている気がする。中心部と思われる場所には、上部に時計のついた大神殿。
「これはもう町じゃないわね。少なくともゴーワズと同規模よ」
マリカは一方を指さし。
「北側に飛ばされた人たち、あれじゃ南門までこれないじゃん」
ラウロはうなずくと。
「南北遮断壁とでも言えば良いのかね?」
内壁と町壁(東)を繋ぐように、都市内を遮る壁が通っていた。高さとしては町壁や内壁よりも低い。
「とりあえず僕らは設営予定地を目指しましょう」
南壁は近いので、転移された位置としては当たりだ。
・・
・・
マリカの〖風読〗だけでなく、各々が警戒しながら町中を進む。
火事場泥棒はもう少し距離を詰めてからと決まった。
「神殿の時計ですが東面にはなかったので、南もしくは北にだけあるようですね」
コンパスがなくても、見渡せる位置までいけば、大神殿からおおよその方角も分かりそうだ。
大通りは避けた方が良いと聞いていたので、なるべく封鎖されていない細い道を通っていく。
ラウロは建物からの襲撃を警戒して、二階の窓を注視しながら。
「本来の【町】はたぶんもっと小規模だよな。こういう景色はなかったはずだ」
ここら辺はどうやら壊された建物も少ないようで、敵とも遭遇しないからか、普通に町を歩いている感覚になっしまいそう。
「水路とかあるのかしら」
鍛冶場や工房。
「武具屋とかな」
「それこそ壊したら時空紋だよ~」
レベリオは警戒を続けながらも。
「鍵などが入手できれば、そういった施設にも入れるんですが」
強化個体や罠の紋章での報酬など。
「武器や防具が沢山あったりしてな」
【町】では確認できなかったそれら店舗だが、今の【町】となれば期待もしてしまう。
「どうも気が緩んでしまいますね」
「う~ん 大通り以外は、敵の気配ないんだよねぇ」
〖風読〗に頼りながらも南門を目指す。
・・
・・
道幅は広くもないが余裕はある。それでも両側の建物がまあまあ高いので、すこし圧迫感があった。
マリカは装備の鎖より弓と矢筒を取りだし。
「屋根の上に反応でたよ。今のところ十体だけど、空気の流れ的にまだ増えそう」
急ということは待ち伏せではなく、時空紋からの出現と思われる。
【町】での遭遇パターンはすでに把握していた。
「ラウロお願い」
「はいよ」
〖夕暮〗の斬撃をアリーダに当てた。どんなに弱くても攻撃判定があれば、問題なく〖夜入〗は発生する。
今は午前中。太陽は確認できないが、視界はすこぶる良好。
ラウロが〖聖壁〗を頭上に展開させると、アリーダはその下にひとまず隠れる。
レベリオが〖我が盾〗と〖貴様らが盾〗を発動。
盾の光が物理判定を得て広がれば、マリカがレベリオの傘下へと片膝をついて潜り込む。
「その位置から狙えそうですか?」
王鋼の盾を取りだし、斜め上方からの矢に備える。
「うん大丈夫」
ラウロは小丸盾で矢を防ぎながら。
「敵の種類はなんだ?」
「ゴブリンね」
アリーダは〖聖壁〗の下から逆上がりの要領で飛び乗る。
「援護頼むわよ」
〖空刃斬〗で敵を牽制しながら、〖足場〗を階段状に展開させていく。
小鬼の姿は見えるが、こちらに矢を放っては隠れてしまう。壁との距離が近すぎて、かなり不利だった。
「〖雨〗はちょっと無理かな」
〖風矢の友〗を周囲にばら撒く。
マリカはしゃがみながらも、鏃を上に向けて発射させた。
だが彼女の矢は命中せず、そのまま屋根の上へと通り抜けて行く。
馬鹿にしたような笑いが耳に届くが、後を追っていた〖友〗たちが、急旋回をしてゴブリンに突き刺さった。
マリカの援護を受けながら、アリーダはラウロの操作する〖足場〗を使い高度を上げて行く。
「俺も転移するぞ」
この場に〖聖域〗を展開。
〖貴様が盾〗で身を守りながら、駆け上がっていくアリーダの姿を見つめ。
「こっちに暗闇はいるか?」
「〖足場〗があれば高所からの着地でも平気ですし、今回はなしで行きましょう」
アリーダが屋根に到着。
「矢で狙うのは二人とは逆側の建物に集中させてください」
「はーい」
ラウロは兵鋼の刃を浅く握り〖無月〗を発動。ゆっくりと闇が全身に広がっていく。
「地面の方に援軍が来たら、俺も援護すっから」
「今のとこ空気に変化ないかな」
「よろしくお願いします」
闇に包まれ、オッサンは姿を消した。
屋根上にて。
「使っちゃ駄目だぞ」
「分かってるわよ」
消費する神力や使用後の疲労などを考えると、〖紅〗はボス戦や強力個体専用の技と思われる。
近場の小鬼が得物を弓から短剣に交換していた。
〖聖域〗を展開。この場は屋根上で狭いこともあり、聖なる光は途中で途切れる。
「足もと不安定だから気をつけろよ」
「あんたもね」
ラウロはサポートに徹する。死角となる位置に〖聖十字〗を張ったり、アリーダが囲まれる前に〖空刃斬〗で遠ざけるなど。
向こう側の建物にも小鬼はおり、矢を放ってくるので〖聖壁〗で身を守る。
今回のゴブリンは弓兵なので軽鎧ではあるが、装備は中級の物より一新されていた。
薄くとも鋼鉄の板を斬り裂き、なおかつ出血というデバフを付属する。
「さすがは斬撃(強)だよ」
〖血刃〗の威力は〖私の剣〗の斬性能に比例されて強化されていた。
〖無断〗であれば打性能。
屋根上での使用は難しいが、〖一点突破〗は突性能。
それに加えて神鋼となれば、大量の神力を沈められる。年齢からくる熟練の差なども、その剣だけで簡単にラウロは追い越されているだろう。
一方的な殺戮。
〖聖壁〗や〖聖十字〗など、対応する装備がないというのは便利だけど、こうやって目の当たりにすれば実感する。
〖聖拳〗の残念な点は断魔装具で補えないこと。光の宝玉で制作されたアクセサリーなどもあるが、とても希少な品だった。他属性の宝玉でも、合作神技であれば強化できる。
聖や感情、装備はない。時空は不明。
・・
・・
向こう側の小鬼もマリカが数を減らしてくれていた。
「レベリオ! こっちは残り一体だっ!」
下方より声が返ってくる。
「剣の紋章は!」
サポートに徹していたからこそ、幾分かの余裕も生まれていた。
何度も失敗を繰り返したが。
「問題ない!」
片目に古き剣の紋章。
「ではお願いします!」
〖聖壁〗を二つ並べて発動させ、隙間もあるが向こう側への橋を完成させる。
「じゃあ行くわよ」
最期の一体。
ゴブリンは半曲刀を受け止めるが、短剣もろとも鎧ごと切断され、身体が二つに別れた。
石畳の道に時空紋が浮かび上がる。紋章一つにつき三体が出現。
総勢三十体を越える骨鬼が、レベリオとマリカの前後へと、逃げ道を塞ぐように出現した。
防具は全てが黒い鎧をまとう。
片手持ちの盾と棘刺又を持った個体。
両手剣を構えるのもいるが、そちらの方が数は少ないか。
アリーダはゴブリンを殺すと同時に向きを返し、ラウロの造りだした橋に飛び移る。
「こっちにも来たわね」
向こう側の屋根にも小鬼の増援を確認。
「すまんな、そっちは任せる」
「頼んだわよ」
ラウロは〖聖壁〗が一つ空くのを待ってから。
「マリカ跳べ!」
レベリオが盾を構えると、それを踏み台にしてジャンプする。
矢を下に向けて放つ。
地面と接触する瞬間に弾け、風圧が自身を浮かび上がらせ、新たに作られた〖聖壁〗へと着地した。
ラウロが加わる以前はこれと似た手段で、アリーダは大型相手に〖大剣落し〗を使っていたらしい。
マリカは別の矢筒を取りだすと、大量の〖友〗を宙に浮かばせる。
「まずは三から」
自らが放った矢を含めて、四発が骨鬼の鎧に突き刺さった。全てが同じ位置に命中しているが。
「固いですね」
恐らく防具に使われているのは将や王あたり。
「骨鬼はちょっと相性わるいんだよね~ 次はもっと増やそっと」
目玉があった窪みからは、赤い光がレベリオを見つめていた。
「なんとかしますよ」
背後からも集団は迫ってくるが、行く先を塞ぐ骨たちに盾を構えた。
〖我が盾の突進〗による打撃が衝撃を装甲内部に響かせる。その個体は転倒したが追い打ちは仕掛けず。
側面から斬りかかって来たので、守短剣の鍔で受け止めてから〖盾の打撃〗を喰らわせる。よろめきながら後退したが、未だに窪みの光は消えていない。
五本の〖友〗でレベリオを囲ませないよう撃ち込んでいく。
クールタイムが終わるのを待ってから、〖風圧の矢〗で背後の集団を遠ざける。
〖我が盾の相棒〗 打撃強化や浸透はないが、武器による攻撃にも敵意を向けさせる効果を付属。防御力を低下させる。
「三人一組ですか」
守短剣での攻撃を四角盾で守られたが、敵意の銀光をまとわせることは成功。デバフもつく。
別の個体が棘刺又で押さえつけようとするも、なんとか神鋼の盾で防ぐ。
レベリオは後ろにさがって距離をとったが、側面から剣で突いきたので、ガントレットの肘打ちで弾き落す。姿勢が崩れたので〖打撃〗を喰らわせ、対象の沈黙を確認。
【防ぎ役】がこちらの攻撃を受け止め、【封じ役】が棘つきの刺又で動きを封じ、【攻め役】が斬りかかる。三人一組を徹底しているので、他の連中は下手に入ってこれない。
残った二体は退避して再編成。代わりに別の組が前にでる。
これが本来の流れだと思うが、今の相手は敵意を強めていた。
防御力も低下したまま退くことなく、レベリオを狙いその場から動かず。
こちらから接近。
神盾の〖打撃〗は四角盾で防がれるが、浸透により前腕の骨に亀裂が入る。力を込めて盾を振り抜けば、腕骨は完全に砕けた。
別個体の刺又を守短剣で受け止める。相手が力んだ瞬間に腕を引き、姿勢が前に崩れた所で、神盾の角を叩きつける。
「ゴブリンと違って静かですね」
レベリオが距離をとれば、再び三体がこちらへと。
守短剣を構えながら前に踏み込むと、【防ぎ役】も一歩進んでから盾を動かす。
「連係は僕らだって使います」
アリーダの夜は今さっき明けた。
【防ぎ役】の背後に青白い刃が出現し、それが背当てを斬り裂いた。
守短剣の鍔を四角盾の端に引っかけ、一気に横へ押し込む。骨鬼が姿勢を崩したところで、神盾の〖打撃〗が頭に直撃すれば、兜ごと中身もひしゃげる。
【封じ役】が刺又をレベリオの腰に叩きつけ、こちらもバランスを崩す。
【攻め役】が背後に回り斬りかかって来たが、〖夜明〗の刃が両手剣を弾き落した。
そこからは順調に進んでいた。
マリカは背後の集団を遠ざけていたが、ラウロの刃が光を失ったことで、時々そちらにも援護をしなくてはいけなくなった。
【攻め役】が先手を取り、受けた瞬間に二体の【封じ役】が刺又で突いてくる。
戦方は一つに限らず。
【封じ役】が先手を取る。刺又を守短剣で弾いたが、【守り役】が盾での突進。こちらも神盾の〖打撃〗で迎え撃つ。
【攻め役】が両手剣を振り上げるが、〖空刃斬〗が寸前で剣身に命中し軌道を反らす。
防御力低下を受けた骨鬼は率先して、マリカとラウロが狙っていた。
もう背後の集団はそこまで迫っている。レベリオが完全に囲まれろば、骨鬼はもう三人一組を無視して群がるだろう。
「降りるぞ!」
レベリオは戦いながら、一方に守短剣を向けた。
「いえ。大丈夫そうです」
ラウロは気づき、地面に〖足場〗が設置する。
屋根の上から着地。
「お待たせ」
〖一点突破〗により敵中に突っ込むと、そのままの勢いで〖波〗を放つ。
二体は吹き飛んだ。命中させた個体は靴底で地面を削りながら停止したが、四角盾で見事に防ぎ切った。
「守ることに集中しすぎね」
一歩さがって剣を構えなおすと、〖無断・幻〗が盾を弾き落し、返す刃で首を飛ばす。
「さあさあ者ども頭が高い、攻撃担当のお通りよ」
装備の鎖より大剣を取りだした。
「ラウロさんは〖空刃斬〗を使って、マリカと背後の足止めをお願いします!」
屋根上でオッサンは兵鋼と将鋼を構える。
「もうすぐ〖夜明〗だ」
今度は左右の剣なので、連撃も早くできるはず。
レベリオは引き付けに専念。
〖平伏・大剣落し〗
押さえつけ効果は今一つだったので、次はもっと高い位置からした方が良い。とりあえず〖私の剣〗をまとわせてから、大剣を振り回す。
「断罪落としもしたいけど、こいつら脆いわね」
〖紅〗は使わないにしても、骨鬼は血がでないからか、どこか不満そうだった。
「あれもリスク高いので、ちゃんと見極めませんと」
失敗すると〖冤罪〗で大剣が破損するので、修理にださなくてはいけなくなる。
神力の消費が多いなども当てはまるが、こういったリスクや制限が増えるほど、神技はより強力なものになっていく。
・・
・・
上級での初戦は終わった。
素材回収をしながら。
「私としては骨鬼って弓の方が厄介よ」
「そうですね」
ただ今回は強化個体も混じっていない。
「迷いの森で問題なく活動できるなら、なんとかなるかな~」
「問題は内壁の中ですね。あとは大神殿」
ラウロは灰の中から何かをすくい上げると。
「おいこれ」
皆がそちらに注目する。灰に混じり手の平にあったのは鍵だった。
「うそ」
「やったー 私たち運いいね」
レベリオに渡す。
鍵の形状はどれも同じと聞いている。使うごとに崩れてしまう仕様。
家屋であれば鍵は表の一つだが、倉庫などは内部にも鍵があり、扉ごとにも二つ三つ必要とのこと。
鉄製の頑強な扉であれば、専用の鍵が必要になるかも知れず。
「満了組の印象を上げたいので、お金と交換してもらうでも良いですか?」
「そういう判断はお前に任せてるからな」
二人も了承してくれた。
その後も回収を続けたが、鍵は一つだけだった。
・・
・・
移動を再開させる。
時計も持参していたが、今の位置からであれば大神殿が確認できた。
挑戦開始したのが七時二十分ころで、現在の時刻は九時半を回っている。
大きな戦闘もなく、南門にも大分近づいてきたので。
「今のところ順調ですね。そろそろ家屋の探索でもしますか」
「始めての火事場泥棒だな」
「わーい」
「何事も経験よね」
鍵の掛かった家屋はすぐに見つかった。
厳重に板と角材を打ちつけられた窓。レベリオは空間の腕輪からツルハシを取りだし。
「そういえば、これを得物にしてた人いましたね」
「あの人よね。槍の加護だったけど、サブで使ってるの見たことあるわ」
「もしかしてン・マーグの方か?」
近接武具の紋章で槍身一体を使えば、〖俺の鶴嘴〗も可能。
「一点突破で振りかぶってたっけ~」
「ちゃんと防護膜も発生してたから、本当に良くできた神技よね」
主神の記憶がある時は、絶対に言わないだろうとラウロは感じていた。
「〖波〗はどうなるんだろうな?」
「あぁー そこまでは見てませんでしたね」
自分が知らないだけで、この三人にも色んな物語があったのだろう。
もしかすると中で小鬼あたりが潜んでいる。もしくは出現するかもしれないので。
「ラウロさん、念のためお願いします」
「おう」
レベリオの後ろに立ち、聖十字を彼の前に張る。
マリカとアリーダは少し離れた位置で、剣を構え〖友〗を浮かす。
気が緩んでいたとまでは言わないはず。
「ではっ」
鶴嘴を打ちつけた瞬間だった。
「……っな!」
「まじか」
時空紋が二人の足もとに出現した。
「うそでしょ!」
「え? えっ!」
アリーダは咄嗟に駆け寄ってしまうが、呆然としていたマリカは残されてしまうと気づき、足を踏ん張って急停止。
レベリオは上半身だけを動かし、彼女らの方を向きながら。
「南門で待機し…」
ラウロと何処かに転移された。
断魔装具の革ですが、これは人工革というか神工革で、生物のとは違います。
大槌ねずみなどは違いますが、動物はちゃんとした生命です。
偽魔物は創造主が創造した神工の魂ではなく、感情神が合作した模擬ですので輪廻との関りはありません。




