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いつか終わる世界に  作者: 作者です
中級ダンジョン編
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8話 日常 冬の始まり



 中級・迷いの森。雑魚狩りや第二ボスとの戦いを続け、着々と上級解放へ向けての準備を続けていた。


 その日、ラウロはレベリオ組の二人と、普段は開放されていない町壁の上に立っていた。


「さすがに賑わってますね」


 祭りやらも秋ごろにあるが、そういった行事は少ない。イベントだとすれば、人もそれなりに集まるのだろう。


 人々の間を通りながら、堀の見える空きスペースを探す。


「ほらあそこ、マリカいたわよ」


 賑わう声に埋もれながらも、堀の向こう側から。


「おーい、みんな~」


 手を振る彼女を見つけた。周囲には孤児院の子供たちと、その職員と思われる数名。


 向こう側も人が集まっているので、落下防止用にロープが張られている。壁上は凹凸があるので大丈夫だが。


「子供たちにも、なにかお礼をしなくてはいけませんね」


 探検は数日・数週間をダンジョンで過ごすこともある。


 マリカの家庭菜園。


「畑の面倒も頼んでたしな、寄付でもするなら手伝うぞ」


「それも良いけど、直接の方が良いんじゃない?」


 迷いの森。

 罠の時空紋は魔物と戦うバージョンもあれば、適当な場所に転移され、コンパスもついでにリセットされる。


 森に進入した時だけでなく、日にちが切り替わる場合でもそうだ。ただこれは時間の感覚が狂う森中では、一日が経過した合図でもあったが。


 時空神像は時空紋とセットになっている場合が多い。たとえ像があっても罠の紋章な時もあるが、安全な空間で寝れるというのは本当にありがたい。



 三人でマリカや子供たちに手を振り返す。


「探検者になった子らには、また装備の鎖でも用意しましょうか」


「いや。俺も様子は見れないし、今回は止めた方が良い」


 装備の鎖。これもそれなりの値段がする。



 初級である程度慣れたとして。


「ルチオたちは特殊な例だ。少しでも初級で活動する時間は多い方がいい」


「そうね」


 装備が整ったあとも、この断魔装具を買うために、新人は初級か中級の開拓地周辺でしばらく活動する。


 弓や杖持ちだって接近されろば、普通に短剣などで迎え撃った方が良い。


 ルチオも将鋼の戦槌を目指しているが、片手持ちの槌が欲しいとも言っていた。


 欲望に至っては最低でも弓と短剣は必要で、後衛を希望していたなら杖も用意しないといけない。


「普通に回復薬と解毒薬とかで良いと思うぞ。組員一人につき、二つくらいでも買ってやるだけで、助かるんじゃないか?」


 自分たちが新人だった頃を思い浮かべ。


「確かに。それだけでも、かなり有難いですね」


「だろ」


 探検者にはならない子供。まだ施設で生活している子供。どうするか考えていると。


「ねえ、あれシスターさんじゃないの?」


 指さされた方向。ラウロは下方を見ながら。


「あの人ほんと何者なんだよ」


 本来は立ち入り禁止だが、なぜか兵士やデボラを引き連れて、あの婆さんは堀の底を歩いていた。


 子供たちが気づき、おばあちゃーんと呼んでいたが、そちらを一瞥すると煙草を天高くかざした。


 キャー! と子供たちが叫んでいる。


「こんなもん造って、ガキや私みたいな年寄りが落っこちたらどうすんだい」


 兵士は手に持っていた用紙に、その発言を書き留めながら。


「とりあえず、平時は柵でも設けておきましょうか」


 デボラは普段だと支部の窓際でだらけているが、今は借りてきた猫のように姿勢を正し、シスターの後ろをついて歩いていた。

 視察だろうか。


・・

・・


 しばらくすると、後方から聞きなれた声が聞こえる。


「あっ いたいた、おっさーん!」


 振り向くと人々の隙間からルチオが見えた。


 すぐ退くんでと道を譲ってもらいながら、前に進んでいく。


「今日はアドネと一緒じゃないんだな」


「エルダと見るってよ」


 後ろに二名並んでいた。


「あの、初めまして。こんどルチオ君たちと徒党を組むことになりました、モニカと言います」


 もう一人いたが、そちらは頭をさげるだけで発言はない。


「こっちはヤコポさんっつうんだ、紹介しとこうと思ってな」


 レベリオは驚いた表情で。


「所属じゃなくて立ち上げですか。流石の行動力ですね」


 勧誘をなんどか断っていたことはラウロも知っていた。


「いや俺はあれだぜ、親分はモニカさんだからな」


「おっ おやぶ」


 その呼び方は嫌らしい。


「良いんじゃない、四・五人じゃ厳しいボスもいるもの」


「まあな」


 今日は顔見せだけの予定らしく、モニカは緊張の面持ちで。


「もし良ければ今度あのっ 第二ボスについて情報お願いします。ちゃっ ちゃんとした形で交渉しますので」


「あれは五人以下限定ですからね」


 ルチオたちが信頼しているし、なにより中級で活動している組であれば、レベリオらも把握している。


「良ければこんど僕らが借りている家にでも来てください、知っている情報は互いに交換しましょう」


 評判の良い組であれば、一段上まで調べも入れる。


「ついでだから、加護も教えてよ」


 彼女が知らないはずはない。


「私は槍で、彼が土の杖。あとは火の剣と杖です」


「〖紋章〗はもう使えるの?」


 レベリオが手の平で目もとを隠す。


「あっ はい。習得はなんとか」


「なかなか槍と交える機会ないから、良ければ手合わせして欲しいんだけど」


 モニカが慌てた様子で。


「最近中級にあがったばかりで、まだそのぜんぜん」


 稽古にもならないと断ろうとしたが、彼女は槍身一体を選んだ者だった。

 出かけた言葉を飲み込んで。


「お願いしたいです」


「大丈夫よ、貴方はきっと強くなれる」


 実際に難関の神技を習得できない者もいる。その大半は彼女と原因も異なるが。


「あ、ありがとうございましゅ」


 噛んでしまった。



 ヤコポは下を向いているか、時々顔をあげてラウロをみて、また視線を落とす。このオッサンが好きなのだろうか。


 ルチオはどこか空いてないかなと見渡してから。


「んじゃ、俺らそろそろ行くな」


「ああ」


 割り込んでここまで来たので、周囲にお礼を言いながら下がっていく。


 ラウロは背が高いので、何気なく彼らの方を見ていた。


 どうやらもう一人、こちらに来ず離れた位置で待っていた娘がいたようだ。三人は合流すると壁上を歩きだした。


「トゥルカがあっちで場所とりしてる」


 指さした方に向かい、ルチオたちは歩きだした。

 しばらくどうだったのか話を聞いていたようだが、ヤコポという青年が女の子に蹴られていた。


 見ちゃいけないものを見た気がして、視線をこちらにもどす。


 それは独り言なのか、隣にいたレベリオがつぶやく。


「良いですね」


 堀の様子を眺めながら。


「今度、手紙でも送ってみようかな」


 アリーダが今までに見せたことのない、少女のような笑顔を彼に向けていた。


「そうしましょうよ。私ら喧嘩別れってわけでもないし、お互い近況報告するだけじゃない」


 何かが動いたようだった。


・・

・・


 なにも起こることなく、一時間が経過した。アリーダは凹凸に頬杖をつきながら。


「もう待ちくたびれたわよ」


「色々と準備もあるんだろ」


 レベリオはなにか考え事でもしているようで、あまり会話には参加せず。不機嫌なお嬢さんはラウロが宥めるしかない。


 午後三時を過ぎたころ。


「来たんじゃない?」


 人々がざわめきだす。



 イベントと言ってもなんてことはない。堀の水入れだ。


 用水路からの水がこちらの方へと押し寄せてくる。


 ルチオたちだけでなく、ラウロも依頼をもらって工事は手伝っていたので、この光景には感情も刺激された。


「けっこうな勢いですね」


 ただ溝を掘っただけでなく、石切り場より運ばれたものが敷き詰められていた。


 町で保管していた量だけでは不足していたので、初級が解放され準備が整うのも待たれ、そして今日を向かえた。



 ダンジョンが閉鎖されたのが去年の今頃だとすれば、一年。


 神力混血による肉体強化も大きい。〖大地の腕〗などゴーレムも大いに役立った。それでも職人たちの経験と神技がものをいう。



 物思いにふけっていると。


「ねえ、あれあんたの知り合いでしょ」


 堀の半分ほどまで水笠を増したその中を、一人の男が泳いでいた。


「今日はぶれいこうよぉー」


 ふんどし一丁。


 水をはじく肌。


 太陽光に反射する肉体美。


 

 後を追うように、兵士たちが小舟を漕いでいた。


 どうやらお願いして乗せてもらったのだろう。


「ルカさんっ! それはやっちゃダメだっ 人として!」


「だって、私もう我慢できなぁーい」


 モンテが必死の形相で止めようとしているが、泳ぐ速度が凄まじく追いつけない。



 向こう側の子供たちは職員に見ちゃダメと言われながらも、自分たちも泳ぎたい、あのお爺ちゃんだけずるいと不満そうだ。


 危ないからダメ。また夏になったら、近所の小川に行こうと宥められていた。


 マリカも指をくわえて、その華麗な泳ぎを眺めている。


「らっ ラウロさん」


「知らない。俺あんな人知らない」


 後ろを見て。


「俺がここに居ると、でかいから申し訳ないので、今日はこの辺でお暇させてもらいます」


 返事もまたず、逃げるように去っていく。



 人々は堀側に寄っているので、町側は普通に歩けるだけのスペースがあった。


 兵士たちが並んでいるが、お疲れさんですと適当なことを言いながら、壁から下りるための階段を目指す。


 町壁の階段。そこにはいつも居る見張りの兵ではなく。


「あの、ラウロさん」


「んっ? ヤコポさんだったか」


 はいとうなずく。


「いやその、話というかなんというか」


 蹴られていたことから、それをしなかったのを怒られていたのだろう。


「ここで立ち話もなんだから、ちっと歩くかね。貧困街の方面でも良いか?」


 了承を得られたので、二人して並んでいく。


・・

・・


 そうかと一言を残し、ラウロは沈黙した。


 少しして。


「あの町に居たんだな」


「はい。最初に罵倒したの自分でして、そのなんつうか今の仲間に謝れと言われて」


 勧誘する前にやるべきことがあるだろと。


「言われたからでなく、自分でもあれで」


 申し訳ないことをしたと思っていた。


「悪りいな。俺あの時は気絶してたからよ、まったく覚えてないんだわ」


 魔界の進行。ルチオたちが試練に挑戦する五年前だったので、今だと六年前になるか。


「ここにはどんくらい前からいるんだ?」


「ちょっと正確にはあれですけど、三か四年くらい前かな」


 その町は今も残っている。管理できる人口が減ったのか、それとも自ら離れたのか。


「もしかすっと、恥ずかしいとこ見られてたりするか」


 うなずかれてしまった。教会を脱走して協会に通っていた時期だ。


「まあ言っとくとな、戦後の混乱期なんてあんなもんだよ。俺は居残組だったからな、あれが最初だったわけでもない」


 全部承知の上だった。


「もしなんならモンテとかにも言っとくが、俺らあんま覚えてないと思うぞ」


「そうなんですか?」


 精神を病んだ。プレッシャーやら理由は二つ三つあるが。


「少なくとも俺がああなったのはよ、魔物どもがボコボコにしてくれたからだ。モンテらを見てみろよ、ぴんぴんしてるだろ」


「……」


 先ほども元気にマスター・ルカを追いかけていた。むしろあれの方が病む。


「今は中級だったか。じゃあちっとは生活も安定してきた頃かね?」


「まあ、はい」


 ヤコポの肩を叩き。


「反感もたれん程度にはだけどよ。余裕がないうちは自分のことだけ考えてりゃ良いさ」


 なるようになる。


「こんなとこで良いかね。もうちゃんと謝ったで良いぞ、仲間にはそう伝えとけ」


「わかりました」


 じゃあなと若者に背中を向けたまま、手を振って去っていく。


 内心で俺って格好良いと思いながら。


・・

・・


 夕暮時。


 ラウロは橋の定位置に座っていた。


 酒をコップに注ぎ、横にそっと置く。友鋼の剣を装備の鎖から出現させ、抱きかかえた。



 偶然が重なったのか、今日は爺の命日だった。


 堀の水入れ。このイベントもあり、橋は誰も通らないと思っていた。


「お前さん爺の知り合いなのか」


 見上げれば職人風の男。


「まあそんな所だけど、あんたは?」


 友鋼の剣を見つめながら。


「像の共同制作者ってとこか。あとは義足もだな」


「なるほど。俺はそうだな、飲み友達で良いかね」


 なぜか今さらになって、師とは言いたくなかった。


「そうか」


 職人は排水路の流れを見て。


「もう行ったのか?」


「俺が立ち合った」


 同じ言葉を。


「そうか」


 身体を伸ばしてから。


「良かったよ。覚えてるのが俺だけじゃなくて」


 またなと残し、職人は歩きだした。


 ラウロは彼の去り方が格好いいと感じていた。


・・

・・


 夕暮と夜の堺。


 酒を片づけていると、こちらに近づく足音が一つ。


「やっぱここにいたの」


 現れたアリーダをじっと見つめ。


「どっちだ」


「なにがよ」


 小さな花束を包みから外し、爺が座っていたその場所にしゃがむ。


 祈ることもなく、じっと見つめたまま。


「普段から偏屈だったけど、剣に対してだけはもう本当にこだわりが強くてね」


「お前も人のこた言えんけどな」


 あんたもねと睨まれてしまう。


「槍とか斧とかに対しては凄い寛大なくせに、同じ剣使いにだけは張り合おうとしてくんのよ」


 合わせ勝負を思いだし、なんとなく理解できる。


「ライバルとは思われてたかもだけど、弟子扱いなんてされなかった」


 彼女らの場合だと天使になった時点で達人の域。さすがに初心者だったラウロは基礎を教わっている。


「私も兄さんも褒められたことなんて一度もない」


「兄ってのは実のか?」


 眷属神なのだろうか。


「兄弟子よ」


 少し自慢気に。


「つっても剣士で加護もらえたのって、私らだけなんだけどね」


 ラウロの目を見て。


「でも結局、その紋章は受け継がせてもらえなかったわ」


 古き剣の紋章。


 なんと返事をして良いかわからず。


「そのコップ貸して」


 アリーダは持参していた水で、酒の臭いがするコップを何度かゆすぎ、そこに花を活ける。


「枯れたら片づけてくれる?」


「はいよ」


 せっかくなので、この機会に聞きたかったこと。

 幾つかあったのに、浮かばなかった。


「あの爺さんって、どんな神さまだったんだ」


「どうって偏屈というか、無神経というか。まあ、あれよ」


 ラウロが知っているのと変わらない。


「相手の気持ちっていうか、それすると相手がどう思うとか考えられないのよ。思い当たる節あるでしょ」


 病んでいた人間に、恩のある自分を斬らせる。


「相手がどう思うかなんてわかんないのよ。剣の事しか考えてないから、頭のネジがちょっと外れてたわ」


 天使になったから。眷属神になったから。古き神になったから。何かをしないといけない。


「けっきょく根本は自分の剣だけ」


「それだけなら、あんたそこまでしないだろ」


 うるさいと怒られてしまった。


「儂の剣とかって、やっぱ爺さんがつくった神技なんだよな」


 誰かではなく、自分の道だけを求めろ。


 覚醒者。


「もとは銀光の剣って神技だそうよ」


 家族も故郷も全てを失い、ただ一つ残った剣の道に人生を捧げた者。


「弓・盾・鎧も、それに習って今の名前になったんだけど」


 花を見つめたまま。


「あんたが剣の紋章を覚えたら、本当に儂の剣はなくなるわけよ。ざまぁないわ」


 最後に儂の剣を頼むと言われたが、あれはたぶん友鋼のこと。



 故人を。故神をしのぶ。

 しばらく語り、亡き者を思う。

 本当に消滅したのか、まだどこかを歩いているのか。


・・

・・


 橋からの帰り道。


「でも嬉しかったわ。私がつくった技、欲しがったのよね?」


「まあな」


 自信がついたと喜んでから。


「もうすぐ上級ダンジョンね」


「そうだな……ってそうだ」


 今度、彼女が出てきたら言いたいことがあった。


「お前あれ何とかならんの? 見ててすげえ不憫なんですけど、剣の紋章」


「まあね。私もさっき記憶もどったとき、真っ先にそれで喜んでたけど」


 使えない理由も明日になれば、きっとまた忘れているだろう。


「そもそも私のせいじゃなくて、こういう仕組みの神技にした奴が悪いのよ」


 以前から気になっていたことを。


「斧にも槍にも専用の発生神技あるだろ、なんで剣にはないんだ?」


 専用神技 斧


 〖血刃・打〗 血刃に打撃強化が加わる。地味だがとても優秀。地味だが。


 〖投・無断〗 投げた斧が命中したとき、無断が発動する。〖幻〗へは繋げられない。地味。


「熟練が足りてないから、まだ他の眷属に回せてないのよ。兄さんは時空剣の方に集中してたし」


 〖孤独の闇〗を再現するのは、兄弟子の役割になっていた。


「それお前に下ろすことって出来んのか」


「加護として?」


 前例がある。


「モンテの神技みたいによ」


「言っておくけど、あれは天上界の仕業じゃないからね。まあそんなことできるのって、始源の意思くらいなもんだろうけど」


 いるのかいないのかも不明な存在だが、刻印を授けられたことでラウロも確信が持ててしまっている。畏怖と共に。


「まあ良いわ、今日のうちに申請は出してみるわよ。あんま個人だけに特別はしたくないんだけど、あんたには剣神としても借りがあるし、人間としての私もかなり気が滅入ってるからね」


 ラウロが剣の紋章を習得すると、表には出さないが問題が起こるかも知れず。そうなれば天上界も都合してくれる可能性が高い。


 本体が眠っていても、知識や記憶を司る神が操作して、アリーダに授けることはできるそうだ。


「すまんな。でよ、どんな神技なんだ?」


「加護を授ければ頭に浮かぶと思うから、先走って言っちゃダメよ。血刃系統の神技で〖(くれない)〗っていうの」


 〖紅・血刃〗 剣専用。


 剣の銀光が全身に広がる。血を流し、流させるほど〖私の剣(斬)〗が徐々に強化され、光が赤みを帯びていく。


 斬撃に常時〖血刃〗と〖抜〗が付属。また瞳が血の色に輝き、瞬きをすれば効果消滅という制限が消える。


 使用中は〖回復薬〗〖解毒薬〗も含め、治癒関係の神技を受け付けなくなる。


 秒数経過で停止し、使用後は体力の消耗が激しい。クールタイムはかなり長く、消費する神力も多い。


「あんがとよ、お前も喜ぶと思うぞ」


「でしょうね。覚悟しといた方が良いわよ」


 少し会話が変な気がするも、間違ってはいない。


・・

・・


 数日後の夜明け前。ラウロやレベリオは当然として、マリカまでをも叩き起こされ、鍛錬場での習得練習が始まる。


 かなり難度は高いが、手応えが剣の紋章とは違うらしい。そもそも頭に神技の内容が浮かんだ時点で、いつかは得られるという確信があるそうだ。


 もう喜び方が凄まじく、しばらくは自分の訓練をさせてもらえない有様だった。


・・

・・


 かつて地上界だった場所で、もっとも多くの人間に加護を授けた柱。


 剣神エバン。


 ラウロは〖俺の剣〗を習得したとしても、友鋼で戦う時は〖儂の剣〗を使うことになる。


 現状だと、それが一番強力だから。




 いつか役割を終えるその日まで。










ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。


今回は完結設定は止めとこうと思います。また上級編は目途が立てば投稿したいですね。


書きたいときに執筆して、のんびりやっていきたいと思います。たぶんこの方が自分の性分に合ってますね、本腰いれれば入れるほど、なんか囚われてしまって、まったく楽しめないので。


ゲームでも漫画でも小説でも、なんか物語に触れてるとやる気も出てきますので、そのうちまた執筆も始めるかと思います。


それでは失礼します。

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