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いつか終わる世界に  作者: 作者です
中級ダンジョン編
36/133

4話 第一ボス 後編


 戦いは終わらず。すでにかなりの数を倒したことで、壁内の敵もだいぶ減り余裕が生まれる。



 第三波を凌ぎきり、壁の内側は残り数体。ゾーエもとりあえず大丈夫だと判断し、他の方面へ移動していた。


 ゴブリンの棍棒を戦槌の柄で受け止めてから、相手の腹を靴底で蹴飛ばし。


「やっぱこのボス戦にも、当たり外れってあんのか?」


 ルチオに迫る数体へ〖鎖〗を放ち、〖巻き取り〗で引き寄せる。


「あると思う」


 初級の群れボスにも強弱はあった。


「なんか私たちの時、いつも苔や草多かったけど」


 エルダは滑車をその場に残し、一度距離を置く。


「お前ら運良すぎだろっ!」


 良いのだろうか?

 トゥルカが滑車に到着したのを待って、エルダも再び参戦。


「戦いに集中。なんか来た」


 ゾーエの杖が差す方向から、一体のオークがゴブリンたちを引き連れてくる。


「よっしゃ! ボスか?」


「いや、違うな」


 こんな情報はなかった。オークの前を歩くのは、他のゴブリンより少し大きな個体で、まとう装備も一段階上だった。


 予想外の展開ではあったが、ゾーエは表情の変化もなく。


「あれ、ゴブリン側のボス」


 納得いったようにルチオは戦槌を肩にかつぐ。


「確かに聞いた通りだ」


 体格は良かろうと。


「まとう空気がちげえ。肌が痺れねえ」


「これから面白くなるっつうのによ、水差すこと言ってんじゃないよ!」


 闘志がトゥルカの全身から湧き上がる。だから誰だお前。



 アドネ・モニカ・サラに状況を説明してから、ゾーエはエルダの背後まで歩み寄り。


「火炎放射つかう」


 ルチオはマジかと苦笑い。


「いっちょやるか!」


 もう一方は大喜び。



 敵の集団に弓持ちはいない。どうやらもう打ち止めらしい。


「解毒薬の確認」


 専用の腰ベルトに瓶がはめ込まれていた。まだ余裕はある。


「トゥルカは前に。ルチオさんはここまで下がって、神力の補充」


 エルダは直撃しないよう、ゾーエの横へ。


 すれ違いざまにトゥルカの肩へ手を置き、無言で〖泣くな友よ〗を使う。


・・

・・


 ゆっくりと近づいてきた一団は、ボス小鬼が剣をかざすと同時に走り出す。


 射程と敵との距離を見極め、ゾーエは杖先から〖火炎放射〗を発動。彼女は全方面を受け持っているので、神力の消費も他より多い。


「〖友よ、今こそ駆け抜ける時!〗」


 その声は壁外にも届く。


 〖炎の鎧〗を〖炎身〗に。


 ルチオとトゥルカの体温が身体能力を底上げ。友情の紋章はエルダに発動。



 〖火炎放射〗に焼かれながらも、小鬼たちはなんとか逃げようと背中を向ける。一早く駆けだしたルチオはトゥルカの横を通り抜け、地面に戦槌を打ちつける。〖地炎撃〗


 負けじとトゥルカも前にでて、動きを止めた敵の隙間を潜り抜け、一気にボスへ接近しようとした。


 だがオークに歩行阻害は利いていなかった。炎を無視してボスを守ろうと前にでる。


 その身体はデカい。


「させない!」


 〖鎧の鎖〗をオークに放つが、〖巻き取り〗をしても引き寄せはない。エルダは滑車をその場に残し、回り込むように移動する。


 二つ目の滑車を出現させ、〖鎖〗を巨体にもう一度放つ。


 〖鎖の呪縛〗 大型に対してのみ有効。六時・九時・一二時・三時の方角。二カ所から発動する神技だが、三つ四つと増えるほどに効果は上昇する。


 肉鬼は完全に動きを止めた。


 活路が開く。


 ボス小鬼は一早く歩行阻害を脱した。熱に苦悶を浮かべながらも、自らの得物である片手剣で迎え撃とうと構えた。その瞬間にルチオが戦槌で地面を叩きつける。


 〖地炎撃〗から〖地炎重撃〗


 クールタイムも両方一つの枠で設定されている。限界まで二撃目を引き延ばしたが、強化された身体能力があったからこそ、トゥルカの急接近を可能とさせた。


 燃える刃が小鬼ボスを斬り、そこから炎が噴き出す。


「耳障りだ」


 断末魔すら許さないのか、トゥルカは小鬼の口もとを兜ごと鷲づかみ、〖炎身〗が顔面を焼く。


・・

・・


 内側と直結する三人と比べれば、左右からくる敵はそれほど多くはなかった。



 モニカは壁際で七体と対峙していた。


「こっちが本命」


 個体差もあるが、オーガより少し小さいか。それでも大型の敵に分類される。


 瘴気から発生した存在は子孫を残す術を持たず。三大欲求はない。


 ただ一種を除き。


 その欲望を象徴する醜い身体。だらしなく開かれた口からは涎が滴り、黒ずんだ牙の奥から舌が蠢く。


 戦いの最中だとしても、それは変わらず。人類に背中をさらそうと、肉を貪る行為に熱中する。



 前回の活動では一人を除き、仲間たちにオーク戦を経験させるべく、迷いの森付近まで足を運んだ。


「魔物はみんな好かんけど、アンタらが一番嫌いだ」


 偽物だとしても。


 

 今日まで積み重ねてきた。

 最近になり、やっと習得できた神技を使う。


「〖槍の紋章〗」


 槍神一体。利き手の甲に紋章が浮かぶ。


 力を得た神と同調することで、〖吾輩の槍〗が強化される。


 突(極) 斬(中) 打(中)


 だがこれは真髄ではない。その道を進むのならば。


・・

・・


 始めはただの棒きれだった。


 男とのあいだに存在する、身体能力の壁はどうしても埋まらない。


 それでももう嫌だった。虐げられる毎日から抜け出すには、この道しかないと何故か思った。


 身体と心を守るために。


 運よく自由を手にした後も、他の選択肢は選ぶことができなかった。

 



 剣の主神は槍使いに自らの加護を授ける。


 自分の技はお前の得物でも使えると。


 それからはただ歩き続ける。


 槍身一体。


 終わのみえない旅が始まった。


・・

・・


 モニカの片目に紋章が浮かぶ。


 この神技に込められた(まこと)


「〖私の槍〗」


 鈍い銀色の輝きをまとう。突斬打(弱)


 迫ってくるうち一体の口内を〖伸〗で串刺しにすると、サラのもとまで飛び跳ねて下がり、〖天の光〗に照らされる。


「お願い」


「ほいよぉ」


〖天の輝光〗により筋力を強化。


 その場から〖伸〗を二体に向けて連続で放つ。しかし重さのない突きは、オークの大盾で受け止められた。


 最初に放った一撃のみ。

 突く速度なども、一応はこの神技に影響を与えているのだろう。仕留めそこなったが、盾は突き破っており、その先の胴体にも傷を負わせていた。


 一番先頭の個体に狙いを絞り、誠の〖一点突破〗で宙を駆ける。


 貫くと同時に無力化の手応えを感じ、そのままの勢いで〖波〗が三体を転倒させたが、一体はなんとか凌いだ様子。

 下手に防ぐよりも、転んだ方が安全な場合もあった。


 仰け反った個体に身体と槍を回転させながら接近し、遠心力を利用して石突を喰らわせる。誠の〖無断〗から〖幻〗に繋げ対象の沈黙を確認。


 姿勢を整えたのち、〖伸〗によって傷を負っていた一体も貫く。



 残り四体。


 転倒していた個体に木槍が突き刺さる。


「三か」


 女型は壁上のゴブリンに集中していたが、男型は状況を見て自分たちの援護に回ってくれていた。



 〖波〗を免れた敵が迫って来たので一旦さがり、〖天の光〗で身体を温めたのち、空気を鼻から取り込む。



 感情が高ぶってしまい、口からこぼれる。


「こいつらだけは」


 殺しても殺したりない。



 〖伸〗の連撃は三度までだが、一回分のクールタイムが終わったようなので、迫る一体の動きを止める。


 〖香る木花〗により精神が安定していた


「活力の光を」


「おうよぉ」


 戦いの中で肉鬼の唾液が飛沫となって目に入り、さっきから痛くて堪らない。目元を拭えば血が混入しているようだ。


 全体を見渡す。ルチオ側からゾーエがこちらに近づく。


「ごめん、援護遅れた」


「こっちは大丈夫。右壁をお願い」


 今日まで鍛錬は重ねてきた。活動してない時は一日も欠かさず。


 いつか来るその日のために。


・・

・・


 右壁方面。


 ヤコポは近づいてきたゴブリンの腹へ木槍を突き刺した。


 筋肉が締まり抜けないので、その小柄を引き寄せると、靴底で押し返す。


 一点を見つめ。


「なんでこっちから来んだよ」


 壁を回り込むように、オークとゴブリンの混合隊が姿を見せる。


「とりあえずゴブリン狙うね」


 拠点の周辺は木が伐採されているが、ここらは森で囲われていた。


 その所為か。でも戦闘開始時はもっと明るかった気がする。



 〖神眼〗により視界をひらかせ、スっと指の力を弱めれば、吸い込まれるようにゴブリンの足を貫き転倒させた。


「アドネ君だっけ? すげえな、まだ一年も経ってないんだよな?」


「練習したから」


 ヤコポは槍を地面に刺し、装備の鎖から愛用の武器を取りだす。


「俺も負けてらんねえ」


 彼が愛用する兵木の弓と矢は一回り大きい。矢筒は底が広くなっており、地面にも置きやすい。入れれる本数は多いが、そのぶん身につけるには不便。


 小指・薬指・中指で二本の矢を挟みながら、残った指でゴブリンを狙う。手間取ることもなく、次のを弦にかける。


「ほんとヤコポさんって、なんでも(こな)すね」


 陰キャが褒められて照れていると、二人の頭上を赤光玉が通り過ぎていく。


「器用貧乏なだけ」


「富豪になりたいもんだ」


 移動しながらゴブリンとオークに〖炎球〗を連射。


「アドネさん、あれは唾液が危険」


「うん、わかった」


 毒というよりも、細菌に近いのだろうか。なにはともあれ、とても身体に悪い。


 モニカの指示でこちらに加勢したが、ルチオたちも放置はできないので、定位置に戻る。



 矢と〖炎球〗により五体いたゴブリンは全て倒れた。


 二体のオークも体中に傷を負っており限界も間近。



 敵が〖赤球体〗と接触する瞬間だった。通り抜け様に一体の肉鬼が、その神技を大剣でかき消す。


 装備はそこまで変わらない。盾や鎧に矢が刺さってはいたが、明らかに他よりも軽傷。



 射殺す眼光に影を落とし、舌打ちを一つ。


「アドネ君よ、準備頼むわ」


「うん」


 ヤコポは足の側面で矢筒を押し、一歩前に出ると弓を構える。


 転倒寸前になっているオークの急所を狙う。もう余裕はない、二体を一撃で沈めなくては。



 雷の使い手は後ろを振り向き。


「サラさん、輝光をお願い」


 求めるのは精神安定。


「ごめん、あとちょっと!」


 モニカ側で使っていた。


 あの時は運が良かった。実際は何度も失敗しながら、最難関の〖いつか見た夢〗を発動させる。



 二体は灰に帰った。


 何発放とうと、その肉鬼は止まらない。


「ゾーエっ!」


 事態はさらに悪化する。ルチオ側より彼女の声が聞こえた。


「ゴブリンのボスが出現した!」


 ヤコポはアドネに聞こえないよう。


「やばい」


 眠者の守り手に願う。


「援護を」


 矢の本数は増え、槍が化け物に迫るが、盾で防がれ大剣で弾かれる。

 その歩みは人間を目指すのみ。


「……」


 弓を投げ、矢筒を蹴飛ばす。


 木槍を地面から引き抜くと、目前まで迫る肉鬼(オーク)に向けて走り出す。


・・

・・

 

 〖火炎放射〗を放ちながら全体を意識していたが、彼の行動に気づき。


「あの馬鹿」


 後衛が突っ込むな。


 即座にサラへ指示を出す。


「日の光!」


「もうやってるっ!」


 ローブの輝きはまだ薄い。


 もう一度、器用貧乏を見る。

 

 モニカはすでに自分の周囲を片付けていたので、今さっき〖一点突破〗で背後を通り抜けた。



 巨体を前に怯むことも忘れ、ヤコポは肉鬼の振り下ろした大剣を、両手で持った木の槍で受け止める。


 将木の杖からなる宿木の槍であれば、受け止めるには十分な性能だと認識していた。


 大剣の刃が柄に食い込んでいく。



 ゾーエは自分の失策に気づく。


 使うべきはローブの神技で強化された。


「光十字をっ」


「私じゃ無理!」


 すでに両者の距離が近すぎる。



 この刹那に選択を。


「ヤコポの槍!〗」


 刃は止まった。


 巨体からの圧力に耐えるが、体格が違い過ぎる。


 盾を投げ捨て大剣を両手で持つ。肉鬼は潰れろと、汚い牙を剝き出しに叫ぶ。


 三白眼は空気に触れたまま、瞼を閉じることもせず、その一瞬を見極める。


 まだだ。


 耐えろ。


 力を抜くべきは。



 ポタポタと涎が顔面に垂れ落ち、自分の口内と眼球を汚染していく。


 見極めの一瞬を逃さず、宿木の槍を手放した。それにより力の行き場が流れ、大剣がすべる。


 空いた両腕で肉鬼の片足にしがみ付き、そのまま胴体と顔面で受け止めた。


 オークはバランスを崩すが転倒には至らず。前に出ていた足で地面を踏ん張り、ヤコポがしがみ付く側を膝から蹴り上げた。


 肋骨が砕け、臓器に突き刺さる。


 吹き飛ばされた勢いのまま土に削られ、〖宿木〗の前で停止した。



 口から血を吐き、赤い涙を流す。原形を歪ませた顔面。


 嘔吐。




 一点突破のクール時間は短いが、先ほど移動のために使ったばかり。


 走る勢いのまま槍の切先がオークを狙ったが、すかさず大剣から片腕を離し、そちらで防がれ胴体に届かず。


「下がって」


 モニカは槍を残して後ろに飛びのく。一回転をして片膝をつき、アドネの方を見た。



 轟音が鳴り響き、杖へと落ちる。


 先ほどルチオの声が聞こえていた。


 アドネがつぶやく。


「〖雷砲〗」


 鼓膜が破裂しそうなほどの何かが耳を裂く。




 回復役は急いで駆けより。


「いま使うから」


 朦朧とする意識の中で、ヤコポはオークを指さし。


「サラさん……まだだ」


 雷を受けても倒れず、その近くには丸腰のモニカ。装備の鎖から短剣を取りだそうと焦っている。


 ローブの輝きは十分と言えず、発動させた時点で威力が決まる。それでも前にでて天に杖をかざした。


 〖日の光〗から〖陽の光〗へと。


 戦いは終わった。


・・

・・


 森に囲まれた廃砦は、先ほどまでの薄暗さが消え、今は明るく照らされている。


 ヤコポは首に両手を当てていた。



 喉が腫れ吐物が詰まり呼吸ができない。


 視界がぼやける。


 (まぶた)は閉じてないのに、視線が上を向き何も見えない。


 脳が走馬灯のような幻想を映しだす。



 破壊された町壁を


 絶望の中で昇った光景を


 一点だけを睨み走り出す魔物たちを



 血だらけの連中に担がれた血まみれの男を


 今さらと彼らに向けられた冷めた視線の数々を


 行き場のない怒りで罵倒した自分を


 泣きながら殴ってきた知らない少女を


 殴り返そうとした自分を止める生き延びた仲間を


・・

・・


 〖香る木花〗がゆっくりと傷ついた身体を癒す。


 二体の木人がヤコポの傍らに立っていた。

 

 両脇を抱えられ、眠者のもとまで引きずられる。


 〖眠者の寝息〗 眠者に近づくことで、痛み緩和と状態異常回復(瘴気により弱体)。


 強張った筋肉が緩む。


 尿が地面を流れ、土へとしみ込む。


 腫れが引き、詰まっていた吐物を咳き込んで出す。肺へと空気が繋がる。




 違う。


 ボスの亡骸を見て。


「……偽もんだ」


 杖先でこづかれる。


「制作したの誰だと思ってるんだ。この馬鹿」


 魔物との戦いを忘れないために、神ができる限り本物を模した。



 杖を放り投げ、今にも殴ろうとしているゾーエの前腕を握り止め。


「まだ解放されたばかりだから、神像帰りもできるだろうけど、ダンジョン出たら反省会だよ」


 一番近い時空紋まで負傷者を連れてとなれば。モニカは頭のなかで考える。


「とりあえず装備の鎖から槍だしてくれる。ちょっとだけ貸してね」


 上位の素材から造られた品でもないため、まだ〖私の槍〗が残っていたとしても、〖雷砲〗の直撃となれば修理に出さなくてはいけない。


 〖眠者の宿木〗は大量の神力を使ってしまうから、ちょっとした戦闘であれば自前の弓や槍を使っていた。


・・

・・


 八名で神像にもどる。


 ヤコポは〖天の輝光〗により怪我も治ったが、精神面の傷が深く、しばらくは動けず。鎮痛剤などを使っても、癒えるのに一・二カ月はかかるだろう。


 エルダも引き付け役としての負担が大きく、休むことに決まる。


 トゥルカは戦闘時あんな状態になるだけあり、エルダ並みに消耗が激しいらしい。


 二手に分けるのなら、モニカとルチオも別にしなくてはいけない。



 前衛のルチオ・索敵のアドネ・後衛のゾーエ・回復薬のサラで素材の回収と探索に向かう。


 肉鬼ボス 民鋼の槍 将木(小) コンパス


 小鬼ボス 将布(小) 民鋼の鉄塊


 雑魚から入手できたのは兵や民が主だったが、隠し倉庫と思われる場所を、神眼持ちのアドネが発見する。


 宝箱が二つ。ここを協会に伝えれば、追加で報酬も貰えるだろう。秘密にしたところで、協会の指示した場所でなければ規則上は挑戦できない。


 ・軽鋼の鉄鉱石が箱に一杯。


 ・将革(小)。ボスの素材もそうだったが面積が小さく、これではナイフの鞘すら作れない。


 これらを紡ぎ合わせる。職人の技術と神技によるが、大きな革と遜色ない品を制作することもできる。修復には必要不可欠なもの。



 モニカと相談してからになるがと付け加えた上で、ゾーエが一つの提案をした。


 今回の討伐は成功したけど、完全に喜べたものではない。

 宝箱の一つを譲るから、次回も協力をしてもらいたい。


 神像に戻ってから、再度話し合いの場が設けられた。


 ルチオたちとしても、今回は外れだった可能性は高いが、このまま迷いの森への挑戦は不安が残る。なにせ自分たちは良く当たる。


 このレベルの中ボスを引いた場合は、次も成功するかは確信が持てないと、モニカからは念を押される。


 だがレベリオたちと共闘した経験からも、実力の拮抗しているこの二組の方が、多くの経験は詰めるだろう。



 再挑戦が決定した。



 コンパス。木枠に同じ物が三つはめ込まれている。迷いの森に入ると、それぞれが針を動かす。


 指定された第二ボスを。


 たくさんある偽物の中から、本物の時空紋を。


 大ボスの遺跡を。


 問題は迷いの森に入るたび、示す対象が変更されること。帰宅予定なのに第二ボスに遭遇したりする。


 


 






レべリオ組の強さを高く設定しているので、どうもルチオ組には本当にお世話になっております。ただ今後彼らは装備集めに集中するので、第二ボスはしばらく先ですし、まだ実力的に当分は厳しいです。



爺が天上に導く最低条件が○身一体を選び、一定の熟練に到達する事だったのかなと思います。


○神一体の方が強いけど、こちらの斬打突(強化)は誠ではありませんので。


弓 鎧 盾などは一定の熟練に到達するだけで、自分の技だと名乗ることが可能になります。またこれらの紋章より、近接武器の紋章の方が習得難度は高いです。


すべての近接武器に効果を与えたい。爺はこの意思を通すために、途方もない時間と神力を使ったのかも知れません。

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