表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/49

11・聖女は底辺生活決定のようです

「おっ、来たか」


 部屋の中央にマルレーネが出現する。

 転移の魔法石を使って、マルレーネがのこのこフランバル大聖堂にやって来たのだ。


「アルフ? どうして社会のゴミがこんな神聖な場所にっ?」


 マルレーネは俺を見るなり、いきなり罵倒してきた。


 良いなあ!

 それでこそ、今から復讐のし甲斐がいがあるというものだ!


「おいおい。久しぶりなのに、その言いぐさはないだろ」


 まあ久しぶりといっても、一週間くらいだが。


「なにを言ってるのですか! 答えてください! どうしてあなたが——」


 そこでマルレーネは周囲の状況に気付き、言葉を詰まらせた。


「ど、どうして神官達が……それに教皇様まで!」


 そう。

 フランバル大聖堂中の神官……まあ全員ではないが……そいつ等を集め、手足を縄で縛ってあるのだ。


「マルレーネ様! お助けください!」

「マルレーネよ……早くわし達を助けるのじゃ」


 もがきながら、神官と教皇はマルレーネに助けを求める。

 正直、両手足を縛られたくらいだったら、逃げ出そうと思えば出来たかもしれない。

 しかし弱くなっているせいで、これくらいの制限をかけただけでも、神官達は身動き取れなくなっているのだ。


「ああ……どうしてこのようなことに……誰がやったのですかっ?」

「こいつです! 早くこの男を始末してください!」

()……? まさか……」


 とマルレーネは俺の方にゆっくりと顔を向けた。


 やっと気付いたか。


「そいつ等の言ってることは当たってるよ」

「な、なんということを……」


 マルレーネは驚き、目を見開いている。


 このキレイな顔が今からどれだけ歪むのか想像するだけで、楽しみだなあ!


「しかし……どうやって? 大聖堂には治癒士も含め、魔法使いもたくさんいたはずなのに……ノロマなアルフでは、このような所業しょぎょうは出来ないはずなのに……」

「ああ。こいつ等、弱かったから俺でもなんとかなったよ」

「嘘を言わないでください! 大聖堂にいるのは選りすぐりの神官ですわよ! 今すぐ彼等を解放しなさい!」


 マルレーネが大きな声を張り上げる。


「マルレーネ様……」


 神官達のマルレーネを見る目つきは、まるで女神を前にしたかのようだ。


「ハハハ。お前、こいつ等の前ではお利口にしてるみたいだな」

「なんのことですか?」


 マルレーネがキョトンとした顔つきをする。



 聖女マルレーネはイーディス教の奇跡とも言われ、皆から尊敬の眼差しを向けられている。


 しかもそれだけじゃない。

 マルレーネは下っ端の神官にすら優しい顔を見せているのだ。


 枢機卿すうききょうたるマルレーネが、そんな顔をしてたら、バカな男はコロッと騙されてしまうかもしれない。

 結果、イーディス教内にもマルレーネのファンは多い……とも噂で聞いたことがある。



「だが、今からその仮面を俺を引っぱがしてあげよう」


 しかし俺は知っている。

 こいつは打算で動く女だ。

 そうやって優しい顔を見せているのも、ゆくゆくは教皇になるための布石ふせきなんだろう。


「なにを訳の分からないことを言っているのですか。あなた、今の状況が分かっているのですか?」


 マルレーネが鋭い視線を向ける。


「わたくしを回復魔法しか使えない治癒士だとお思いでは?」

「そんなこと思ってないよ。お前は優秀な魔法使いでもあった」


 ()()()()()()()


「それではもう覚悟をしていますわね? 急にパーティーを抜けて……元仲間とはいえ、容赦はいたしませんわよ」


 なにもマルレーネは回復魔法しか使えないわけではない。

【魔法補正+50倍】を持った優秀な攻撃魔法の使い手でもある。

 このスキルを持った者は、普通の人より50倍も魔法の成長速度が速いのだ。


 マルレーネは手の平を俺に向け、


「死になさい——ホーリーサイクロン!」


 …………。

 しかしなにも起こる気配がない。


「ど、どういうことですか? なにが起こっているのですかっ! もう一度——ホーリー」

「無駄だ」


 俺は歩いてマルレーネのところまで行き、そのおキレイな顔に拳をめり込ませた。


「ぐふっ!」


 聖女らしからぬ声を上げ、マルレーネは壁に叩きつけられた。


「クッ……ヒール!」

「お前はもう回復魔法は使えない」


 回復魔法を唱えたマルレーネの顔面をもう一発殴る。


 んー、気持ちいい!

 おいおい、鼻から血を出しているぞ!

 傷を負ったらすぐに回復してしまうので、マルレーネのこのような姿を見られるのは貴重だ。


「どういうことですか……? 回復魔法も使えない……?」

「決まっている」


 俺がそんなの使えないからだ。


 無論、こいつが部屋に現れた瞬間から【みんな俺より弱くなる】は発動しているのだ。

 そのせいで、こいつはこれから一生ド底辺生活決定!


「キャッ——なにをするのですか!」

「うるせえ」


 俺はマルレーネの髪を持って、無理矢理立ち上がらせた。


 キレイな髪だ。

 良い匂いもする。

 この髪に世界中の女が憧れている……という話も聞いたことがある。


 だが、俺はそんなこと気にせず、髪を持ったままマルレーネをブンブンと振り回した。


「お、お止めなさい。何故このようなことを——」

「ハハハ! これは楽しい!」


 そして再度、床に()いつくばらせてやった。


「一体……どうして……? わたくしの回復魔法が、どうして発動出来ませんの?」


 痛みのせいか、マルレーネの声がかすれている。

 しかし瞳を見るに、まだ戦意を失っていないようだ。


 そうだ。これこそ俺の望んでいたことだ。

 簡単に降伏なんてされたら、つまらない。


「アルフ。頑張って」

「おう」


 後ろからはイーデも応援してくれている。


 俺はマルレーネに近付き、


「おい、お前まだ気付いてないのか?」

「なんのことですか?」

「ここがどこっていうことにだよ」


 俺がそう言うと、マルレーネはキョロキョロと辺りを見渡した。

 こうして見ると、さすが絶世の美女とうたわれるマルレーネだな。

 これだけボロボロにやられて、血を流していても、まだ彼女の美しさは保たれているように見えた。


 面白い。

 まずは手始めに、その美しさを壊してやろうじゃないか。


「ここは……審判室?」

「そうだ。やっと気付いたか」


 教皇を脅迫して、マルレーネを呼び出した場所。

 そこは悪魔審判が行われる——審判室であった。


「まさか……」


 マルレーネがぎょっとした顔を向けた。


 おっ、察しが良いじゃないか。


「今から悪魔審判を執り行う!」


 俺は裁判官になったような気分で、マルレーネにそう告げた。

・今後の展開について(ネタバレにならない程度)

復讐は容赦いたしませんし、完遂します。途中で主人公が良いやつになって、やっぱ止めよ…とはならないです。

とことんまで勇者達には底辺に堕ちてもらいます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ