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婚約者と親友に裏切られた伯爵令嬢は侯爵令息に溺愛される  作者: Karamimi


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第23話:マーガレット嬢までも裏切るだなんて~ローイン視点~

 そろそろ証拠もそろった。さっさとマリンと婚約破棄をしよう、そう思っていた時だった。あろう事か、マリンとジェファーソン殿が不貞を働きだしたのだ。まさか親友の婚約者に手を出すだなんて!


 そもそもジェファーソン殿は、あんなにもマーガレット嬢を愛していたではないか。それなのに、己の欲望の為にあっさり裏切るだなんて、信じられない!


 俺は今までに感じた事のない怒りを覚えた。マーガレット嬢が気が付かない前に、2人の関係を終わらせないと!あんな浮気男でも、マーガレット嬢は彼の事を信じているのだから。きっと裏切られたと知ったら、物凄く悲しむだろう。俺は彼女の悲しむ顔なんて見たくない。


 そう思っていたのだが、なぜかノエルからストップがかかったのだ。


「君の気持ちもわかるけれど、マーガレット嬢に内緒で2人の関係を終わらせるのは得策ではないね。ローインはまだ、マーガレット嬢の事を愛しているのだろう?愛する女性が、不貞を働く最低男と一緒になって、本当に幸せになると思っているのかい?そもそも君、当事者が一番知る権利がある。マリンと不貞を働いた令息の婚約者には、全てを知らせるべきだ!と、常々言っていたではないか」


 確かにノエルの言う通りだ。俺はマーガレット嬢の事になると、つい冷静な判断が出来なくなってしまう。我が国では、特に不貞行為を極端に嫌う。もし不貞行為を目撃したりした場合、証拠を掴み報告する義務があるのだ。


 それに何よりも、被害者はその事を知る権利がある。たとえその事実が、どんなに受け入れがたい辛いものだったとしても…


「ノエル、君の言う通りだ。俺は冷静さを失っていたよ。マーガレット嬢の為にも、あいつらの不貞をしっかり暴こう」


 きっとマーガレット嬢はショックを受け、嘆き悲しむだろう。それでも事実を知らずに、裏切り者の男と一緒にいても、きっと彼女は幸せになれない。そんな思いで、必死に証拠を集め始めた。


 両親やノエル、王族たちと話をして、彼らの断罪は俺たちが貴族学院を卒院するタイミングでという事で話が付いた。それまで野放しにしておくのは気が引けるが、陛下や両親から“学生のうちは罪が軽くなる。学院を卒院して成人と認められてから、罪を暴こう”と言われたのだ。


 そんな中、事件が起きた。なんとマーガレット嬢が、マリンとジェファーソン殿の不貞を目撃してしまったのだ。ショックでその場で吐いてしまったマーガレット嬢。そりゃそうだろう、まさか親友と思っていた令嬢と自分の婚約者が不貞を働いていたのだ。


 さらにマリンは、全くの出鱈目をクラス中に広め、マーガレット嬢を孤立させたのだ。もう我慢できない。どうして罪もないマーガレット嬢が、苦しまないといけないのだ!


「父上、母上。俺はもう我慢できません!来月俺の誕生日があります。誕生日パーティーを開き、そこで全てを暴露しましょう。証拠は十分すぎるほどあるのです!」


「しかしだな、陛下とも話したが、断罪は…」


「陛下には今、ノエルが説得に行っています。そもそも、卒業したらなんて悠長な事を言っていたら、被害者が増える一方です。それにマーガレット嬢、彼女は自分の親友と婚約者の不貞を見てしまったのですよ。その上、あの女の嘘を信じたバカなクラスメイト達から、酷い虐めを受けているのです。自分の婚約者があの女と関係を持っているとも知らずに、本当に愚かな奴らだ!」


「落ち着いてくれ。ローイン、わかったよ。それじゃあ、明日にでも陛下と相談して、ローインの誕生日のタイミングで全て公にしよう。早速招待状を準備しないと」


「父上、招待状は主にあの女のクラスメイトを中心に出しましょう。それから、マリンと関係を持っていた令息とその婚約者も」


「ああ、分かっている。とにかく時間がない、急ごう」


 俺たちは急ピッチで話を進めていく。必ず出席して欲しいと言う旨と、被害女性には彼女たちの瞳の色のドレスも手配した。そうしている間に、ついにマーガレット嬢は学院に来なくなってしまった。


 きっと相当心を痛めているのだろう。彼女が心配でたまらない。やはり俺は、マーガレット嬢が今でも好きなんだ。


 クソ、俺がもっと早くマリンの悪事を暴露していれば、彼女があんなに苦しむことはなかったのに。俺はいつも、やる事が遅くて失敗する。本当に、自分の愚かさが心底嫌になる。


 それでも今は悔やんでいても仕方がない。やれることをやろう。


 そして俺の誕生日パーティー前日、俺は被害女性の家を1軒1軒訪問し、事情を説明して回る。顔を真っ青にして泣きじゃくる令嬢、その場で倒れ込んでしまう令嬢、怒り狂う令嬢など、さまざまだ。


 ちなみにマリンが手を出していた令息どもは、ほとんどが伯爵位以下で、同じクラスの令息だった。ちなみに貴族学院は、爵位でクラス分けをされている事もあり、被害女性も同じクラスの令嬢がほとんどだった。


 さあ、準備は整った。後は当日を迎えるまでだ。

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