田舎町のストリートビュー
今年の漢字は『熊』。
夫は『米』、私は『高』を予想していたが、それぞれ2位、3位だった。
熊だったかぁ……
確かに今年の熊出没件数は異様だったものな。
秋田県では、熊出没回数が8千件を越えているとか。
テレビの解説にうんうんと頷いていると、
『北海道の場合は出没件数は公表されてないんです』
――えっ! そうなの?
『もう当たり前すぎて、そういうデータがないんですが――』
吹き出した。
いや、さすがに当たり前ってことはないでしょ。
集計は出さないのかもしれないが、市内でヒグマが目撃されれば、警察の防犯情報としてスマホに届く。
1か月前ほどに、今年初めてのヒグマ目撃情報が来た。
熊は、それくらいの頻度だ。
むしろ不審者――服を脱いじゃってる人――出没の方が圧倒的に件数が多い。
『〇〇町3丁目付近でヒグマを目撃したという通報がありました。 警察官等が現場付近を警戒していますが、同所付近の方は十分に注意してください』
警察官も大変だな。
10年くらい前ならば、ヒグマ被害のニュースで聞くのは登山者や山菜採りの人、要するに『山へ入った人』だった。
今や、山に行かなくても安心出来ない環境になってしまったのか。
ところで〇〇町3丁目って、どの辺だったっけ。
スマホのマップアプリで検索する。
3丁目といっても広いからな……あれ?
『史跡』のアイコンがある。
こんな史跡あったっけ?
指先でタップして、現れたストリートビューに唖然とした。
山道じゃん!
ポツンと〜なんちゃらにでてきそうな、両脇が藪でところどころ未舗装の細い道路が、市街地から住宅街へと延々と続いている。
明治開拓時代に切り開かれた古い道路といったところか。
詳細は不明だ。ネットで検索しても『史跡』としか出てこない。郷土史家にでも聞かなければ、分からないやつだ。
ここならヒグマが歩いていたとしても、全く違和感がない。
碑石か何かないのかなと、ストリートビューを辿ってみた。
あったのは『不法投棄』への警告看板のみ。
その横に『熊出没注意』の看板を置いたら、効き目があるんじゃなかろうか。




