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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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99/102

99.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

「…………」


 ぽんぽこさんは、ピクリとも動かない。

 完全に呼吸も止めている(ように見える)。

 地面にへばりつくその姿は、まるで道端に落ちた粗大ゴミのようだ。


「起きるでしゅ。もう勝負はついたでしゅよ」


 私がつま先でツンツンと脇腹を突いても、反応はない。

 ふにふにとした狸の感触が返ってくるが、これも全部、幻術による錯覚だ。


(……なるほど)


 私は彼女の浅ましい思考を読み取った。

 『審判がいない以上、本人が口頭で「参りました」と言わない限り、敗北は確定しない』。

 あるいは、『死人に口なし。死体は負けを認めないから、引き分けである』。

 そんな子供のような屁理屈ロジックを盾に、現実逃避を決め込んでいるのだ。


「……汚い大人でしゅね」


 私は心底呆れた。

 けれど、そんな茶番に付き合ってあげるほど、私は暇じゃないし優しくもない。


「まあいいでしゅ。死んでいるなら、仕方ないでしゅね」


 私はわざとらしく大きな声で呟き、自分のカバンをごそごそと探った。

 取り出したのは、一台のスマートフォン。

 愛美が昔使っていたやつを、お古としてもらったものだ。


「死体放置はよくないでしゅから、埋葬してあげるでしゅ。……デジタル社会の闇に」

「!?」


 狸の映像が、ビクリとノイズのように震えた。


「この可愛らしい狸の姿……これも幻術で見せているだけで、実体はただの『ジャージ姿のお姉さん』でしゅよね?」


 私はニヤリと笑い、カメラアプリを起動してレンズを向ける。


 やっぱりだ。幻術は目を誤魔化す術。カメラには、映る。


「せっかくでしゅから、『公園で死んだふりをして負けを認めない残念なジャージ女』のありのままの姿を、ネットにばら撒いてあげるでしゅ」

「んぐっ……!」


 狸が苦悶の声を漏らす。

 デジタルタトゥーの恐怖は、現代人には効果てきめんだ。


「さあ、撮るでしゅよー。ハイ、チー……」


 私がシャッターボタンに指をかけた、その瞬間。


「やめろぉぉぉぉぉぉっ!!」


 ガバッ!!


 死体(仮)が、バネ仕掛けのように跳ね起きた。

 同時に狸の幻影が解除され、中から涙目で髪の毛ボサボサのジャージ女――ぽんぽこさんの実体が現れる。


「ネットはやめろ! 一生残るんだぞ! お嫁に行けなくなったらどうすんだ! 鬼かお前はぁっ!」

「あ、生き返った」

「うぐぬぬぬぬ……っ!」


 ぽんぽこさんは涙目で私を睨みつけ、悔しそうに拳を震わせる。

 しかし、結界を破られ、幻術のタネも割られ、精神的にも追い詰められた今、彼女に戦う力は残っていない。


 彼女はしばらく「うー」とか「あー」とか唸っていたが、やがてガックリと項垂れ、地面に座り込んだ。


「わーったよ! 負けでいいよっ、もー!」


 捨て台詞のように吐き捨てる。

 態度は悪いが、ようやくその口から敗北宣言を引きずり出したのだった。


(……まあ、ここ異世界なんで、ネットなんて繋がらないんでしゅけどね)


 私は愛美のお古のスマホをカバンにしまいながら、心の中で舌を出した。

 チョロくて助かった。

【お知らせ】

※2/5(木)


好評につき、連載版、投稿しました!



『【連載版】加護なしの第八王女は、前世が社畜だったので王宮生活がイージーモードにしか見えない』


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― 新着の感想 ―
ズルい流石タヌキモドキズルい! 幻術で取り繕うのに慣れてるせいで正体バレからそれをずっと形に残されるのがイヤなのか? 幻術のクオリティは達者でもそこで満足したから結界のクオリティがお粗末とは本末転倒…
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