98.
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
「……そこにいましゅね」
私は確信を持って、何もない空間――幻影の死角へと、とことこと歩いていく。
ぽんぽこさんの幻影が、私の背後でフリップを振って煽っているが、無視だ。
私は、何もない空中に向かって、おでこを弾く構えを取る。
狙いを定めて、えいっ。
パチン。
「いったぁ!?」
何もない空間から、素っ頓狂な悲鳴が上がった。
同時に、完璧に見えた狸の着ぐるみ(幻影)がノイズのように乱れ、一瞬だけ――ジャージを着た人間の少女の姿が透けて見えた。
「あ」
「いっ……てぇ……。な、なにしやがんだこのガキんちょ……!」
空間から転がり出てきたぽんぽこさんは、額を押さえて涙目になっていた。
もはやフリップを使う余裕もないらしい。
完全にキャラが崩壊している。
「やっぱり。狸の姿も幻影……中身は人間でしゅね?」
「ち、ちちち、ちげーし! これは世を忍ぶ仮の姿だ! 中の人などいない!」
「いや、丸見えでしゅよ。それに今、思いっきり喋ったじゃないでしゅか」
「む、むきーっ!!」
ぽんぽこさんは顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。
図星を突かれた上にデコピンを食らって、恥ずかしさでパニックになっているようだ。
敵意というより、ただのテンパったお姉さんだ。
「も、もう許さん! こうなったら本気を見せてやる!」
彼女が両手を広げる。
コミカルな動きだが、練り上げられる魔力はそれなりに大きい。
「我が最強奥義! 幻術と結界の複合魔術! 【無限狸迷宮】!」
ドォォォォン!!
視界が歪む。
次の瞬間、私たちが立っていた公園の景色は消え失せ、極彩色の幾何学模様と、無数の狸の置物がフワフワと浮遊する、奇妙な空間へと変貌した。
「ぬはははは! どうだぁー!」
空間の至るところから、ぽんぽこさんの勝ち誇った声(エコーかかり気味)が響く。
「ここは私の支配領域! 幻術で方向感覚を狂わせ、結界で物理的に閉じ込める! お前のちっぽけな結界術など、この空間の前では無力! 降参するなら今のうちだぞー!」
「…………」
私は周囲を見渡す。
なるほど。
幻術のセンスは独特で見事だ。上下感覚も曖昧で、どこが出口かも分からない。
これなら、普通の魔術師ならパニックになって泣き出すかもしれない。
――だけど。
「……お粗末でしゅね」
「あ?」
「幻術の構成は凄いでしゅけど、それを維持するための『結界』の強度が、スカスカでしゅ」
私は、空間の壁――極彩色の模様が描かれた「背景」に、ペタリと小さな手を触れる。
結界と幻術を合わせるという発想は面白い。
けれど、あれもこれもと詰め込みすぎて、土台となる「結界」の編み込みが雑すぎるのだ。
幻術というデコレーションに凝りすぎて、家の土台がグラグラになっている状態だ。
本職(私)から見れば、鍵のかかっていないドア同然。
「結界の主導権、いただきましゅ」
私は壁に触れた指先から、ほんの少しの魔力を流し込む。
相手の結界の術式に干渉し、ハッキングし、管理権限をスルリと奪い取る。
パリンッ。
硬質な音が響いた。
直後、極彩色の空間に亀裂が走る。
「な、なにぃぃぃいい!?」
ぽんぽこさんの素っ頓狂な驚愕の声。
「わ、我が最強奥義がぁぁぁ!?」
パリーン!!
ガラスが割れるように、【無限狸迷宮】が粉々に砕け散った。
景色が晴れる。
元の公園の風景が戻ってきた。
そこには、両手を広げたポーズのまま、口をあんぐりと開けて固まっているぽんぽこさん(狸姿に戻っている)がいた。
「な、なぜだ……完璧なはずなのに……」
「理屈は簡単でしゅ」
私は諭すように言う。
「結界の作りがお粗末だからでしゅ。土台がしっかりしていない家に、豪華な家具(幻術)を置いても意味がないでしゅよ。だから――」
私はニッコリと笑う。
「私に、主導権を取られちゃうんでしゅ」
完敗だ。
ぽんぽこさんはガクガクと震え、そして。
ペソッ。
糸が切れたように地面に突っ伏した。
ピクリとも動かない。
「……死んだふりでしゅか」
潔いほどの負けっぷりだった。
【おしらせ】
※2/2(月)
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