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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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98/102

98.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

「……そこにいましゅね」


 私は確信を持って、何もない空間――幻影の死角へと、とことこと歩いていく。

 ぽんぽこさんの幻影ダミーが、私の背後でフリップを振って煽っているが、無視だ。


 私は、何もない空中に向かって、おでこを弾く構えを取る。

 狙いを定めて、えいっ。


 パチン。


「いったぁ!?」


 何もない空間から、素っ頓狂な悲鳴が上がった。

 同時に、完璧に見えた狸の着ぐるみ(幻影)がノイズのように乱れ、一瞬だけ――ジャージを着た人間の少女の姿が透けて見えた。


「あ」

「いっ……てぇ……。な、なにしやがんだこのガキんちょ……!」


 空間から転がり出てきたぽんぽこさんは、額を押さえて涙目になっていた。

 もはやフリップを使う余裕もないらしい。

 完全にキャラが崩壊している。


「やっぱり。狸の姿も幻影……中身は人間でしゅね?」

「ち、ちちち、ちげーし! これは世を忍ぶ仮の姿だ! 中の人などいない!」

「いや、丸見えでしゅよ。それに今、思いっきり喋ったじゃないでしゅか」

「む、むきーっ!!」


 ぽんぽこさんは顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。

 図星を突かれた上にデコピンを食らって、恥ずかしさでパニックになっているようだ。

 敵意というより、ただのテンパったお姉さんだ。


「も、もう許さん! こうなったら本気を見せてやる!」


 彼女が両手を広げる。

 コミカルな動きだが、練り上げられる魔力はそれなりに大きい。


「我が最強奥義! 幻術と結界の複合魔術! 【無限狸迷宮タヌキ・インフィニティ・メイズ】!」


 ドォォォォン!!


 視界が歪む。

 次の瞬間、私たちが立っていた公園の景色は消え失せ、極彩色の幾何学模様と、無数の狸の置物がフワフワと浮遊する、奇妙な空間へと変貌した。


「ぬはははは! どうだぁー!」


 空間の至るところから、ぽんぽこさんの勝ち誇った声(エコーかかり気味)が響く。


「ここは私の支配領域! 幻術で方向感覚を狂わせ、結界で物理的に閉じ込める! お前のちっぽけな結界術など、この空間の前では無力! 降参するなら今のうちだぞー!」

「…………」


 私は周囲を見渡す。

 なるほど。

 幻術のセンスは独特で見事だ。上下感覚も曖昧で、どこが出口かも分からない。

 これなら、普通の魔術師ならパニックになって泣き出すかもしれない。


 ――だけど。


「……お粗末でしゅね」

「あ?」

「幻術の構成は凄いでしゅけど、それを維持するための『結界』の強度が、スカスカでしゅ」


 私は、空間の壁――極彩色の模様が描かれた「背景」に、ペタリと小さな手を触れる。


 結界と幻術を合わせるという発想は面白い。

 けれど、あれもこれもと詰め込みすぎて、土台となる「結界」の編み込みが雑すぎるのだ。

 幻術というデコレーションに凝りすぎて、家の土台がグラグラになっている状態だ。

 本職(私)から見れば、鍵のかかっていないドア同然。


「結界の主導権、いただきましゅ」


 私は壁に触れた指先から、ほんの少しの魔力を流し込む。

 相手の結界の術式に干渉し、ハッキングし、管理権限をスルリと奪い取る。


 パリンッ。


 硬質な音が響いた。

 直後、極彩色の空間に亀裂が走る。


「な、なにぃぃぃいい!?」


 ぽんぽこさんの素っ頓狂な驚愕の声。


「わ、我が最強奥義がぁぁぁ!?」


 パリーン!!


 ガラスが割れるように、【無限狸迷宮】が粉々に砕け散った。

 景色が晴れる。

 元の公園の風景が戻ってきた。


 そこには、両手を広げたポーズのまま、口をあんぐりと開けて固まっているぽんぽこさん(狸姿に戻っている)がいた。


「な、なぜだ……完璧なはずなのに……」

「理屈は簡単でしゅ」


 私は諭すように言う。


「結界の作りがお粗末だからでしゅ。土台がしっかりしていない家に、豪華な家具(幻術)を置いても意味がないでしゅよ。だから――」


 私はニッコリと笑う。


「私に、主導権を取られちゃうんでしゅ」


 完敗だ。

 ぽんぽこさんはガクガクと震え、そして。


 ペソッ。


 糸が切れたように地面に突っ伏した。

 ピクリとも動かない。


「……死んだふりでしゅか」


 潔いほどの負けっぷりだった。

【おしらせ】

※2/2(月)


新作、投稿しました!


ぜひ応援していただけますとうれしいです!

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よろしくお願いいたします!


『加護なしの第八王女は、前世が社畜だったので王宮生活がイージーモードにしか見えない』


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