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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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79.VS水神


 水神は、何者かによって操られていることが判明した。

 水神の暴走、あふれ出る濁流、そして呪いをかけている者の排除――三つの任務を同時に行う必要が出てきた。

 私たちは手分けして、そのミッションに当たる。


「ふしゃーーーーーーーーーーー!」


 ましろが宙を舞い、飛爪ひそうで斬りかかる。だが、飛ぶ斬撃は水神の鱗に当たっても、びくともしない。


――――――

水神のうろこ

→青龍を覆う鱗は、神威鉄オリハルコン以上の硬度を持つ

――――――


 ましろの爪は神威鉄をも引き裂くが、それすら水神の鱗ははじいてしまう。なんて堅さだ……。


「ましろたん、爪は効かないでしゅ!」

「うにゃにゃー!」

『【そんなのわかってるわよー!】ですって』


 わかっているのに、どうしてもっと強い攻撃を使わないのだろう。ふと、ましろの表情がどこか悲しげに見えた。ましろと水神は面識があると言っていた。知り合い――いや、もしかしたら友達なのかもしれない。友達を傷つけたくない気持ちが、攻撃の手加減に表れているのだろう。


『……敵を早く見付けないと、ですね』

「うぉ! 貞子さんの声!? どこから……!?」


 私の肩に小鳥が止まっている。貞子さんが調教した伝言鳩だ。


『……伝言鳩と呼ばれる魔物です。ハトを通して遠くと会話でき、視界も共有できます』

貞子さだこさんのテイマースキルって、本当に便利ですね」

『愛美さん、ふざけないで。きちんと寧子さん(鳩)を手伝ってくださいね』

「わ、わかってますよっ。いつだって真剣ですからっ」


 疑わしいが、まあいい。


「そんじゃ……とりあえず、広がる濁流を止めます! 結界!」


 愛美さんが柏手を打つ。彼女を中心に巨大な結界が展開した。空を覆うほどの大きな結界だ。


「聖域を中心に、でっかい結界を張らせてもらいました!」

「それは……いいですけど。そんなことしたら力尽きませんか?」


 聖なる力は無限ではない。結界の維持にはリソースを消費する。


「ぬははは! そこは問題なっしんぐ! 濁流だけを閉じ込めて、それ以外は出入り自由って条件にしたから、消費を省エネしたのです!」


「条件を変えると、そんなことができるんでしゅ?」

「そう。出入りできるものを限定すれば限定するほど、消費は減らせるんです!」


 なるほど、仕様の都合で工夫できるのか。先輩聖女、さすが知識が豊富だ。


「しゅごい……」

「やすこにゃん、今のうちに湧き出る水を減らす方法を考えてくさい!」


 聖域から大量の水が湧き出している。これをどうにか減らさないと、結界内が満たされてしまい、溺れる危険がある。


「方法は……考えてましゅ!」


 私は腰のカバンを掲げる。愛美さんから借りている魔法のバッグだ。何でも収納できる力がある。


「収納……!」


 猫型カバンの蓋がぱかっと開き、ひゅごぉおおお――と大量の水がカバンに吸い込まれていく。


「なるほど、カバンの収納ギミックで水を吸ってるんですね! って、やすこにゃん? なんでそのカバンをあたしにかけるの?」


 愛美さんのカバンを、彼女に掛けてあげる。


「じゃ、私はましろたんの手伝いに行きます。ここはよろしく」

「ちょ!? 結界の維持しながらカバンで水吸うの!? そんな二つ同時にできないですよ!?」

「大丈夫。カバンがオートで水を吸いますので、愛美しゃんは結界の維持に注力してくだしゃい」


 ぴょん、と私は結界の外へ出る。ましろは水神と戦っており、明らかに手を焼いている。友達であるが故にパワー全開で戦えないのだろう。


 水神は、友であるましろを認識していない。殺すつもりで、水ブレスや尾撃を放ってくる。


「ましろたんっ!」


 ましろが水神の尾撃を受け、風圧で吹き飛ばされる。ジャンプで避けようとしたが間に合わなかった。


「結界!」


 私はましろを包む結界を展開し、吹き飛ばされるところを受け止める。なんとか助け出し、私はましろを抱きかかえた。


「ふにゃあ……」


 近くで見ると、ましろはかなり傷ついている。白い毛が血で汚れている。


 思わず私はぎゅっと抱きしめた。


「ましろたんは、優しいでしゅね」

 私は治癒をかけて怪我を癒す。身体の傷は癒えるが、友を傷つけた心の痛みはすぐには消えない。


「ましろたん、あとはアメリアしゃんたちを信じて、結界の中でおとなしくしてましょう」

「ふにゃー!」


 ましろは首を振って落ち着かないが、結界の中でじっとする。


 水神は標的を、ましろから愛美さんの結界に変えようとしていた。


「うわぁ……! やばいです! なんとかしてください! 水だけに限定して押さえ込んでいるから、水神自体は抑えられないですよぉ!」


 水神は、脅威であるましろが攻撃してこないなら、結界の外の人々を狙って攻撃を仕掛けるつもりのようだ。


「結界!」


 私は水神の周りにボール状の結界を張る。水神がその壁にぶつかった。


 バウンッ……! 水神が結界の壁に阻まれる。


「なるほど……水神だけを閉じ込めることに特化した結界ですね。やすこにゃんの猫神モードによるブーストもあって、なんとか閉じ込められてます!」


 結界を水神に特化して限定し、さらに猫神の力でブーストすることで、ぎりぎり封じ込められている。だが長時間は保たない。


「アメリアしゃん、ラッセル様、貞子しゃん、この間に呪いをかけている奴を見つけてください!」


 役割分担を再確認し、私たちは行動を続けた。


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★新連載です★



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『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

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