67.ねこばば愛美
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
毒蛙を倒し、負傷者はヨルパワーで(偽装して)治した。
シュナウザーさんが、現場に残っていた騎士たちに状況を説明している間、私たちはぼーっとその終わりを待っていた。
ふと、バセンジーさんが訊ねる。
「そういや、お嬢ちゃん。シュナウザー様と一緒に拉致された獣人たちを、ここまで連れてきたんだろ?」
「あい」
「その拉致された人たちってのは、一体どこにいるんだ?」
あ、説明してなかったか。
「この中に、みんな入ってましゅ」
「嬢ちゃんの……カバンか、これ?」
猫の形をしたカバンを、私はバセンジーさんに見せる。
「あい。これは魔法のカバンなんでしゅ。中にたくさんのモノを入れられるんでしゅ」
「……なるほど。この中に拉致された人たちをかくまってるってことなんだな」
「あいっ」
「……しっかし、こんなちっこいカバンに、たくさんの人たち入るのか?」
「みてみましゅ?」
「え、あ、あ……うぁあああああああああ!」
私たちはカバンの中へ移動する。このカバンのなかみは、異空間につながっているのだ。
目を覚ますと、そこには――。
「なんじゃこりゃ!」
たくさんの子犬たちが駆けずり回っていた。
「あ、コネコちゃんだ!」「コネコさんっ!」
わぁっ、と大量のワンちゃんたちが私めがけて押し寄せる。あっという間に、私は子犬たちに囲まれ、押し倒されて仰向けになる。もふもふ……もふもふ……。
「もふもふぱらだいしゅだあ〜……♡」
べちゃっ、と何かが私の顔にくっついた。引き剥がすと──。
「ましろたん!」
「と、愛美さん(実体)もいる!」
ましろと愛美さん、そして貞子さんもいた。ここでは彼女たちも霊体ではなく実体を持って暮らしているらしい。
「しゃー!」
『【このあたしがいるのに、浮気なんて許せないんですけどぉ!?】ってヤキモチ焼いてます』
私はましろを抱きしめる。
「大丈夫、浮気じゃないよ。ましろたんがNo.1だから」
「にゃふ」
『【とーぜんよ】ですって。全く気位の高い猫さんですねぇ〜』
もふもふに囲まれ抱っこされ、ここはまさにモフモフ天国だ。
「すげえな嬢ちゃん、こんな異空間を作り上げちまうなんて」
「ふっふっふー、オジサン違うんだよなぁ。これは我らがコネコちゃんの力じゃあない!」
「お、おう……てかおまえさんは誰よ?」
バセンジーさんと愛美さんは初対面らしい。いつも外では愛美さんが霊体だから、実体で会うのは珍しいのだろう。
「よくぞ聞いてくれましたっ。あたしは愛美! このカバンの持ち主!」
「へえ……カバンの嬢ちゃんがこの空間を作ってるってこと?」
「そのっとーり! 暮らしやすいようにカスタマイズしたのです!」
なるほど。愛美さんがこの異空間を整えてくれていたのか。
「空間を操るなんて、すげえな、愛美の嬢ちゃん」
「ぬへへへ〜♡ でしょでしょ〜♡」
確かにスゴい。私にはここまでのことはできない。さすが先輩聖女だ。
「はー……カバンの持ち主は、ここで一体何をしてるんだ?」
「え……?」
ふと気になり始める。愛美さんは普段は霊体で外に出ているが、普段何をしているのだろうか。
「えーっとぉ〜……」
「ふにゃ」
「ああ、だめですよぉ!」
愛美さんが慌ててましろを抱き上げる。どうやら不都合なことを言いかけたらしい。気になった私は、視線の先にある小屋を見に行くことにした。
「ああ待って! そっちはだめー!」
愛美さんが追いかけてくるが、ましろが尻尾を伸ばしてその足に巻きつき、動けなくしている。
「ああ、動けない! ちぎれない! やめーい!」
私は小屋の扉を開ける。すると、そこにはとんでもない汚部屋が広がっていた。床には読みかけの漫画や、やりかけのゲームなどが放置されている。
「漫画にゲーム……? なんでこんなところに……」
「…………」
「愛美しゃん?」
貞子さんが目をそらす。視線の先にある小屋の中に、どうやら愛美さんの“秘密”があるらしい。気になった私は中をのぞきにいく。
「勝手に取り寄せてたんでしゅ?」
「ちちちちちち、違う違うなんですこれはその……あの……あはっ♡」
愛美さん、言い訳がぐだぐだだ。そこへましろが飛びかかる。
「しゃ〜!」
「ぎゃー! ごめんなさーい! 取り寄せカバン便利でぇ……! いろんなモノを取り寄せちゃうんですぅ!」
なるほど。食品だけでなく娯楽品も取り寄せられるのだ。便利だけど、金銭管理が心配だ。
「愛美しゃん……この取り寄せって、たしかお金かかりましたよね?」
「ぎくー!」
愛美さんが青ざめる。やだ、この人、本当に……。
「……わたしのおかね、ネコババしたんでしゅ?」
「…………にゃん♡」
愛美さんが膝をつき、猫ポーズでごまかす。可愛いが許さない。
「……ましろたん。やれ」
「ふしゃー!!!!!!」
制裁猫パンチが炸裂。愛美さんはボコボコにされて、必死に謝っている。
「あー! あー! やめてくださいましろ様! 許してぇ……!」
「ふしゃしゃしゃー!」
「ぎゃ〜! ごめんなさい〜! ゆるちて〜!」
そんなやり取りを見て、バセンジーさんがぽつりと言った。
「……人違いか」
「ふぇ? なんでしゅ? 人違いって」
「あ、いや。昔、うちの国に『沈黙の聖女』さまって人が来たことがあってさ」
「……ほぅ」
どこかで聞いたことのあるあだ名だ。バセンジーさんは続ける。
「沈黙の聖女さまは、昔流行病があったときに助けてくれた。その人の銅像が王都に建っててな」
「……へえ」
「その銅像と、そこのパンチ食らってる嬢ちゃんが顔が似てるなーって思ったんだけど……」
ましろが愛美さんをぺしぺしする。愛美さんは必死に懇願する。
「あ〜ん……ゆるして〜……もうしないですからぁ〜……」
私とバセンジーさんは顔を見合わせる。
「他人のそっくりさん、ってやつだな」
「ええ、そうでしゅよ」
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