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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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65.げきやば


 毒蛙を倒し、さらに瘴気も浄化した(波ぁ……! により)。


「ひゃんひゃんひゃんひゃーん!」


 馬車の中で、ヨルが私の体にやたら飛びついてくる。


『遊ぼって連呼してますね』


「後でね、後でね……」


 今は毒蛙の問題をなんとかしないと。


 貞子さんにテイムした鳥を使って、周囲の様子を見てもらっている。


『……毒蛙は、ネログーマの西側に集まってます』

『ゲータ・ニィガ国境付近に集中してるってことですね』


 愛美さんから地理を教わる。ゲータ・ニィガとネログーマは隣接していて、ネログーマの西にゲータ・ニィガがあるらしい(それ以外は海と接している)。


「なんで西に、毒蛙が集中してるんでしょうね」


『すみかが西に集中してるからですかねー』


 私と愛美さんがうーんと唸る。一方で貞子さんが目を開けて言う。


『……なんだか、作為を感じます』


「作為?」


『……はい。魔物を操ってる人がいる気がします』


「どうしてわかるんですか?」


『……わたくしの勘、です、としか』


 貞子さんは調教師テイマー。ケモノを操るものとしての勘がそう告げているのかもしれない。


「にゃふ……」


『【ヤスコ、猫耳可愛い】 のんきですねー』


 うう、まだ猫神モードが解けない。


「ましろたん、これいつ解除されるんでしゅか?」


「にゃーお」


『【そんなのあたしがわかるわけないでしょ】ですって。元凶なのに……あっ、やめてっ、連打やめてっ!』


 元凶って言い方が気に入らなかったようだ。


「でも西側に集中してるなら、都合がいいな」


 アメリアさんが言う。


「我がいるのも、ネログーマ西側だ。王都へ向かう道すがら、毒蛙も倒せる」


「でしゅね……ん?」


 ぴん、と私の尻尾が別方向を向く。


『やすこにゃん、どうしたんです、猫尻尾なんて動かして。萌えを意識してるんです?』


「ちがいましゅよ。なんか、体が反応して……」


 すると、げこ、げこという音が聞こえた。


『今度は猫耳を動かして……やっぱり萌えを意識してるんでしょ?』


「ちがいましゅって。貞子しゃん、こっちに何かいますか?」


 私が指さす方へ、貞子さんに索敵してもらう。


『……毒蛙の群れがいます。どうやら獣人の騎士たちが戦っているようです』


 これってつまり、魔物の位置を特定できたってこと? まさか……ましろのスキル、猫のひげ?


『猫神モード中は、バステト神と力を共有できるって鑑定に書いてありましたからね』


「にゃるほど……。アメリアしゃん、敵がいます!」


 アメリアさんは頷き、馬車をそちらに向ける。


『波ぁ……! はしないですか?』


「しましぇんよ……愛美しゃん」


『なんだぁ、かっこいいのに』


 のんきだなあ。まあ、愛美さんは霊体だし。


 波ぁ……! をすると、近くにいる獣人の騎士たちをびっくりさせてしまう。だからしない。


「ひゃん~。ひゃん~」


 ヨルがぴょんぴょん跳ねて私に飛びかかってくる。どうやら遊んでほしいらしい。


「後でね」

「う~……」


 とても不満げ。そんなに遊んでほしいのか……。


『……毒蛙、かなり数が多いです』


『とのことですが、ましろ様。さっきみたいにカエルをすぱぱーんってできます?』


 愛美さんの問いかけを、ましろは無視してあくびをしている。


『ほんとにこの猫、やすこにゃんの言うことしか聞きませんねぇ……あっ! あっ! やめてっ、そうですよね、猫じゃあないですよね、神! 神ぃ! 仰せのままにぃ~!』


 じゃれてる愛美さんをよそに、毒蛙の対処法を考える。


「体から毒を出してるってことは、直接攻撃はやめたほうがいいでしゅよね?」


「そうだな」


 アメリアさんが同意する。だが——


『……寧子さんの遠距離攻撃手段って、どれも火力高すぎますよね』


 火遁にしろ、月は無慈悲な夜の女神ムーン・プリズム・パワーライトにしろ、強すぎる。もっとちょうどいい力があればいいのだが——あっ、そうか。


「今……ましろたんの力が、わたしにもあるってことは、飛爪ひそうが使える!」


 なるほど。ましろがやらなくても、私がましろの力を使って戦えばいいのだ。


「コネコちゃん、見えてきたよ」


 馬車が止まる。少し離れた森の近くで戦闘が行われていた。バセンジーさんと同じ鎧をまとった獣人たちが、カエルと相対している。


「助太刀せねば……!」


「待ってください、バセンジー。コネコさんが遠くから攻撃するとのことですわ!」


 シュナウザーさんがバセンジーさんを止めてくれる。助かる。


「嬢ちゃんが……って、なんだい、その耳と尻尾」


「そこには触れないでほしいでしゅ」


 私は荷台の端に立ち、両手を広げる。


飛爪ひそう!」


 ましろの攻撃スキル、飛爪。斬撃を飛ばすスキルだ。


 しーん……。


「あ、あれ? 飛爪ひそう! あれぇ~?」


 スキルが発動しない……?


「なう」


『【爪でひっかくポーズしないと発動しないわよ】ですって。それ早く言ってくださいよぉ~。あっ! あっ! 痛い痛い! パンチやめてパンチ!』


「しゃー!」


『キックにしてって意味じゃあないですからぁ……!』


 なるほど。発声だけでなくポーズも必要なのか。私は両手を広げて、ぶんっ! と振る。


「あ」


 ましろさん!? その「あ」は何!? 嫌な予感しかしない!


 ズバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!


「「「えーーーーーーー!?」」」


 私、アメリアさん、シュナウザーさんが声を上げる。とんでもなく大きな斬撃が前方めがけて飛んでいったのだ。


 狙いが外れ、獣人たちやカエルたちの頭上を斬撃が通過した。だが、その背後の森の木々が、ずっぱーん! と一気に吹き飛んだ。


 それを見て、獣人たちもカエルすらも呆然としている。そりゃそうだ。


「ましろたん、さっきのあれなに!?」


「にゃうん」


『【強すぎ】ですって。な、なるほど……力を入れすぎたんですね。やすこにゃんこれ使うの初めてだから、力の入れ具合がわからなかったと』


 結果、あんなやばい斬撃が出てしまったらしい……怖い。ましろ、こんな激ヤバスキルを軽々使ってたの!?


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★新連載です★



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『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます 味方殺し!! 黒歴史になりそうな技名をつけられそうですね 毒ガエルの瘴気で土地なんかも使えなくなるなら 侵略だとは思えないし 他にもゲータ・ニィガに怨みのある人がいるんですか…
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