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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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05.強すぎる愛猫のおかげで私強くなる


 私、黒姫くろひめ 寧子やすこの飼い猫は、ただの猫ではなかった。


「バステト……?」


 表示されてる、ましろのステータスの中の、バステトの部分を、再度鑑定してみる。


~~~~~~

「バステト」

→月と豊穣を司る女神。太陽神の娘。

~~~~~~


 ……鑑定の内容を信じるなら、ましろは……神ということになる。


「あなた……神だったの?」

「みっ」


 肯定なのか、それとも否定なのか、わからない鳴き声を発する。

 でも……ただの猫ではないのだろう。

 あまりにも、人間の言葉を理解しすぎている。


 それに……私はましろあが、あの巨大な魔物を一撃で屠った姿を見てしまった。

 猫です、と言われるより、神と言われた方が、納得できた。


「…………神さま、か」


 可愛がっていた猫が、実は、猫ではない別の何かだった。

 あの魔物を瞬殺し、血だらけになって帰ってきたましろを見ると、ちょっと……怖くなる。


「み~?」


 ましろが近づいてきて、私の膝の上に乗っかり、頬ずりしてくる。

 ……そうだ。社畜時代から、ましろはこんな感じだった。


 こちらが思い悩んでいるときでも、無遠慮に、近づいてきて、そして、甘えてくる。


「…………」


 正直、ましろが猫ではない事実を、直ぐに受け入れられない。普通に、ちょっと、いや、だいぶ……怖い。


 でも……。


「君は、今も昔も、ましろたんでしゅ」


 何を今更、とばかりに、ましろが小首をかしげてる。

 この子は、確かに正体は神かも知れない。猫ではないかもしれない。


 でも、私の知ってる愛猫ましろだ。

 その事実は、変わらない。……だから、遠ざけるようなことは、しない。


 ましろを膝の上にのっけた状態で、よしよしする。


「ましろたん……ステータスまんぱいでしゅ……」


 レベル∞ってどういうことなのだろうか……?

 鑑定しても、レベル∞以上の情報が出てこないし。


 ∞って、数というより量な気がする。レベルに対して、使って良い表現なのだろうか……?


 レベルと言えば、もう一つ……というか、こっちが一番きになってる。


「なんで……私のレベル……あがってるんでしゅ……?」

「くぁ……」


 ましろはあくびをするばかりだ。

 この子、私の言ってること、理解してるだろうに……。

 説明するのがめんどくさいのか、そもそも、知らないから説明できないのか……。


~~~~~~

「レベル」

→強さを数値化したもの。魔物を倒す等で、経験値を貯めることで、レベルアップする

~~~~~~


 ステータスの、レベルの表記を鑑定した結果が、これだ。

 レベルアップのためには、魔物を倒し、経験値を貯める必要がある。


 けれど……私は魔物を倒していないのに、レベル1が91になっていた。


「いつの間に……魔物たおしてたんだろう……?」

「…………zzz」


 ましろが眠っていた。

 この子、かなりマイペースなのだ。まあ、猫だから。正体は猫では無いけども。


 魔物を倒し、経験値が入ると、レベルが上がる。

 レベルが上がった以上、経験値をどこかで、私が仕入れたことになる。


 どこで?

 どこから?


「…………zzz」


 考えられるのは、ましろだ。

 ましろはさっき、血だらけになって帰ってきた。あれが、魔物の血だと仮定しよう。


 ましろが魔物を倒しても、私に経験値が入る。

 だから、私がレベルアップした……?


 鑑定スキルは、対象となる物体に秘められた情報を、読み取ることができるスキルだ。

 こちらが感じたり、思ったりしたことにたいして、適切な答えを返してくれるスキルでは、ない。


 私の仮説があってるかどうか、答えてくれるものは、この場には居ない。

 ならば、検証して起きたい。ましろが魔物を倒せば、私のレベルが上がるかどうか。


 この世界、魔物がいる。死が地球よりも近い。命の価値が、向こうよりもかるい。

 こっちには知り合いが誰も居ない以上、自分の身は自分で守る必要がある。


 レベルを上げれば、それだけ、生存率が上がる。

 頼れる相棒が居はするし、呼んだら直ぐきてくれるけど、来れない時があるかもしれない。


 だから、自分のレベルも、上げられるならちゃんと上げておきたい。死にたくないから。

 ……二度も死んでたまるか。


「ましろたん。魔物を倒してきて」

「み?」


 なんで、とばかりに、ましろが首をかしげる。


「私の仮説があってるか、調べたいのでしゅ」

「み~?」


 え~みたいな顔をする。

 かと思ったら……。


「みゃー!」


 ぴゅっ、と洞窟の奥へと駆けていく。

 まったくもう、気まぐれなんだから。


 どこへ行くのかわからない。

 でも、一人で居るのは不安だったので、彼女の後を付けていく。


 すぐに、ましろに追いついた。


「グルアァアアアアアアアアアアア!」

「く、くま……しゃん……」


 め、目の前には……巨大なクマの魔物が二本足で立っていた。

 わ、わ……私の体が小さいこともあって……余計、クマが大きく見える。


 その場に、尻餅をついてしまう私。

 に、逃げないと……。


「グルゥアアアアアアアアアアアア!」


 クマが腕を振り上げて、振り下ろしてくる。

 鑑定も……結界も、使えなかった。使う余裕が無かったといってもいい。

 私はただその場から動けずにいる。


「みゃー!」


 ずばばっ!

 ボトボト……と、クマの肉が地面に落ちる。

 失った、クマの腕を見て……。

 ましろが、敵の腕を切断したのだと気づいた。


「みゃ!」


 ましろの爪には、かすかに血が付いていた。

 まさか、あの子の小さな爪で、あんなでっかい魔物の腕を切り飛ばしたというの……?

 

「にゃふん」


 ましろが私を見て、えへんと胸を張る。

 だから……気づいていない。


「ぐ、グアァアアアアアアアア!」


 クマは、ましろという脅威を見てもなお、突っ込んでくる。

 このままじゃましろが!

 

「け、【結界】!」


 レベル3の結界スキルを、発動した。

 私の目の前に、無数の六角形が出現。

 それらが組み合わさり、私たちを包む、半球状ドームへと変化した。


 ガキィイイン!

 私の作った結界が、クマの斬撃を防いだ。

 で、できた……!


「みゃみゃみゃー!」


 ましろはクマに気づいたのか、きっ、とクマをにらみつけると、飛びかかる。


 くるんと、サマーソルトキック的要領で、縦回転する。

 ズバァアアン……!


 クマの体に、5つの線が走る。

 体がボトボト……と音を立てて崩れ落ちた。

「うみゃー!」


 ましろが急いで駆けてきて、私に飛びついてきた。 

 私の手や腕を、ぺろぺろと舐めてくる。


 ……もしかして、ケガしてないか確認してるのだろうか。


「大丈夫でしゅ……ましろたん。ケガは無いよ」

「みぃ~……」


 私は、ステータスを確認する。


~~~~~~

【名前】黒姫くろひめ 寧子やすこ

【種族】半神デミゴッド

【レベル】101

~~~~~~


 レベルが、10上昇していた。

 これで確定だ。


 私が戦わなくても、ましろが敵を倒すことで、私に何故か経験値が入るようだ。

 ……やっぱり、どうしてって気持ちは大きい。


 でも、現状では、そのどうしてという疑問に対する答えを、得ることができない。

 もう、今はそういうものだと理解しておこう。


 ましろが居れば、魔物に負けることが無い。

 魔物を倒してもらえれば、私も同時にレベルが上がる。

 私の結界は、あの魔物の攻撃をも防いだ。


 ならば……やることは、一つだ。


「ましろたん……行こう。森の外へ!」

「みゃー!」

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★新連載です★



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『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

― 新着の感想 ―
> 「ましろたん……ステータスまんぱいでしゅ……」 普通に話してたと思ったらまた幼児語になるし、「す」が言えなくて「しゅ」になってるのかと思ったら「ステータス」は普通に言える 違和感がすごくとても…
六角形だけで半球は作れないんじゃないかな?
転生後の寧子ちゃんの話し言葉が小さい子特有の拙い話し方なのに、時々大人の話し方が混じっているのは何故でしょうか?(^_^;) 一貫性がないと感じます。 頭の中で考えている事なら大人のしっかりした話し方…
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