39.新天地へ
皆様からの応援がうれしくて、続編、書くことにしました!
マイペースに更新していきます!
よろしくお願いします!
私の名前は黒姫寧子。二十八歳。
ブラック企業で働く、OL……だった。
しかしある日、愛猫がトラックに轢かれそうになってるところを助けた際に、事故死してしまう。
気づけば、私は幼女の姿で、異世界転生していた。
非力な幼女姿で、頼れる人もいない世界で、野垂れ死ぬしかない、かに思えた。
しかし一緒に転生してきた、愛猫のましろがなんとバステトという猫の神様であることが判明。
チート能力持ちのましろがいることで、異世界で苦労することなく、旅をすることができるようになった。
ましろとともに旅をしながら、同じ境遇の聖女、愛美さん、貞子さんを仲間に加える。
また、姫騎士のアメリアさんも旅についてきてくれることに。
最初は、どうなるか不安だったけど、今では楽しく、仲間たちと旅してます。
⭐︎
元々の拠点としていた街を離れて、別の街を目指す私たち一向。
アメリアさんの運転する馬車に乗ってる。
アメリアさんは騎士なので、馬の扱いに長けているのだ。
私は彼女の前に座ってる。
ちなみに、ましろはカバンの中、愛美さんたちも同様である。
『いやぁ! カバンの中、快適ー!』
愛美さんの声が脳内に響く。
『ごめんね、やすこにゃん。わ、わたしほら、有名人みたいで……いやぁ、人気者は辛いですなぁでへへ』
愛美さんは大昔、沈黙の大聖女と呼ばれていたらしい。
各地で困ってる人を助けていたそうだ。そして、何も言わずに立ち去っていった。だからあだ名がついたそうだ。
それから長い年月が経過してはいるものの、彼女の名前は知れ渡ってるし、長命者は愛美さんを覚えてるそうだ。
外をぶらついてると、正体がバレてしまう。だからこうして、カバンの中で生活してる。
『……寧子さん。ごめんなさいね』
「いいんでしゅよ、貞子しゃんは、お尋ね者でしゅからね」
こちらも聖女の一人、茶臼山貞子さん。
彼女は召喚主のせいで、悪いことをさせられ、しかも濡れ衣まで着せられてしまったのだ。
愛美さん同様、外を出歩けないのである。
旅の仲間は3人+一匹だけど、二人お尋ね者であるため、実質二人旅してるように側からは見えるだろう。
「さて……これからどうしようか、コネコちゃん?」
アメリアさんが、私を偽名で呼ぶ。一応、私はこの国に召喚聖女として呼ばれた。
召喚主には、私の居場所を知られたくない(生きてることがバレたらどうなるか……)ので、こうして偽名を使ってる次第である。
「とりあえず、この王国から出たいでしゅね」
愛美さん、貞子さん、そして私。聖女を異世界から呼び出して、このように使い捨てるような国とは、もうおさらばしたい。
『わたしも他国にいくのは賛成ですぅ~』
『……わたくしは寧子さんに従います』
聖女ズも、私と同意見の様子。
『ここから近い国は、帝国か、あるいは獣人国ですかねえ』
と愛美さん。
「それぞれどんな国なんです?」
アメリアさんが教えてくれたところによると……。
・マデューカス帝国→比較的最近できた国。実力至上をかかげている。銃の生産が盛ん。
・獣人国ネログーマ→獣人が治める、獣人達の国。比較的みんな穏やか。水と緑に囲まれる豊かな国。
「ネログーマ一択でしゅ」
銃とか、怖いし。それに実力至上主義な国に集まる人たちも、怖そう。
私たちは、安全に旅したいのだ。
「では、ネログーマに向かおうか。ゲータ・ニィガ王国から、東に向かって進んでいく道程になるぞ」
「あい!」
私たちを乗せた馬車は、東へと進路を切る。
そのときだった。
ぴん、とましろの猫のひげが動いた。
「ふにゃう」
『【敵ね、鳥だわ】だそうですぅ』
愛美さんがましろの言葉を翻訳してくれる。
彼女は、ましろと魂同士でつながってるので、猫の言葉がわかるそうだ。
「鳥……? いったいどこに……?」
上空を見渡しても、鳥らしい影は見当たらない。
「うにゃう!」
『【東の空よ。こっちに向かって飛んでくるわ。あたしがやっつけるわね!】』
ましろがしゅたっ、と馬の頭の上に立つ。
「あ、あぶないでしゅ!」
私はましろをぎゅっと抱く。
「なう?」
『【なんでとめるの?】』
私は首を振る。
「ましろたんの力、強すぎでしゅ!」
ましろはバステト。猫の神様だ。ものすごいパワーを持っているのである。
ちょいと攻撃するだけで、とんでもない事態が起きてしまう。
ぴくぴく、とましろがひげを動かす。
「しゃー!」
『【うだうだしてたらきちゃったじゃあないの!】ですって!』
たしかに、こっちに鳥が飛んでくる。
……しかし、解せない。あんまり早くないのだ。あれくらいなら……。
「【結界】!」
私は鳥の前に結界を出現させる。
転生聖女である私には、聖女スキルというものがある。
結界治癒浄化。私の得意技は、主にこの三つ。
そのうちの一つ、結界スキル。愛美さんたちから、聖女の力を貰ったことで、パワーアップしたそれは……。
パァンッ! と、鳥を、消滅させたのだ。
『な、ななな、なんですかぁありゃあ!?』
『……早すぎて、何が起きたのかわかりませんでした』
聖女ズがそんなことを言う。あれ?
「普通に、鳥が私の出した結界にぶつかって、木っ端みじんになっただけでしゅが?」
するとアメリアさんは目を剥いていた。
聖女ズも黙っている。あ、あれ?
「どうしたんでしゅ?」
「いや……コネコちゃん。私にも、敵の動きが見えなかった……」
「ええっ? アメリアしゃんも!?」
アメリアさんは確か、すごい実力の持ち主だ。だって、冒険者として登録してすぐに、高ランクをゲットしていたし。
そんな彼女の目でも追えない、敵の動きが見えていたなんて……。
『やすこにゃん、すごいですぅう……』
『……どうやらこないだの一件で、ますます強くなったようですね』
こないだのクエストで、色々あって、またパワーアップしていたのだ。
その影響で、私は動体視力が上がっていたらしい……。
「うーにゃ!」
『【とーぜんよ! ヤスコはこのバステトに選ばれた特別な存在なんだから! 強くて当然よねー!】ですってぇ』




