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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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31.ゴブリンの巣を破壊にしにいく



「ふにゃーう」

『【ゴブリンくる】だそうです』


 ゴブリンか。ファンタジー小説や漫画では定番の魔物。


「どうする、コネコちゃん?」


 アメリアさんが剣を抜いて、森の方を警戒しながら言う。

 ……どうしよう。


 今回の依頼は、魔物を討伐するという内容ではない。

 人が襲われてるわけでもないし。

 だから……。


「余計な戦闘は避け、速やかにギルドに戻りましょう」


 隠しの結界を発動させる。

 これでゴブリンたちは、私たちを認識できなくなる。


 私たちは森から離れ、街へ行こうとすると……。


「ぐぎゃ!」「ぎゃぎいぃ!」「ごぎゃごっ!」

『ふえええ!? ご、ゴブリンがたくさん! しかも、こっちめがけてやってきますよぉ!』


 ……!?

 オカシイ……隠しの結界の効果で、雑魚モンスターは私たちが認識できないはずなのに……。


「迎撃を……」

「にゃ……!」


 ましろがくるんと一回転する。

 飛爪ひそうスキルが発動。

 襲いかかってきたゴブリン10体ほどが、一瞬で一刀両断された。


「相も変わらず、ましろ殿のスキルは凄いな」

「んにゃっ」

『【当然でしょうっ】ですって。でも……変ですね』


 愛美さんも私同様に、違和感を覚えてるようだ。


「おかしいでしゅよね。隠しの結界を張ってるのに、私たちに気づいて襲ってくるなんて」


 ゴブリンに結界を見抜く力があるとか……?


『か、考えられるとしたら、リーダーがいるかもですね』

「リーダー?」


『そう。雑魚の魔物はよく群れます。そして、群れを指揮するリーダーがそ、存在しますので』


 なるほど……。リーダーが私たちの位置を把握し、配下達に向かわせたということか。


「それに、ギルドにゴブリン討伐依頼がなかったのが、わたしは気になってるぞ」

『そ、それはおかしいんですね……。あんなにたくさんゴブリンがいるんです。ギルドが討伐依頼を出しても不思議じゃあない……』


 ギルドも、この事態については把握してないってこと……だろうか。

 いずれにしても、きな臭い感じがする。


「くぁあ……」

『【どうでもいいからさっさと帰りましょ……】ですって』

 

 ましろは、ゴブリンが不自然にたくさんいることを、気にかけていない様子。

 自分に関係ないことに対しては、とことん、無関心を貫くのがましろという猫だ。


 ……私も、ややましろ寄りの意見にはなってしまう。けど……。

 一度問題を認識してしまった以上、知らぬ存ぜぬ、とはいかない。


 ほっといて、事態が深刻化してしまったら?

 ここから一番近い街……ノォーエツの街には、世紀末さんがいるんだ。


 ……彼が危ない目に遭うのは、許容できない。


「私は調べたいでしゅ」

「無論わたしもだ」

「なう、みゃあ……」

『【まあ、ヤスコの好きにすればいいんじゃない……?】ですって』


 ということで、白猫ホワイト・キャットは、森の調査へと向かうことにした。


ゴブリンが来た方角へと、私たちは歩く。

 道中も、ゴブリンが執拗に私たちを狙ってきた。


 けど。


「みゃ!」

「にゃ!」

「ふにゃぁ~~~~~~~~~~~!」


 私に近づくゴブリンどもは、ましろが一撃で葬り去ってくれる。

 レベル∞の彼女にとって、ゴブリンなんて羽虫同然らしい。


『やすこにゃんが危険な場所に向かってるからか、ましろ様いつも以上に張り切ってますね』

「にゃ!」


『【ヤスコが一番大事だからね!】』


 ましろの愛の防御のおかげで、私たちは一度も戦闘することなく、【そこ】へと到達した。


 場所は、森の中腹あたり。

 洞窟の入り口らしき場所があった。


「見るからに怪しい洞窟ですね」


 一方で……。


「洞窟? どういうことだ、コネコちゃん。洞窟なんてないぞ?」

「え……?」


 アメリアさんが不思議そうに首をかしげている。


「わたしには、少し盛り上がった土壁があるくらいにしか見えない。洞窟なんてないぞ」


 アメリアさんが洞窟の入り口に近づくも、奥に進めないで居る。

 手を伸ばして、ぺたぺた……と何かに触れてる。


「これって……もしかして、隠しの結界?」

『で、ですね……これは……』


 私も結界に近づいて、触る。この感触は、間違いなく、隠しの結界……。


「どういうこと、でしゅか……? 隠しの結界が、どうしてこんなところに……?」


「ごぎゃ!」「ぎゃぎゃがぁ!」「ぎぃいいいいいいや!」


 洞窟の奥からは武装したゴブリンどもが現れた。

 アメリアさんはぎょっ、と目をむく。


「土壁から突然ゴブリンが! 【裂破斬】!」


 アメリアさんが剣を上段に構えて、思い切り振る。

 ゴブリン数体が、一撃で討伐される。


 ましろも凄いけど、アメリアさんもかなりの実力者だ。

 最高ランク冒険者と認められるだけの実力はある。


「どうやら、本当に洞窟があるようだ。そして……コネコちゃんが使うのと同じ、隠す力を持った結界が張られてる」


 ……そしてもっと重要なのは、ゴブリン達が結界を素通りできたという事実。

 これでゴブリンも出れなかったら、結界でゴブリンどもを閉じ込めていたんだ、って解釈できる。


 ……でも。


「この結界を張った奴、入り口を隠してました。ゴブリンが、見つからないように」

「!? それは……コネコちゃん同様、結界のエキスパートが、ゴブリンと手を組んでいるということかっ!?」


 ……ごくり、と愛美さんが息をのむ。


『隠しの結界は、高度な結界術……です。使える人種は、限られてきます』

「!? 愛美しゃん……それって……」


 愛美さんも、そして、私も、一つの可能性に思い至っていた。

 私と同様に、結界術のエキスパートが、ゴブリンと手を組んでいる。


 それはつまり……。


「どうしたのだ? 何かに気づいたのか、ふたりとも?」

『現段階では、推論の域にしか達してないので、ちょっと今は言えないですぅ』


 ……そう、違う可能性だってあるかもしれない。私たちの思い過ごしかもしれないし。


「なんにせよ、中は調査しないとでしゅね」

「そうだな……しかし、この結界、どうする? わたしたちの侵入を邪魔してくるぞ」


 ましろがじっ、と結界を見て、ふにゃ、と言う。


『【爪が折れちゃう】ですってぇ。ましろ様ぁ~』

「にゃふん、ふにゃ?」


『【あたしが出張らなくても、ヤスコならなんとかできるでしょ?】なんとかって……?』


 なんとかって、なんだろう。

 結界に触れる。ずるぅ……と私は結界の中に入ることができた。


「!? すごいぞ、コネコちゃん! 結界の中に入れるなんて! いったいどうやって……?」

「さ、さぁ……。で、でも行けるって確信があったのは確かでしゅ」


 触れた瞬間、そうおもったのだ。


『結界の才能が、ヤバいくらいあるからですね』

「わ、わかるのか、愛美どの!」


 愛美さんがどや顔をして(るのが容易く想像できる)、言う。


『聖女の結界スキルは、使えば使うほどスキルレベルがあがります。高位の結界スキル持ちともなれば、低位の結界に簡単に侵入できるんですよ』


 なるほど。私の結界スキルは、愛美さんからレベルを引き継いでるので、かなり高い。

 恐らくこの目の前の結界を張った本人のスキルレベルよりも。


 だから、私は簡単に、ここを素通りできた……という理屈らしい。


『そして! 結界の構造を把握できたということは、自在に外から形を変えられるということ! やすこにゃん、結界に触れて、形を変えてみてください』

「わかりました」


 先輩聖女である愛美さんが、できる、というのだ。

 だから……できると思う。


 私は結界に触れる。


『相手の結界の形を、頭の中でイメージして、それを自分の手で形を変える……形を、書き換えるイメージです』


 言われるがままに、やってみた。

 ずぉ! と結界に入り口が出現する。


「やった!」


 パリィイイイイイイイイイン!


『ええええええええええええ!?』

「け、結界が割れたぁ……!?」


 お、おかしいな……結界に入り口を作るだけのはずが、結界が壊れてしまったようだ。


『ど、どうやらやすこにゃんの結界スキル使いとしての才能がやばすぎて、形を変えるどころか、相手の結界の支配権を奪ってしまったようですぅ』


「え、え……? ど、どういうこと……?」


 愛美さんは、うんっ、と強くうなずいて言う。


『やすこにゃんは……すごいってことです!』


 ……この人、説明するのがめんどくさくなったようだ。

 ほんとこの人……。


「コネコちゃんが、大聖女どのが驚くほどの凄いことをしたということは、理解できたぞ。すごいな!」

「ど、どうも……。その、先へ進みましょう」

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★新連載です★



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『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

― 新着の感想 ―
タイトル「破壊にしにいく」→「破壊しにいく」(「に」が余計)ではないでしょうか? タイトル部分は誤字報告できないのでこちらにてご連絡させていただきました。
この結界を張った奴、入り口を隠してました ってセリフは大聖女と幼女のどっちのセリフなんでしょうか? カギカッコの種類は幼女だけど子供言葉じゃないですし
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