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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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29/89

29.素材買取



 冒険者試験が終了した。

 しばらくして、私たちはギルドの受付前へとやってきた。


「お二人とも、試験合格です!」

 

 ほっ……良かった……。


『ば、バレずに済んでよかったですねぇ』

「うみゃ」


『【ヤスコなら受かって当然でしょう?】って、まあ、普通にやれば受かりますけど、今回は内容がアレだったので』


 第一、第二試験での私のミスを、第三試験で挽回できたようだ。良かった……。


 受付嬢さんが私たちにカードを渡してきた。

「そちらが、お二人の冒険者ギルド証となります。再発行はできますが、お金が掛かります。また、身分証明書にもなりますので、無くさないようにしてください」


~~~~~~

コネコ

【職業】テイマー

【ランク】F

~~~~~~


~~~~~~

アメリア

【職業】騎士

【ランク】S

~~~~~~


「みゃー! ふにゃー!」

『【ちょっと! ヤスコのランクがどうしてアメリアより下なのよー!】って? た、確かに……』


 別に私は、ランクとか、どっちが上かなんて、どうでもいい。

 無事に冒険者になれたことのほうが重要な気がするけど。


「受付嬢さん、説明をしてもらえるだろうか。なぜわたしがSで、彼女がFなんだい?」


 アメリアさんの問いかけに、受付嬢さんが答える。


「今回の試験で、お二人の実力を測らせていただきました。アメリアさんは魔力量、遠距離攻撃力、そして接近戦闘能力、どれも申し分なし。それどころか、頭一つ抜きん出て降ります。よって、ランクは最高位のSにさせていただきました」


 ついでに、ランクについても教えて貰った。

 冒険者のランクは、最低はF、最高はSとなっているらしい。

 Sランク冒険者(Sランカーというらしい)は、世界でも数えるほどしかいない、とても強い人たちだそうだ。


「続いて、コネコさんは、確かに魔力測定、遠距離攻撃力は最低でしたが、テイマーとして契約獣である猫を動かす力は申し分なし。冒険者としての最低ランクの実力はあるということで、Fランク冒険者として登録することになりました」


 正直、これで私もSランとか言われたら、聖女だってバレる可能性があったので、助かった。


「おめでとうだぜ、二人とも! ひゃっはー!」


 世紀末さんが拍手してくれる。


「特に嬢ちゃん、良かったなぁ。冒険者になれてよぉ。不安そうな顔してたからなぁ。ひゃっはー! おめでとう!」

「ありがとうごじゃいましゅっ! 世紀末さん!」


 本当にいい人だな、この世紀末さん。

 見た目は怖いけど。


「続いてのご案内です。パーティ登録はしますか?」

「ああ。わたしと、コネコちゃんの二人パーティで……」


 そのときである。


「「「ちょっとまったぁ……!」」」


 私たちのもとへと、押し寄せてくる冒険者達。


「アメリア様! ぜひおれとパーティ組んでください!」


 ……ここへ来たときと、同じことが起きてる。すなわち、スカウト合戦だ。


『そ、そうなるのは当然です。アメたん、登録初日でSランカーになるくらい、超有望な人ですからね。そ、それに……最優の騎士という二つ名もちです。入れるだけでパーティー名はすぐに広まるでしょうし』


 皆アメリアさんが欲しくてたまらないようだ。


「おれと組みましょう!」

「すまない」


 と、アメリアさんがきっぱり断る。


「私はそこの、コネコちゃんとパーティを組むんだ。申し出はありがたいが」


 するとギャラリー達から不満の声が漏れる。


「あんなガキなんて、どうでもいいじゃあないですか!」

「ニュービーのFランカーより、ぼくらと組んだほうがメリットありますよぉ!」


「しかもそこの幼女は、お荷物になりそうな、ガキじゃあですかっ」

「そうそう、お荷物かかえるより、おれらを仲間にした方が……」


 どがんっ! と。

 世紀末さんが足踏みをした。

 床板が破壊されてる。


 しん……と静まりかえる。


「コネコちゃん馬鹿にしてるんじゃあねえぞ」


 ぎろり、と世紀末さんが皆をにらみつける。。


「確かにこの子はニュービーだ。でも、それはおれらも同じだったろう? だれだって最初は初心者だ」

「で。でもよぉ……そいつはガキだぜ?」


「ガキとか関係ない。この子はギルドから認められた、立派な冒険者だぜ。入りたてはみんなF、そして嬢ちゃんはこの歳で、親元を離れて独り立ちしようとしてる。立派じゃあねえか! そんなコネコちゃんを馬鹿にしてんじゃあねえぞ、ひゃっはー!」


 本当にいい人だな、世紀末さん。


「ふなーお」


 ましろがバッグから顔を出して、ぴょんっ、と世紀末さんの肩にとまる。

 てしてし、と世紀末さんの頭を叩く。


「アアン? どうしたんだ、猫さんよぉ」

「みゃー!」


『【お気に入り登録、2】だ、そ、そうです』


 ……あれ?

 ましろさん? もしかしてあなた、アメリアさんに続いて、世紀末さんにも……


 ひょいっ、とアメリアさんは私を抱っこする。


「残念だが、わたしはコネコちゃん以外とパーティを組む気はない。特に、この子を馬鹿にした君たちとは、絶対に」

「「「そ、そんなぁ~……」」」


 絶望の表情を浮かべるギャラリー達。

 ということは、世紀末さんとは、パーティ組んでもいいってことだろうか、アメリアさん。


「あのっ、世紀末しゃん……よければ……」


 すると世紀末さんはニコッと笑う。


「誘ってくれてありがとうなぁ、嬢ちゃん。でも、おれはあんたら三人の中に、割って入るほど野暮じゃあねんだわ」


 三人……?

 私、アメリアさん……それと……。


「ふにゃ!」

『【わかってるじゃあないのこいつ】ですって』


 なるほど、ましろもちゃんと数に入れてくれてるんだ。


「頑張るんだぜ、嬢ちゃん。これから大変だろうが。そこの姉ちゃんは強い。仲良くするんだぞ」

「あいっ」


 ということで、私はアメリアさんと二人で、パーティ【白猫ホワイト・キャット】を結成した。


「では、さっそくクエストを受注なされますか?」


 と受付嬢さんが説明を続ける。

 クエストの難易度は、下からF~S、SS、SSSとあるらしい。


 ソロの場合、自分のランクプラス1の、クエストまでは受けられるそうだ。


白猫ホワイト・キャットは、アメリアさんがSランカー。コネコちゃんがF。パーティとしてのランクは、平均値となります」


 Fが1。そこから、Eが2、Dが3、Cが4、Bが5、Aが6、Sが7、と数字で表されるらしい。


 私とアメリアさんの数字を足すと、8。

 二人だから平均は4。


白猫ホワイト・キャットのパーティランクはC。なので、Bランク以下のクエストが受けられます。……といっても、コネコちゃんがFランカーなので、最初は難易度の低いクエストをおすすめしますね」


 魔物討伐など、命の危険が出てくるようなクエストは、Cランク以上だそうだ。

 私としても、冒険者として活動するのはこれが初めて。


 最初から難易度の高いクエストを受けるつもりはない。


「じゃあ、Fランクで。二人でできそうなクエストを見繕って貰うか」


 と、アメリアさんが受付嬢さんに言う。


「でしたら、薬草拾いがおすすめですね」


 クエスト内容は、薬草をあつめ、それを納品しろ、という非常にシンプルなモノ。


「街の外に出るので、武器・防具などは見直した方が良いでしょう。お金はありますか?」


 お金……そういえばそんなにない。


「あ、しょうだっ。アメリアしゃん、魔物の買い取り……」

「そうだったな。途中、魔物を倒して、その死骸を回収してきてる。買い取りを願いたい」


 受付嬢さんがうなずく。


「では、その死骸を提出してください」


 ……さて、どれを提出しよう。

 一応そこそこの数の魔物を倒してきた。


 大鬼オーガ王は……駄目だろう。普通にデカすぎるし、目立つのが目に見えてる。


 じゃあ……一番弱そうな、単眼悪魔グレムリン


「じゃあ、これを……」

 

 魔神の鞄(トリック・バッグ)から、にゅっ、と単眼悪魔グレムリンを取り出す。


「え、ええええええええええええええええええええ!?」


 受付嬢さんが驚愕の声を上げる。


「ぐ、ぐぐ、単眼悪魔グレムリンぅ!? え、ええ、Sランクモンスターじゃあないですかぁあああああああああ!」


 ……え?

 モンスターにも、ら、ランクって存在するのっ?


 

 

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★新連載です★



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『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

― 新着の感想 ―
買い取り騒ぎの裏で世紀末さんが床板を直してたらいいなあ というか踏み破れないよ普通なら
冷静に考えなくても幼女なんてその辺に捨てて俺とPT組もうぜ!なんていう奴がいたら関わり合いになるのさえお断りだろうに…。 外道発言してるのにスルーされた噛ませ犬君も合わせ、 世紀末さんが規格外の聖人…
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