29.素材買取
冒険者試験が終了した。
しばらくして、私たちはギルドの受付前へとやってきた。
「お二人とも、試験合格です!」
ほっ……良かった……。
『ば、バレずに済んでよかったですねぇ』
「うみゃ」
『【ヤスコなら受かって当然でしょう?】って、まあ、普通にやれば受かりますけど、今回は内容がアレだったので』
第一、第二試験での私のミスを、第三試験で挽回できたようだ。良かった……。
受付嬢さんが私たちにカードを渡してきた。
「そちらが、お二人の冒険者ギルド証となります。再発行はできますが、お金が掛かります。また、身分証明書にもなりますので、無くさないようにしてください」
~~~~~~
コネコ
【職業】テイマー
【ランク】F
~~~~~~
~~~~~~
アメリア
【職業】騎士
【ランク】S
~~~~~~
「みゃー! ふにゃー!」
『【ちょっと! ヤスコのランクがどうしてアメリアより下なのよー!】って? た、確かに……』
別に私は、ランクとか、どっちが上かなんて、どうでもいい。
無事に冒険者になれたことのほうが重要な気がするけど。
「受付嬢さん、説明をしてもらえるだろうか。なぜわたしがSで、彼女がFなんだい?」
アメリアさんの問いかけに、受付嬢さんが答える。
「今回の試験で、お二人の実力を測らせていただきました。アメリアさんは魔力量、遠距離攻撃力、そして接近戦闘能力、どれも申し分なし。それどころか、頭一つ抜きん出て降ります。よって、ランクは最高位のSにさせていただきました」
ついでに、ランクについても教えて貰った。
冒険者のランクは、最低はF、最高はSとなっているらしい。
Sランク冒険者(Sランカーというらしい)は、世界でも数えるほどしかいない、とても強い人たちだそうだ。
「続いて、コネコさんは、確かに魔力測定、遠距離攻撃力は最低でしたが、テイマーとして契約獣である猫を動かす力は申し分なし。冒険者としての最低ランクの実力はあるということで、Fランク冒険者として登録することになりました」
正直、これで私もSランとか言われたら、聖女だってバレる可能性があったので、助かった。
「おめでとうだぜ、二人とも! ひゃっはー!」
世紀末さんが拍手してくれる。
「特に嬢ちゃん、良かったなぁ。冒険者になれてよぉ。不安そうな顔してたからなぁ。ひゃっはー! おめでとう!」
「ありがとうごじゃいましゅっ! 世紀末さん!」
本当にいい人だな、この世紀末さん。
見た目は怖いけど。
「続いてのご案内です。パーティ登録はしますか?」
「ああ。わたしと、コネコちゃんの二人パーティで……」
そのときである。
「「「ちょっとまったぁ……!」」」
私たちのもとへと、押し寄せてくる冒険者達。
「アメリア様! ぜひおれとパーティ組んでください!」
……ここへ来たときと、同じことが起きてる。すなわち、スカウト合戦だ。
『そ、そうなるのは当然です。アメたん、登録初日でSランカーになるくらい、超有望な人ですからね。そ、それに……最優の騎士という二つ名もちです。入れるだけでパーティー名はすぐに広まるでしょうし』
皆アメリアさんが欲しくてたまらないようだ。
「おれと組みましょう!」
「すまない」
と、アメリアさんがきっぱり断る。
「私はそこの、コネコちゃんとパーティを組むんだ。申し出はありがたいが」
するとギャラリー達から不満の声が漏れる。
「あんなガキなんて、どうでもいいじゃあないですか!」
「ニュービーのFランカーより、ぼくらと組んだほうがメリットありますよぉ!」
「しかもそこの幼女は、お荷物になりそうな、ガキじゃあですかっ」
「そうそう、お荷物かかえるより、おれらを仲間にした方が……」
どがんっ! と。
世紀末さんが足踏みをした。
床板が破壊されてる。
しん……と静まりかえる。
「コネコちゃん馬鹿にしてるんじゃあねえぞ」
ぎろり、と世紀末さんが皆をにらみつける。。
「確かにこの子はニュービーだ。でも、それはおれらも同じだったろう? だれだって最初は初心者だ」
「で。でもよぉ……そいつはガキだぜ?」
「ガキとか関係ない。この子はギルドから認められた、立派な冒険者だぜ。入りたてはみんなF、そして嬢ちゃんはこの歳で、親元を離れて独り立ちしようとしてる。立派じゃあねえか! そんなコネコちゃんを馬鹿にしてんじゃあねえぞ、ひゃっはー!」
本当にいい人だな、世紀末さん。
「ふなーお」
ましろがバッグから顔を出して、ぴょんっ、と世紀末さんの肩にとまる。
てしてし、と世紀末さんの頭を叩く。
「アアン? どうしたんだ、猫さんよぉ」
「みゃー!」
『【お気に入り登録、2】だ、そ、そうです』
……あれ?
ましろさん? もしかしてあなた、アメリアさんに続いて、世紀末さんにも……
ひょいっ、とアメリアさんは私を抱っこする。
「残念だが、わたしはコネコちゃん以外とパーティを組む気はない。特に、この子を馬鹿にした君たちとは、絶対に」
「「「そ、そんなぁ~……」」」
絶望の表情を浮かべるギャラリー達。
ということは、世紀末さんとは、パーティ組んでもいいってことだろうか、アメリアさん。
「あのっ、世紀末しゃん……よければ……」
すると世紀末さんはニコッと笑う。
「誘ってくれてありがとうなぁ、嬢ちゃん。でも、おれはあんたら三人の中に、割って入るほど野暮じゃあねんだわ」
三人……?
私、アメリアさん……それと……。
「ふにゃ!」
『【わかってるじゃあないのこいつ】ですって』
なるほど、ましろもちゃんと数に入れてくれてるんだ。
「頑張るんだぜ、嬢ちゃん。これから大変だろうが。そこの姉ちゃんは強い。仲良くするんだぞ」
「あいっ」
ということで、私はアメリアさんと二人で、パーティ【白猫】を結成した。
「では、さっそくクエストを受注なされますか?」
と受付嬢さんが説明を続ける。
クエストの難易度は、下からF~S、SS、SSSとあるらしい。
ソロの場合、自分のランクプラス1の、クエストまでは受けられるそうだ。
「白猫は、アメリアさんがSランカー。コネコちゃんがF。パーティとしてのランクは、平均値となります」
Fが1。そこから、Eが2、Dが3、Cが4、Bが5、Aが6、Sが7、と数字で表されるらしい。
私とアメリアさんの数字を足すと、8。
二人だから平均は4。
「白猫のパーティランクはC。なので、Bランク以下のクエストが受けられます。……といっても、コネコちゃんがFランカーなので、最初は難易度の低いクエストをおすすめしますね」
魔物討伐など、命の危険が出てくるようなクエストは、Cランク以上だそうだ。
私としても、冒険者として活動するのはこれが初めて。
最初から難易度の高いクエストを受けるつもりはない。
「じゃあ、Fランクで。二人でできそうなクエストを見繕って貰うか」
と、アメリアさんが受付嬢さんに言う。
「でしたら、薬草拾いがおすすめですね」
クエスト内容は、薬草をあつめ、それを納品しろ、という非常にシンプルなモノ。
「街の外に出るので、武器・防具などは見直した方が良いでしょう。お金はありますか?」
お金……そういえばそんなにない。
「あ、しょうだっ。アメリアしゃん、魔物の買い取り……」
「そうだったな。途中、魔物を倒して、その死骸を回収してきてる。買い取りを願いたい」
受付嬢さんがうなずく。
「では、その死骸を提出してください」
……さて、どれを提出しよう。
一応そこそこの数の魔物を倒してきた。
大鬼王は……駄目だろう。普通にデカすぎるし、目立つのが目に見えてる。
じゃあ……一番弱そうな、単眼悪魔?
「じゃあ、これを……」
魔神の鞄から、にゅっ、と単眼悪魔を取り出す。
「え、ええええええええええええええええええええ!?」
受付嬢さんが驚愕の声を上げる。
「ぐ、ぐぐ、単眼悪魔ぅ!? え、ええ、Sランクモンスターじゃあないですかぁあああああああああ!」
……え?
モンスターにも、ら、ランクって存在するのっ?
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