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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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28.模擬戦で無双する



 ……ましろが飛爪ひそうで、ズリィゾに攻撃した。

 飛ぶ斬撃がズリィゾに直撃するコースだった……が。


「ふにゃあ……」

『【さすがねヤスコ】』


 ましろの放った超高速の斬撃を、結界スキルで防いだのである。


「な、なんだ……?」「すんげえ音がしたけども」


 ギャラリー達は何が起きたのかわかっていないようだ。

 斬撃は目で見えないから、そうなっても不思議じゃあない。


 一方で、ズリィゾは全身から滝のような汗をかいていた。


「な、なんだ……今の……」


 ズリィゾもまた飛ぶ斬撃が見えていないはずだ。

 でも、風を切る音と、そしてあの一撃に込められた殺気から、自らの死を直感したのだろう。


「ふにゃああ?」

『【どうしてあんなの守ったの?】ですって』


 確かにあのズリィゾは、小悪党だ。でも殺すことはない。

 そこまでやる必要はない。


「あくまで、タイムアップ狙いでしゅ」

「ほ、ほぉお……私様の攻撃を、10分耐えきれると思ってるのかぁ……ガキぃ……舐められたものだなぁ!」


 ……どうやらズリィゾの中で、さっき真白が放った斬撃は、無かったこと(気のせい)になったようだ。

 

 五歳児に煽られたと思ったらしく、キレてしまってるズリィゾ。別にあおってはいないんだ……。


「クソ猫! 死ねぇえええええええええええ!」


 ズリィゾが右手を前に突き出す。


「【火球ファイアー・ボール】!」


 右手に魔法陣が展開。

 そこから、火の玉が高速で射出される。


「すげえ! 無詠唱魔法だ!」

「魔法を詠唱無しで放つなんて凄すぎる……!」


 ……凄いことなんだ。

 うち、純粋な魔法使いって居ないから、わからないや。


 ましろめがけて火の玉が襲いかかる。

 ましろの体を結界で守ろうとする前に……。

「みゃんっ!」


 ましろはひょいっ、と火の玉を軽々と避ける。


「すげえぞあの猫! 無詠唱で放たれた魔法を見切ってよけやがった!」

「あんな早い攻撃を、余裕を持って避けてるようにみえたぞ!」

「ただの猫がそんなことできるなんてすげえ!」

 

 とギャラリーが沸き立つ一方、世紀末さんは腕を組んで言う。


「いや、すげえのは嬢ちゃんだぜひゃっはー! ただの猫があんな動きができるわけねえ。となると、動物に指示をだし、回避させた、あの嬢ちゃんのテイマーとしての腕がすげえってことさ!」


 ありがとう、世紀末さん。解説してくれて。

 でも……別に私は指示らしい指示をしていない。

 ましろが勝手に、魔法を見て避けただけだ。

「くそ! こうなったら……火炎連弾バーニング・バレット!」

「な!? 上級魔法だとぉ!?」


 上級……ってことは凄い魔法なのかも知れない。

 ズリィゾが右手を頭上に掲げる。

 巨大な火の玉が出現。


 それが、無数に分裂して、ましろめがけて放たれる。


「ましろ! わかってましゅね!」


 殺しは駄目だということを。

 ましろは小さくため息をつく。


 そして、ぴょんっ、と私の右斜め前へと移動して、しゃがみ込む。


 ズガッ!

 ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!


「嘘だろおい!?」

「あの猫……回避行動とってねえぞ!?」

「なのに、猫には魔法が一発もあたってねえ!」

「どうなってやがるんだ……!」


 すると世紀末さんが腕を組んだ状態で、戦慄の表情を浮かべる。


「あの嬢ちゃん……たいしたもんだぜ。ズリィゾの上級魔法の着弾地点を全て見切ってやがったんだ」


 すみません見切ってません……。


「安全地帯がどこかを見極め、猫にそこへ移動するように指示したんだ。たいしたテイマーだぜ、あの嬢ちゃん! ひゃっはー!」


 これも単に、ましろが敵の攻撃を見切っただけであって、私は何もしてない……。


『ましろ様えらいですよ! やすこにゃんの言いつけちゃんと守れてます!』

「ふなーご」


『【あとで猫パンチの刑】……ええ! なんでぇ! ほめたのにぃ!』

「ふみゃあ?」


『【子供扱いしないでくれる?】』


 そういえばましろって、今更だけど何歳なんだろう。

 成猫っぽい。生まれたばかりってわけではないだろう。

 2,3歳?


 でも神様だし、見た目と実年齢が異なっていたとしても、不思議ではない。


「つーか、ズリィゾってあんだけいきっておいて、女の子に勝てないなんてださくね?」

「ほんとだよな。しかも相手はただの猫だっていうのによ」

「猫相手に攻撃当てられないんじゃ、ズリィゾもたいしたことねえなあ!」


 ……まあそんなことはみじんもないんだけど。

 だってましろ神様だし。


 まあ、そのことを表にするつもりは毛頭無い。

 それに、ズリィゾはズルして試験に挑んでいたんだ。


 これくらいの、恥ずかしい思いはして貰おう。


「ち、くしょぉお! こうなったら……直接攻撃だ!」


 ズリィゾはましろ……ではなく、私を直接狙ってきた。

 直接攻撃ってそういう意味……?


火球ファイアー・ボール! そして……ずぇええええええええい!」


 ズリィゾは火の魔法を、まず私に向かって放つ。

 当然、避ける。けどそれは向こうも狙ってのことだろう。


 そう、魔法を放つことで、相手に回避行動を取らせる。

 それによって、私の行動を先読みできる(回避する)。


 回避した先に、ズリィゾが剣をたたき込んできた。


「裂破斬……!!!!!!!!」


 上段にかまえた剣を、思い切り振り下ろす。

 ドンピシャのタイミング。

 私の脳天に、剣が叩きつけられる。


 ……本来なら、私はズリィゾの一撃を、頭に受けてしまって、倒れているところだった。


 けれど……

 スカッ……!


「な!? そ、そんなバカな!? 完璧に捕らえたはずだったのに!? からぶるだとおぉお!?」


 ズリィゾが困惑している。


『ど、どうなってるんですぅ~……?』


 愛美さんも何が起きたのか理解していない様子だ。


「隠しの結界を応用した、【幻影】でしゅ!」

『幻影!?』


 隠しの結界とは、結界で術者(私)を包み、そして結界上に周囲の映像を投影することで、身を隠す結界。


 そう、結界に映像を映すことができるのだ。

 私はまず自分を隠しの結界で姿を消し、離れた場所に私の幻影を作り出す。

 結果、ズリィゾは正面にいる幻影の私に斬りかかった(後ろに居る本体に気づかなかった)のである。


「ちっ! くそおぉお!」


 もう一撃放とうとするズリィゾだったが……。


「そこまで!」


 受付嬢さんが待ったをかける。

 そう、もう試合時間が終わったのだ。


「見事な戦いっぷりだったぜぇ、嬢ちゃん! ひゃっはー!」


 世紀末さんが拍手で、私の健闘をたたえてくれる。

 他の人たちは首をかしげていた。


「結局あの嬢ちゃんなんもしてなくない?」

「何がよかったんだ……?」


 ほとんどの人たちは、私が何をしたのか理解できてない様子。


「おれは見ていたぜ。嬢ちゃん。見事なテイマーっぷりだったぜぇ。この猫ちゃんを見事に操っていた」


 そういうわけじゃあないので、ちょっと罪悪感。

 一方ましろは鼻高々だ。


「にゃあん」

『【そうよヤスコはすごいんだから】。確かに最後のは凄かったですぅ。とても高度な結界術でした。幻影を結界で作るのは、ほんとに難易度高いんでぇ』


 いちおう、実力は示せたと思う。あとはこれで、試験官がどう判断するかだけど。


「ちくしょう! もっとやらせろ!」


 ズリィゾが騒いでいた。


「あのガキとクソ猫をボコボコにしないと気が済まない!」


 多分余裕勝ちしようとしてんだろうな、あの人。

 でも、思い通りの試合運びができなくて不満だったと。


「もう一度試合させろ!」

「いやでしゅよ。これ以上は無意味でしゅ」


 これ以上戦って、実力がバレたらどうするんだろう。


「くそっ! なめた口ききやがってぇ! こうなったら……きょんっ」


 どさっ、とズリィゾが倒れる。

 その頭の首の上には、ましろが乗っていた。


「ひゃっはー……恐ろしく早い移動。おれでなきゃ……見逃しちゃうぜえ……」


 どうやら高速でズリィゾの上に移動し、寝た猫を起こすな(ナイトメア)を発動したようだ。

 ああもう、目立たないでって言ったのに……ましろったらもう……。

 

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