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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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24.冒険者登録試験、魔力測定編


 翌日、私とアメリアさんは、このノォーエツの街の、冒険者ギルドへとやってきていた。


『ぼ、冒険者ギルド……! 異世界ファンタジーっぽくなってきましたねっ!』


 愛美さんが何故か興奮していた。


『せ、生前こういうとこ来たことなかったのでっ』


 愛美さんは冒険者じゃなくて、聖女の身分で、全国を回っていたらしい(生前)。


『ぼ、冒険者ギルドに登録っていえば、て、テンプレですね! やすこにゃんが、登録試験とかで皆を驚かせて、すげー! ってなるやつです!』


「登録試験ってやっぱりあるんでしゅか?」


 私がアメリアさんに尋ねる。


「そうだ、あるぞ」


 ……しまった。私は転生聖女。

 人より強い力を持ってる。

 となると、テストのときに、力を出しすぎて、目立ってしまう。


「ましろ、力を隠す力とか、ない?」

「ふにゃ?」

『【なんであたしが力を隠さないといけないの?】ですって』


 ましろは本当に、私以外のことに興味ないようだ……。

 ましろにはそういうスキルがない(というか協力的じゃあない)。


「アメリアしゃん。お願いがあります。私……聖女であることをバレたくない、目立ちたくないんでしゅ」


 転生聖女であることがバレたら、色々面倒とが着いてくる。

 それに、愛美さんの例もある。聖女は、この国での扱いが悪いのだ。


 だから、聖女であることを隠したいのである。


「わかった。君が目立たぬよう、フォローしよう」


 よかった、アメリアさんがいて。頼りになる。


『で、でも……アメちゃんって、騎士団長だったんでしょう? そんなアメちゃんが冒険者になるってなったら、目立っちゃうんじゃ?』

「ははっ、大丈夫。ここは辺境の街。みんなわたしのことなんて知らないさ。絶対」


 確かに騎士団の本部がある王都ならともかく、ここは辺境。アメリアさんがいくら若くして騎士団長になった傑物だとしても、ここまで名前と顔が知れ渡ってることはない……か。


 なら安心だ……。

 目立つことはないだろう。絶対。


「では、行こうか、コネコちゃん」

「あいっ」


 アメリアさんがギルドのドアを開ける……。 手前は酒場みたいになっていた。


 たくさん椅子や机があって、そこで冒険者らしき人たちが、飲んだり食べたりしてる。

 奥には受付カウンターがあった。あそこで仕事とか受けるのだろうか。


 アメリアさんがギルドに一歩、足を踏み入れた瞬間……。


「あ、アメリアさまぁ!?」


 ……え?

 手前に居た冒険者の一人が、アメリアさんを見て、ぎょっと目を見開いたのだ。


「アメリアさま!? あの!?」「うそだろ!?」「いやマジだ! アメリアさまだぁ!」「うぉお! ほんとだぁああ!」


 ……一瞬で、アメリアさんの前には、人だかりができていた!


『アメたんの嘘つき! めちゃ有名人じゃあないですかー!』

「すまない、わたしもまさかここまで顔と名が知られてるとは思ってなかった」


 アメリアさん、他人からの賞賛とか名声とか、興味なさそうだから(人助けしたいだけの人だし)。

 だから……自分の評価が高いことに、自覚が無かったんだろうなぁ。


 ……まあ、でもそれはそれで都合が良い。

 アメリアさんが良い隠れ蓑になってくれるから。


「アメリアさまがギルドに何のようですか!?」

「冒険者になりたいんだ」

「え、騎士団は?」

「やめたんだ」

「「「なんだってえええええええええええええええ!」」」


 ギルドに居た人たちが、アメリアさんに押し寄せる。


「じゃ、じゃあおれと! おれとパーティ組みましょう!」

「ふざけんな! アメリア様と組むのはおれだ!」

「いやぼくだから!」


 あ、アメリアさん凄い人気……。


『そ、そりゃわかくて、かっこよくて、美人で、きょ、巨乳でなおかつ強いですからねっ。引く手あまたに決まってますよ』


 凄い人気……。

 どんっ、と私は誰かにぶつかって、転びそうになる。


 パシッ。


「あ、ありがとごじゃま……ひっ!」


 こけそうになる私の手を掴んだのは……。


『うわあああ! ザ・世紀末なチンピラ冒険者だぁああああ!』


 愛美さんの言うとおり……。

 目の前にいるのは、パンクなファッションに身を包んだ、モヒカンの巨漢だった。


 顔中にピアスをあけてて、明らかにヤバいオーラを漂わせてる。


「おい、ガキがどうしてこんなとこいんだぁ……? ひゃっはー!」

『で、でたー! 冒険者ギルド名物! 新人に絡んでくる嫌なチンピラ冒険者だー! あとで主人公の活躍に驚き、ボコボコにされるやつぅ!』


 愛美さんが興奮してる。ちょっと五月蠅い。


「ふにゃん!」


 魔神の鞄(トリック・バッグ)のなかで、ましろが抗議の声を上げる。


『あっ、あっ、猫パンチやめてっ』


 ましろがお仕置きしてくれたようだ。ありがとう。


「ガキぃ……どうしたぁ?」

「あ、あの……その……」


 どうしよう、さっそく絡まれてしまった。


「ぼ、冒険者になりに……」

「ああんっ? やめとけ! ケガしちまうぞぉ! ひゃっはー!」


 ……あれ?

 ケガしちゃうって、私を心配してる?


「てめえ一人でなるんだったら、やめときな。ベテランと一緒にせめて登録するんだなぁ、ひゃっはー!」


「あ、あの……アメリアしゃんとパーティ組む予定です」


「なるほどなぁ。【最優の騎士】とパーティ組むなら、大丈夫かぁ」


「さ、最優の騎士って……?」

「アメリアのあだ名だぜぇ。あいつは各地で、問題が起きるとだれよりも早くかけつけて、トラブル解決してきたからなぁ。ついたあだなが若き天才、最優の騎士ってわけだ」


 な、なるほど……。あと、すごい丁寧に教えてくれるな、この世紀末さん……。


「おいてめぇえらぁあああああああ! 静かにしやがれぇえええええええええ!」


 世紀末さんが叫ぶと、ギルドがシン……と静まりかえる。


「このガキはよぉ! アメリアとパーティ組むんだってよぉお! てめえらはお呼びじゃあねえだよ! どけ! 邪魔だぜ! ひゃっはー!」


 あ、あれ……?

 つゆ払いしてくれてる……? もしかして。

 ぽかんとする周囲。

 アメリアさんは私のもとへ駆け寄ってくる。

「一人にしてすまない、コネコちゃん」

「あ、ううん。だいじょうぶでしゅ」


 一方、世紀末さんは私たちを見て言う。


「てめえらぁ、そんなとこぼさっとたってねえで、早く冒険者登録&パーティ申請しやがれひゃっはー! そうすりゃ、アメリアの名声目当てのうるせえムシどもが、寄ってこなくなるぜ、ひゃっはー!」


「そうだな。そうしたい。登録はどこですれば良いのか知ってるかい?」


 あ、アメリアさん……この世紀末ルックの人を前に、全く物怖じしていない……さすが……。


「こっちだぜぇ! ついてきやがれ、ひゃっはー!」


 世紀末さんが人混みをかき分けながら進んでいく。

 みんな彼の姿にびびって、身を引いてくれたので、とても進みやすかった。


 やがて、受付の前へとやってきた。


「おい受付嬢! 冒険者登録にきた命知らずが二名だ! とっとと対応しやがれひゃっはー!」


 眼鏡をかけた受付嬢さんが、にこやかに「いらっしゃいませ」と出迎えてくれた。

 こ、この受付嬢さんも、世紀末さんに対して、怯えてる様子もない。


「セーキマツさん、新人の案内ありがとうございます。いつもすみません」

「良いってことよぉお! ひゃっはー!」


 なんか、悪い人かと思ったけど、全然いい人だったっぽい。

 ごめんなさい、幼女の見た目、その実中身OLの私が、見た目だけで判断して……。


「がんばれよぉ、特に嬢ちゃん」


 ぐっ、と世紀末さんが親指を立てる。


「実力があれば、冒険者にはなれる。年齢も関係ない。だから……気負わず、リラックスして、試験に臨めばいいぜえ……」

「あ、あいっ! アドバイシュ、ありがとうございましゅ!」


「ひゃっはー! 二人が受かるように、祈ってるぜぇえええええ!」


 めちゃくちゃいい人だ。

 ありがとう……。


「さて、ではギルドに加入希望ってことですね。となると、試験を受けてもらうことになります」


 受付嬢さんがわたしたちに説明する。


「試験は大きく三つ。1.魔力測定、2.的あて、3.模擬戦。この三つの試験の内容をみて、総合的に、合否を決めます」


 なるほど、1つ駄目でも、そこでアウトってわけではないみたい。


「ではまず、魔力測定から」

『き、きたー! 魔力測定ぃ! 測定器こわしちゃうやつですうぅ!』


 受付嬢さんが、机の上に、水晶玉を置く。


『きたきたきたー! 絶対に壊れない水晶玉を、主人公が壊しちゃう……あいたっ、いたっ、いたっ、猫パンチやめてっ』


 受付嬢さんが水晶の説明をする。

 ここに手を載せて、魔力を込めると、魔力量が数値化されてが表示されるというもの。


 さっき愛美さんが言ったとおり、ここで魔力をこめすぎて、割って……ってなれば、目立ってしまう。

 気をつけよう。……でも、そういえば私の魔力量ってわからない。けど、でも、一回も魔力切れ起こしたことないし、かなり魔力ってあるよね、私。


「では、まずコネコさんから」

「あいっ」


 私はアメリアさんに抱っこして貰い、カウンター上の水晶玉に手を載せる。


『く、くるぞぉ! 水晶玉ぼーーん! が。ぼーん! が、それ……って、あれ?』


 しーん……。


「お、オカシイですね……水晶が、無反応です。不具合起きてるのかな……?」


 受付嬢さんが困惑してる。

 水晶玉には数字が表示されていない。何度触っても、無反応だった。


「まさか……魔力ゼロ……?」

「! そんなことってあるんでしゅか?」


「はい、まれに……」


 一方、私たちを見ていた冒険者たちが、吹き出す。


「おいおい魔力ゼロって!」「魔力ゼロのやつが冒険者ぁ?」「やめといたほうがいいぜぇ、死んでしま……ぶげええ!」


 世紀末さんが、馬鹿にしてきた冒険者の一人を殴り飛ばしていた。


「嬢ちゃん、試験はあと2つあるぜ。気を落とすなよ。ひゃはー!」

「は、はい」


 おかしいな……魔力ゼロなんてことありえるんだろうか……?


「では、次はわたしの番かな」


 といって、アメリアさんが片手で、水晶に……。

 触れる、直前。


 ぴしっ!

 と水晶にヒビが入って……。


 パキイィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!

 ……と、時間差で、水晶玉が割れたのだった。


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★新連載です★



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『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

― 新着の感想 ―
さらっと流されてるけどセイキマツさんw それと最優騎士…西遊記士? 玄奘が主人公で馬(龍)が猫で沙悟浄がセイキマツさん? 孫悟空が姫さん? となると幽霊聖女が猪八戒??
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