表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/89

20.大鬼王を解体する



 大鬼オーガ王の死骸が、村に運び込まれた。


「すげえ……」「まじで大鬼オーガ王だ……」「こんな恐ろしい魔物を倒してしまうなんて、さすがはアメリア様だ」


 村人達は魔物を倒した(と誤解されてる)アメリアさんを褒めている。

 アメリアさんは「いやわたしは倒してないのだが……」と言うも。


「あんな強敵を倒したのに、おごらないとは」

「とても謙虚な御方なのですね!」

「さすがは若くして騎士団長になった御方だ!」


 アメリアさん……騎士団長なんだ……。

 そんなにレベル高くなかったのに。(レベル21)


「それで、この死骸の処遇についてだが……」

「それはもちろん、討伐したアメリア様がお持ち帰りください! 売ればかなりのお金になるはずですし」


 アメリアさんは真面目な顔で、首を横に振る。


「いや、それはできない。わたしは騎士。魔物を倒すのは、国民を守るためであって、金のためにやったのではない」


『か、かっこいいっ。物語の騎士さまみたいですねっ』


 愛美さんが大興奮してる。私もかっこいいなって思う。


大鬼オーガ王の死骸は、村のものとして処理してほしい」

「それは困りますよ! 守ってもらった上に、こんな大金……もらえないです!」


 そんなに大金になるんだ、大鬼オーガ王って……。


「こちらとしても、死骸を受け取るわけには……」


 ふと、アメリアさんと目が合う。どうしたんだろう……。


「やはり、大鬼オーガ王の死骸を、受け取りたいのだが、構わないだろうか?」

「それはもちろん!」


 村人達が、ホッ……と安堵の息をついてる。

「しかし、急に心変わりされて、どうなされたのです」

「この死骸を、コネコちゃんにプレゼントしようと思って」


 え……? わ、私に……?


「アメリア様。どうしてこの子に、死骸を渡すのです……?」

「この子は貧しい家の出身なのだ。親に捨てられ、街へ行き、そこで働くことになる」


「なんと……! それは、可哀想に……こんな小さくて、可愛い子なのに……」


 村人達全員が、私に同情のまなざしを向けてくる。

 親に捨てられたわけではないので、ちょっと心が痛んだ。嘘ついてすみません……。


「この子が一人で生きていく、そのための資金にしてあげたいのだ。構わないだろうか?」

「もちろん! アメリア様がそうお決めになられたのでしたら、我々は反対するきは毛頭ございません!」


 アメリアさんはニコッと笑う。


「ということだ、コネコちゃん。受け取ってくれるかな?」


 ……本当に、優しい女性ひとだな。この人……。


「なーう、みゃ?」

『【へぇ……ヤスコに進んで尽くすだなんて。見所あるじゃあない、この下僕?】ですって』


 下僕じゃあないんだけどな……。


「いいんでしゅ?」

「もちろん」


 どうしよう……でもなぁ。


『もらっておきましょう。やすこにゃん』


 愛美さんが私に話しかけてくる。


『金はたくさんあって困ることがないですし。それに、元はといえばこの魔物倒したの、やすこにゃんじゃあないですか。もらっちゃいましょ?』


 ……愛美さんの言ってることは正しい。

 それに、村人もアメリアさんも、この死骸の処理に困っていたし。


「ありがとう、アメリアしゃん。つつしんで、ちょうだいいたしましゅ」

「小さいのに、本当に礼儀正しい子だね、君は」


 アメリアさんは微笑むと、私の頭をなで回す。


「さて、では解体作業に掛かろう」

「解体でしゅか?」

「ああ。この巨体をそのまま、街へ引きずっていくわけにはいかないし。それに、売るにしても、このまま提出されても、ギルドも困ってしまうからね」

 

 アイテムボックス持ちであることは、申告してる。

 でもそんなに大きな容量はない、と虚偽申告してるので、このまま収納するわけにはいかない。


「我々村人も手伝いますよ!」

「助かる。こんなに大きな魔物……解体に数日かかりそうだ」


 す、数日……?

 確かに、大鬼オーガ王……普通におっきいけども。


『れ、レベルの高い魔物は、肉も爪も、かなりの強度があって、ばらすのに苦労するんです』


 なるほど……。

 数日もとどまるのは、ちょっとな。そんな重労働を、この人達に強いるのは、気が引けるし。


「ましろ……に頼んでもやってくれないか」


 私の身に危機が迫ってるわけではないから、きっとましろは動いてくれないだろう。


「みーや」

『【やれやれね】ですって』


 おや……?

 アメリアさんが鎧を脱いで、手にのこぎりを持つ(村人から借りたらしい)。


「では、まずは大鬼オーガ王の、この立派なツノから」


 大鬼オーガ王のツノは、大樹のように太い。切り倒すのにとても苦労しそうだ。


 アメリアさんがのこぎりの刃を、ツノに突き立てる。

 ストンッ……。


「は?」

「「「ええええええええええ!?」」」


 ツノが……豆腐のように、すとんっと軽々キレたのである。


「す、すげえ!」「あの硬そうなツノを楽々と切り倒してしまうなんて!」「さすがですアメリア様!」


 村人達はどうやら、アメリアさんが軽々ツノを斬ったと思っているらしい。


「あ、いや……わたしは何も……ほんとに力なんて全然いれてないのに……どうして……?」


 すると、アメリアさんの足下にましろがいた。


「ま、ましろっ? 何してるんでしゅか?」

「ふみゃ、にゃ!」


『【仕方ないわね、手伝ってやるわ!】ですって、えええ? ましろ様が!? どうして……?』


「うみゃ、にゃ!」

『【こいつ、ちょっと気に入ったし】ですって』


 ましろがいつの間にか、アメリアさんのこと、気に入っていたらしい。

 どうして気に入ったんだろう……。


「うーにゃっ!」


 ましろが、神威鉄爪オリハルコン・クローを発動。

 バラララッ……! と、大鬼オーガ王を構成する、爪、ツノ、牙、皮、肉、骨……など。


 綺麗に、パーツ事に解体されていた。


「「「うぉおおおお! すげええ! さすがアメリア様!」」」


 どうやら周りの人たちは、アメリアさんが、解体を行ったと思ってるようだ。


「なんて剣技だ!」「おれらには早すぎて目で追えなかったぞ!」「すげえ、さすがアメリア様!」


 一方で、アメリアさんは目を点にしてる。

 ……その視線は、足下の白猫ましろに注がれてる。


 ……まずい! こんなことしたら、アメリアさんに、ましろがやったって思われちゃう。


「…………」

 

 アメリアさんはましろをじっと見つめる。そして「なるほど……」と小さくうなずいた。


「全てに合点がいったよ」

「みゃ?」

「いや……ありがとうございます」


 アメリアさんはましろの前で跪いて、深く……頭を下げる。

 え、え? ど、どういうことだろう……。


「うみゃーん、みゃ!」

『【お気に入りに、してやってもいいわ!】』


 ぽわ……とましろの額に、月のマークが浮かび上がる。

 そのマークが、アメリアさんの手の甲にも、浮かび上がってるように、私には見えたのだった。

 

【★☆大切なお願いがあります☆★】


少しでも、

「面白そう!」

「続きが気になる!」


と思っていただけましたら、

広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】から、

ポイントを入れてくださると嬉しいです!


★の数は皆さんの判断ですが、

★5をつけてもらえるとモチベがめちゃくちゃあがって、

最高の応援になります!


なにとぞ、ご協力お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★新連載です★



↓タイトル押すと作品サイトに飛びます↓



『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

― 新着の感想 ―
実の親に捨てられたわけでは無いけど、召喚したバカに捨てられたのだから、嘘ってわけじゃないと思うなぁ。
(´・ω・)でこに月のマークがある白にゃんこ…(既視感) ( ̄▽ ̄)アルテミス?(せらむん)
「忠臣は二君に仕えず」って言うけど……レベル低いのに森に遠征させられてたし王様に忠義がないのか信仰はまた別物なのか どっちにしても信者第一号ですね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ