19.私の作った料理でレベルアップさせていた
私の投石で、大鬼王、および山に大穴を開けてしまった……。
「みゃ」
『【女騎士くる】って!? ま、まま、まずいですよ、やすこにゃん! こんなヤバいことやったのが、やすこにゃんだってバレたら!』
「わ、わかってましゅ!」
隠し結界で姿を消す。
そして、急いでその場から立ち去る。危なかった……。
「うみゃ?」
『【なんでヤスコがこそこそしなくちゃいけないわけ?】って? あ、あの……さすがにこれバレたら、やすこにゃんあの女騎士に、実力バレちゃいますよぉ』
「みゃーお、みゃ」
『【ヤスコは凄いんだから、賞賛されるべきでしょう?】って。い、いやでもですね、大鬼王は街一つ壊滅するほどの、強力な魔物。それを推定五歳児が倒したとなれば、猫だましスキルを使っても、言い逃れは不可能ですよぅ。逃げて、誰かがやったことにしたほうがベスト』
「なう」
『【めんど】』
ましろはそれきり黙ってしまった。
それにしても……本当に危なかった。まさか、私に山に穴を開けるほどの力があっただなんて……。
「な、なんだこれは……!?」
立ち止まって振り返る。
大鬼王の前に、アメリアさんがやってきていた。
死体を見て驚いてる。
どうやら、私がやったとはバレていない様子。
逃げておいて正解だった。
「それにしても……変でしゅね」
『変?』
「はいでしゅ。アメリアしゃん、レベル21しかなかったでしゅ。でも、それを上回る大鬼に……勝ってたでしゅ」
『そういえば、大鬼は40くらいレベルがあったのに、21のアメリアさんが倒せたのって、変ですね』
そう、変なのだ。
気になる……ということで。
「【鑑定】」
~~~~~~
アメリア
【レベル】62
【状態】
・一定時間レベル倍化
~~~~~~
『ば、バフだ! アメリアさんに、バフがかかってますよぉ!』
バフなんて……いったいいつかかったんだろう……。
『まさか、ましろ様が?』
「にゃう?」
『【あたしがどうしてあんなのにバフかけないといけないのよ?】ま、まあそうですね……ましろ様、やすこにゃん以外に興味ないですし……』
……豊穣の女神の力で、アメリアさんが強化されてるわけではないらしい。
では、だれが……?
『も、もしかして……やすこにゃんがやったんじゃあないですか?』
「私……? 何かやっちゃいましたか……?」
『た、多分。で、でもおかしいですね。やすこにゃん、別にバフスキルも補助魔法も、覚えてないのに』
聖女スキルはあるにはあるけど、他者を強くする効果はなかったはず……。
でも、状況的に私が何かしたのは明らかだ。
「しらべないとでしゅね」
また同じ失敗を繰り返さないように。
そうこうしてると、私は村へと戻ってきた。
とりあえず、アメリアさんが戻ってきたときに、怪しまれないように、とまらせて貰っていた小屋へと戻る。
「なう」
ましろが鞄から降りて、てこてこと、お鍋の方へと向かう。
私の作ったポトフがまだ残っていた。
ましろがソーセージをカジカジしてる。
「ふにゃん♡ みゃーう」
『【ヤスコの料理おいしい♡ 体に力がみなぎってくるようだわ】ですって……って、ま、まさか!』
愛美さんが驚いたような声を上げる。
『やすこにゃん……料理に鑑定してみてください』
「? わかりました。【鑑定】」
~~~~~~
ポトフ
→聖女の作った異世界ポトフ
【付与効果】
一定時間レベル倍化、基礎レベルプラス10
~~~~~~
『や、やっぱりです! や、やすこにゃんの料理で、アメリアさんを強くしてたんですよぉ!』
「料理ってバフの効果があるんでしゅね」
そういえば、ゲームでも、料理を作って食べることで、HPが回復したり、ステータスが上昇したりした。
そういう法則がこっちにもあるのか。理屈はわからないけれども。
『いやいや! きっ、聞いたこと無いですよぉ! 料理にバフ効果があるなんてっ!』
「え? そうなんでしゅか?」
『そうですよ! ……はっ! も、もしかして……やすこにゃん、これに使った食材を鑑定してみてくださいっ』
私は余った野菜や、シャウエ●センを鑑定してみた。
~~~~~~
異世界の野菜(最高品質)
→一定時間のステータス上昇
異世界の肉(最高品質)
→基礎レベルの上昇
~~~~~~
「どうやら……異世界(地球)の食べ物って、それ自体に、バフ効果があるみたいでしゅね……」
『確かに向こうの食べ物は、品種改良してて、こっちより遙かに質がいいですけどぉ。でもだからって、料理して食べさせて、レベルを上げられるのってやっぱりおかしいですよぉ……』
確かに理屈はわからない。地球の食材を使って料理することで、ステータスが上がる。という仕組みに対する、メカニズムがさっぱりだ。
「くわぁ……」
『え?【理屈なんてどーでもよくない?】って? いやいや、それはちょっと……』
「みゃ?」
『【口答えするならパンチするわよ?】 ひ! すみませんっ』
まあ、いちおうルールは理解した。
地球の食材、そしてそれを使った料理には、バフ効果があるって。
「これ……どうしましょう」
『まあ、黙ってれば気づかないですよぉ。鑑定スキル持ちってそんなにいないですし。異世界人、自分は、レベルを細かくチェックできないですし』
確かに鑑定スキルがあれば、レベルがあがったことに気づける。
でも、愛美さんの口ぶりから察するに、鑑定は珍しいスキルのようだ。
外見的な変化がない以上、レベルが上がったことに対しては、気づかないだろう。
レベル倍化は一定時間したら、効果が消えるみたいだし。
『それにしても、食べただけでレベルを上げてしまうなんて……』
「地球の食品ってすごいんでしゅね」
『いや、凄いのはやすこにゃんなんだけども……』
「でも食品がしゅごいんであって、私は別にじゃあないでしゅか?」
『いやいや、地球の食材を、取り寄せられるのって、魔神の鞄のあるやすこにゃんだけです。だから、料理でレベルアップなんて、おかしな技が使えるのは、現状貴女だけです』
「オカシナ技……でしゅかね。特定の食材を食べて、強くなるグルメバトル漫画って向こうに」
『いっ、いやそれっ、漫画の話ですからぁ……!』
何はともあれ、今後料理を作って、他人に食べさせるときには、注意が必要だ。
もし鑑定持ちが、食べさせる相手にいたら、私のおかしさに気づかれちゃうだろうし……。
【★☆大切なお願いがあります☆★】
少しでも、
「面白そう!」
「続きが気になる!」
と思っていただけましたら、
広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】から、
ポイントを入れてくださると嬉しいです!
★の数は皆さんの判断ですが、
★5をつけてもらえるとモチベがめちゃくちゃあがって、
最高の応援になります!
なにとぞ、ご協力お願いします!




