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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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19/89

19.私の作った料理でレベルアップさせていた



 私の投石で、大鬼オーガ王、および山に大穴を開けてしまった……。


「みゃ」

『【女騎士くる】って!? ま、まま、まずいですよ、やすこにゃん! こんなヤバいことやったのが、やすこにゃんだってバレたら!』


「わ、わかってましゅ!」


 隠し結界で姿を消す。

 そして、急いでその場から立ち去る。危なかった……。


「うみゃ?」

『【なんでヤスコがこそこそしなくちゃいけないわけ?】って? あ、あの……さすがにこれバレたら、やすこにゃんあの女騎士に、実力バレちゃいますよぉ』


「みゃーお、みゃ」

『【ヤスコは凄いんだから、賞賛されるべきでしょう?】って。い、いやでもですね、大鬼(オーガ)王は街一つ壊滅するほどの、強力な魔物。それを推定五歳児が倒したとなれば、猫だましスキルを使っても、言い逃れは不可能ですよぅ。逃げて、誰かがやったことにしたほうがベスト』


「なう」

『【めんど】』


 ましろはそれきり黙ってしまった。

 それにしても……本当に危なかった。まさか、私に山に穴を開けるほどの力があっただなんて……。


「な、なんだこれは……!?」

 

 立ち止まって振り返る。

 大鬼オーガ王の前に、アメリアさんがやってきていた。


 死体を見て驚いてる。

 どうやら、私がやったとはバレていない様子。


 逃げておいて正解だった。


「それにしても……変でしゅね」

『変?』


「はいでしゅ。アメリアしゃん、レベル21しかなかったでしゅ。でも、それを上回る大鬼オーガに……勝ってたでしゅ」

『そういえば、大鬼オーガは40くらいレベルがあったのに、21のアメリアさんが倒せたのって、変ですね』


 そう、変なのだ。

 気になる……ということで。


「【鑑定】」


~~~~~~

アメリア

【レベル】62

【状態】

・一定時間レベル倍化

~~~~~~


『ば、バフだ! アメリアさんに、バフがかかってますよぉ!』


 バフなんて……いったいいつかかったんだろう……。


『まさか、ましろ様が?』

「にゃう?」


『【あたしがどうしてあんなのにバフかけないといけないのよ?】ま、まあそうですね……ましろ様、やすこにゃん以外に興味ないですし……』


 ……豊穣の女神の力で、アメリアさんが強化されてるわけではないらしい。

 では、だれが……?


『も、もしかして……やすこにゃんがやったんじゃあないですか?』

「私……? 何かやっちゃいましたか……?」


『た、多分。で、でもおかしいですね。やすこにゃん、別にバフスキルも補助魔法も、覚えてないのに』


 聖女スキルはあるにはあるけど、他者を強くする効果はなかったはず……。

 でも、状況的に私が何かしたのは明らかだ。

「しらべないとでしゅね」


 また同じ失敗を繰り返さないように。

 そうこうしてると、私は村へと戻ってきた。

 とりあえず、アメリアさんが戻ってきたときに、怪しまれないように、とまらせて貰っていた小屋へと戻る。


「なう」


 ましろが鞄から降りて、てこてこと、お鍋の方へと向かう。

 私の作ったポトフがまだ残っていた。


 ましろがソーセージをカジカジしてる。


「ふにゃん♡ みゃーう」

『【ヤスコの料理おいしい♡ 体に力がみなぎってくるようだわ】ですって……って、ま、まさか!』


 愛美さんが驚いたような声を上げる。


『やすこにゃん……料理に鑑定してみてください』

「? わかりました。【鑑定】」


~~~~~~

ポトフ

→聖女の作った異世界ポトフ

【付与効果】

一定時間レベル倍化、基礎レベルプラス10

~~~~~~


『や、やっぱりです! や、やすこにゃんの料理で、アメリアさんを強くしてたんですよぉ!』

「料理ってバフの効果があるんでしゅね」


 そういえば、ゲームでも、料理を作って食べることで、HPが回復したり、ステータスが上昇したりした。

 そういう法則がこっちにもあるのか。理屈はわからないけれども。


『いやいや! きっ、聞いたこと無いですよぉ! 料理にバフ効果があるなんてっ!』

「え? そうなんでしゅか?」


『そうですよ! ……はっ! も、もしかして……やすこにゃん、これに使った食材を鑑定してみてくださいっ』


 私は余った野菜や、シャウエ●センを鑑定してみた。


~~~~~~

異世界の野菜(最高品質)

→一定時間のステータス上昇


異世界の肉(最高品質)

→基礎レベルの上昇

~~~~~~


「どうやら……異世界(地球)の食べ物って、それ自体に、バフ効果があるみたいでしゅね……」


『確かに向こうの食べ物は、品種改良してて、こっちより遙かに質がいいですけどぉ。でもだからって、料理して食べさせて、レベルを上げられるのってやっぱりおかしいですよぉ……』


 確かに理屈はわからない。地球の食材を使って料理することで、ステータスが上がる。という仕組みに対する、メカニズムがさっぱりだ。


「くわぁ……」

『え?【理屈なんてどーでもよくない?】って? いやいや、それはちょっと……』


「みゃ?」

『【口答えするならパンチするわよ?】 ひ! すみませんっ』


 まあ、いちおうルールは理解した。

 地球の食材、そしてそれを使った料理には、バフ効果があるって。


「これ……どうしましょう」

『まあ、黙ってれば気づかないですよぉ。鑑定スキル持ちってそんなにいないですし。異世界人、自分は、レベルを細かくチェックできないですし』


 確かに鑑定スキルがあれば、レベルがあがったことに気づける。

 でも、愛美さんの口ぶりから察するに、鑑定は珍しいスキルのようだ。


 外見的な変化がない以上、レベルが上がったことに対しては、気づかないだろう。

 レベル倍化は一定時間したら、効果が消えるみたいだし。


『それにしても、食べただけでレベルを上げてしまうなんて……』

「地球の食品ってすごいんでしゅね」


『いや、凄いのはやすこにゃんなんだけども……』

「でも食品がしゅごいんであって、私は別にじゃあないでしゅか?」


『いやいや、地球の食材を、取り寄せられるのって、魔神の鞄(トリック・バッグ)のあるやすこにゃんだけです。だから、料理でレベルアップなんて、おかしな技が使えるのは、現状貴女だけです』


「オカシナ技……でしゅかね。特定の食材を食べて、強くなるグルメバトル漫画って向こうに」

『いっ、いやそれっ、漫画の話ですからぁ……!』


 何はともあれ、今後料理を作って、他人に食べさせるときには、注意が必要だ。

 もし鑑定持ちが、食べさせる相手にいたら、私のおかしさに気づかれちゃうだろうし……。

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『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

― 新着の感想 ―
ト○コじゃなくて美食屋ヤスコ
『【ヤスコは凄いんだから、賞賛されるべきでしょう?】って。い、いやでもですね、大鬼王は『待ち』一つ壊滅するほどの、強力な魔物。それを推定五歳児が倒したとなれば、猫だましスキルを使っても、言い逃れは不可…
更新ありがとうございます やすこにゃんはなにもできなくなって来ましたね(^_^;) 誤字報告 >【★☆大切なお願いがあります☆★ 【★☆やすこにゃんから大切なお願いがありましゅ☆★】 こちらのほうが…
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