18.料理食べた女騎士、めちゃ強くなってた
「ふにゃぁあん」
『【村が、大鬼の群れに囲まれてる】ですって!』
ましろが猫のひげプラス猫の鋭敏な嗅覚で、状況を素早く教えてくれる。
窓から顔を覗かせると、村のほうで火の手が上がっていた。
「アメリアしゃん! 魔物でしゅって、もう居ない!」
アメリアさんがすでに建物の外へと駆けだしていた。
その奥には、二メートルほどの巨体を持つ、魔物が立っている。
額から角を生やし、鋭く伸びた犬歯をもつ。まさに、鬼といった見た目をしてる。
『お、大鬼は亜人型の魔物ですぅ。怪力が得意で、ひ、火を噴くやつもいるです』
~~~~~~
大鬼
【レベル】40
~~~~~~
強そうな見た目の割に、そんなにレベル事態は高くない。
でも……アメリアさんのレベルが21だということを考慮すると……。
このままじゃ、負けちゃう。
「ぜぇあああああああああああああああああああ!」
アメリアさんは剣を抜いて果敢に斬りかかる。
「だめでしゅ! かなわないでしゅ!」
「ぜぇい!」
ズバンッ……!
アメリアさんは持っていた剣で、大鬼を一刀両断してみせたのだ。
「『なっ!? えええええ!?』」
愛美さんが驚愕する。……斬った本人である、アメリアさんもまた、驚いていた。
「ど、どうなってるのだ……わたしが、こんな大鬼を倒せるなんて……」
ほんにんも倒せたことに不思議がってる。
でも、直ぐに顔を振って切り替えると、鬼の群れに斬りかかる。
「ぜい! せい! やぁあああああああ!」
鬼の体がぬれた紙のごとく、容易く、引き裂かれていく。
「おかしいでしゅ……」
『はい。レベルが劣るアメリアさんが、レベル40オーバーの大鬼に勝てるわけな、ないです……いったいどういうことでしょうか……?』
その間にも、村に火の手が上がっている。
まずい。
「【結界】!」
私は村の建物に、結界を張る。
結界で建物を覆い尽くす。
『家が燃えてるのに、どうして結界でバリアなんてするんです? い、意味ないです』
「見ててくだしゃい」
しゅうぅ……と火が一気に消えたのだ。
『な、ひ、火が消えた!? どうしてですかぁ?』
「酸素だけを、結界の外に逃がしたんでしゅ」
『酸素を外に!?』
「はい。酸素だけを、結界が素通りできるようにしたんでしゅ」
結果、火は酸素を失い鎮火したのだ。
『す、すごいですよ、やすこにゃん! 今やったのは、結界の対象選別。結界のうちにいれるものだけを、選んで残し、残りは外に出すという……とても高度な技術ですよぉ!』
「しょうなんでしゅか」
またこれ高度な結界術だったらしい。
『やすこにゃんは、結界の天才です。わたしなんか比じゃないレベルですよぉ』
まあ、天才かどうかはさておいて、これのおかげで、村の建物が燃えて消えることがなくなった。
この間にも、アメリアさんは大鬼を次々と倒していく。
『すごいといえば、あの女騎士さんもですね。あ、あんなに強かったなんて。まるで、レベルが急に上がったみたい……』
レベルが急に上がった……?
それって普通のことではないだろうか。
私も凄く簡単にレベル上がっていたし。
「せいっ!」
ずばんっ! とアメリアさんアメリアさんが最後の大鬼を倒す。
「うぉお!」「すげええ!」「あの大鬼の群れを一人で倒しちまった!」
「なんて強い騎士さまだ!」
村人達が歓声を上げて、アメリアさんに近づいていく。
アメリアさんは目を丸くしながら、自分の手を見つめていた。
「これで一件落着でしゅね」
ぴんっ、とましろのひげが動く。
「ふにゃーにゃ」
『【デカい大鬼が来る】ですって! まさか……大鬼王かも!』
「大鬼……王?」
『文字通り、大鬼たちの王ですよぉ!』
アメリアさん達は、まだ気づいていない。
大鬼王とやらが来てることに。
……今ならこっそり抜け出して、倒しに行くことはできるかもしれない。
ほっといたら、大鬼王がやってきて、村人達を襲うだろう。
王っていうんだから、それなりに強いはず。
強敵が来るのをわかっていて、放置し、村人達が傷つくのは……嫌だった。
「隠し結界」
私は姿を消して、建物の外へとこっそりでる。
「ふなぁご?」
『【村人を助ける義理なんてあるの?】ですって。』
義理か。
「ありましゅよ。一宿の恩義ってやつがね」
村からちょっと離れた場所。
ずん……ずん……とゆっくりと、そいつがこちらに向かってくるのがわかった。
キャッツアイのスキルのおかげで、暗い中でも、敵の姿を視認できる。
「【鑑定】」
~~~~~~
大鬼王
【レベル】182
~~~~~~
通常の大鬼の、4倍近くのレベルを持ったモンスターだ。
祭壇の魔物よりも、強い。
こいつをほっといたら村は全滅しちゃう。
今……ここで、倒す必要がある。
「ましろたん」
「みゃ?」
「倒してくれる?」
「みー、みゃ?」
ましろが露骨に嫌そうな顔をしていた。
『【ヤスコが危険にさらされていないのに、どうして魔物を倒さないと行けないわけ?】』
ましろの態度は、一貫してる。
彼女が魔物を倒すのは、私の身に火の粉が降りかかろうとしたときだけ。
自発的に魔物を倒そうと動きはしない。ましてや、私に一切関係ない魔物を、倒そうとすることは絶対にしない。
「じゃあ……私がやってみましゅ」
~~~~~~
黒姫 寧子
【レベル】150
~~~~~~
いつの間にか、私のレベルは上がっていた。
祭壇を出て今まで、そこそこ時間が経過してるから、レベルも上がっていたのだろう。
大鬼王と比べて、今の私では、レベルで劣ってる。
このままでは敵わない。
ならば。
私は地面に落ちてる石を手に持って、大きく振りかぶる。
「【金剛力】、【猪突猛進】、発動!」
祭壇の魔物からネコババした、能力を発動する。
金剛力で腕力を上げて、猪突猛進で、防御無視の一撃を放つ。
私は石を……投げた……!
ぶぉんっ!
投げた瞬間、周囲の木々が、まるで台風にでも吹かれたかのごとく、激しく揺れ動いた。
ドパンッ……!
投げた石は大鬼王の頭を軽々と粉砕……。
……それだけにとどまらなかった。
ずずぅううん……。
『えええええええええええええええええええええ!?』
愛美さんが、驚いてる。私も……驚くほかなかった。
『あ、あばば……そ、そんな……や、山が……あの、遠くの、山がっ!』
……そう。直線上にあり、遙か遠くにそびえ立つ山の……中腹。
そこに……大きな穴が空いたのである。
『ま、まさか……やすこにゃんの投げた、能力二重がけの石が、山に大穴をあけたってことですかぁ……』
……信じられない。
確かに、能力を多重がけしたけど、まさここまでの威力が出るとは……。
「の、能力って恐ろしいでしゅね」
『いやちがいますよお! 明らかに! やすこにゃんがおかしいんですよぉ!』
すると魔神の鞄から顔を出した、ましろが、にやりと笑った。
「ふなーお?」
『え、【あたしの豊穣の加護はすごいでしょ?】って』
あ! そういうことか……。
触れている相手に、生命力を流し込み、強化する……豊穣の加護。
今ましろは私のそばにいる。そうか、加護の恩恵を受けたうえで、能力を重ねがけした結果……あんなトンデモナイ威力が出たんだ……。
『ま、ましろ様とやすこにゃんって……もしかして混ぜるな危険なのではぁ?』
『条件を達成しました』
『大鬼王から【火遁】をネコババしました』
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