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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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18/89

18.料理食べた女騎士、めちゃ強くなってた



「ふにゃぁあん」

『【村が、大鬼オーガの群れに囲まれてる】ですって!』


 ましろが猫のひげプラス猫の鋭敏な嗅覚で、状況を素早く教えてくれる。

 窓から顔を覗かせると、村のほうで火の手が上がっていた。


「アメリアしゃん! 魔物でしゅって、もう居ない!」


 アメリアさんがすでに建物の外へと駆けだしていた。

 その奥には、二メートルほどの巨体を持つ、魔物が立っている。


 額から角を生やし、鋭く伸びた犬歯をもつ。まさに、鬼といった見た目をしてる。


『お、大鬼オーガは亜人型の魔物ですぅ。怪力が得意で、ひ、火を噴くやつもいるです』


~~~~~~

大鬼オーガ

【レベル】40

~~~~~~


 強そうな見た目の割に、そんなにレベル事態は高くない。

 でも……アメリアさんのレベルが21だということを考慮すると……。


 このままじゃ、負けちゃう。


「ぜぇあああああああああああああああああああ!」


 アメリアさんは剣を抜いて果敢に斬りかかる。


「だめでしゅ! かなわないでしゅ!」

「ぜぇい!」


 ズバンッ……!

 アメリアさんは持っていた剣で、大鬼オーガを一刀両断してみせたのだ。


「『なっ!? えええええ!?』」


 愛美さんが驚愕する。……斬った本人である、アメリアさんもまた、驚いていた。


「ど、どうなってるのだ……わたしが、こんな大鬼を倒せるなんて……」


 ほんにんも倒せたことに不思議がってる。

 でも、直ぐに顔を振って切り替えると、鬼の群れに斬りかかる。


「ぜい! せい! やぁあああああああ!」


 鬼の体がぬれた紙のごとく、容易く、引き裂かれていく。


「おかしいでしゅ……」

『はい。レベルが劣るアメリアさんが、レベル40オーバーの大鬼オーガに勝てるわけな、ないです……いったいどういうことでしょうか……?』


 その間にも、村に火の手が上がっている。

 まずい。


「【結界】!」


 私は村の建物に、結界を張る。

 結界で建物を覆い尽くす。


『家が燃えてるのに、どうして結界でバリアなんてするんです? い、意味ないです』

「見ててくだしゃい」


 しゅうぅ……と火が一気に消えたのだ。


『な、ひ、火が消えた!? どうしてですかぁ?』

「酸素だけを、結界の外に逃がしたんでしゅ」

『酸素を外に!?』


「はい。酸素だけを、結界が素通りできるようにしたんでしゅ」


 結果、火は酸素を失い鎮火したのだ。


『す、すごいですよ、やすこにゃん! 今やったのは、結界の対象選別。結界のうちにいれるものだけを、選んで残し、残りは外に出すという……とても高度な技術ですよぉ!』


「しょうなんでしゅか」


 またこれ高度な結界術だったらしい。


『やすこにゃんは、結界の天才です。わたしなんか比じゃないレベルですよぉ』


 まあ、天才かどうかはさておいて、これのおかげで、村の建物が燃えて消えることがなくなった。

 この間にも、アメリアさんは大鬼オーガを次々と倒していく。


『すごいといえば、あの女騎士さんもですね。あ、あんなに強かったなんて。まるで、レベルが急に上がったみたい……』


 レベルが急に上がった……?

 それって普通のことではないだろうか。


 私も凄く簡単にレベル上がっていたし。


「せいっ!」


 ずばんっ! とアメリアさんアメリアさんが最後の大鬼オーガを倒す。


「うぉお!」「すげええ!」「あの大鬼オーガの群れを一人で倒しちまった!」

「なんて強い騎士さまだ!」


 村人達が歓声を上げて、アメリアさんに近づいていく。

 アメリアさんは目を丸くしながら、自分の手を見つめていた。


「これで一件落着でしゅね」


 ぴんっ、とましろのひげが動く。


「ふにゃーにゃ」

『【デカい大鬼オーガが来る】ですって! まさか……大鬼オーガ王かも!』


大鬼オーガ……王?」

『文字通り、大鬼オーガたちの王ですよぉ!』


 アメリアさん達は、まだ気づいていない。

 大鬼オーガ王とやらが来てることに。


 ……今ならこっそり抜け出して、倒しに行くことはできるかもしれない。

 ほっといたら、大鬼オーガ王がやってきて、村人達を襲うだろう。


 王っていうんだから、それなりに強いはず。

 強敵が来るのをわかっていて、放置し、村人達が傷つくのは……嫌だった。


「隠し結界」


 私は姿を消して、建物の外へとこっそりでる。


「ふなぁご?」

『【村人を助ける義理なんてあるの?】ですって。』


 義理か。


「ありましゅよ。一宿の恩義ってやつがね」


 村からちょっと離れた場所。 

 ずん……ずん……とゆっくりと、そいつがこちらに向かってくるのがわかった。


 キャッツアイのスキルのおかげで、暗い中でも、敵の姿を視認できる。


「【鑑定】」


~~~~~~

大鬼オーガ

【レベル】182

~~~~~~


 通常の大鬼オーガの、4倍近くのレベルを持ったモンスターだ。

 祭壇の魔物よりも、強い。


 こいつをほっといたら村は全滅しちゃう。

 今……ここで、倒す必要がある。


「ましろたん」

「みゃ?」

「倒してくれる?」

「みー、みゃ?」


 ましろが露骨に嫌そうな顔をしていた。


『【ヤスコが危険にさらされていないのに、どうして魔物を倒さないと行けないわけ?】』


 ましろの態度は、一貫してる。

 彼女が魔物を倒すのは、私の身に火の粉が降りかかろうとしたときだけ。


 自発的に魔物を倒そうと動きはしない。ましてや、私に一切関係ない魔物を、倒そうとすることは絶対にしない。


「じゃあ……私がやってみましゅ」

 

~~~~~~

黒姫くろひめ 寧子やすこ

【レベル】150

~~~~~~


 いつの間にか、私のレベルは上がっていた。

 祭壇を出て今まで、そこそこ時間が経過してるから、レベルも上がっていたのだろう。


 大鬼オーガ王と比べて、今の私では、レベルで劣ってる。

 このままでは敵わない。

 ならば。


 私は地面に落ちてる石を手に持って、大きく振りかぶる。


「【金剛力】、【猪突猛進】、発動!」


 祭壇の魔物からネコババした、能力アビリティを発動する。

 金剛力で腕力を上げて、猪突猛進で、防御無視の一撃を放つ。


 私は石を……投げた……!

 ぶぉんっ!


 投げた瞬間、周囲の木々が、まるで台風にでも吹かれたかのごとく、激しく揺れ動いた。

 ドパンッ……!

 投げた石は大鬼オーガ王の頭を軽々と粉砕……。


 ……それだけにとどまらなかった。

 ずずぅううん……。


『えええええええええええええええええええええ!?』


 愛美さんが、驚いてる。私も……驚くほかなかった。


『あ、あばば……そ、そんな……や、山が……あの、遠くの、山がっ!』


 ……そう。直線上にあり、遙か遠くにそびえ立つ山の……中腹。

 そこに……大きな穴が空いたのである。


『ま、まさか……やすこにゃんの投げた、能力アビリティ二重がけの石が、山に大穴をあけたってことですかぁ……』


 ……信じられない。

 確かに、能力アビリティを多重がけしたけど、まさここまでの威力が出るとは……。

「の、能力アビリティって恐ろしいでしゅね」

『いやちがいますよお! 明らかに! やすこにゃんがおかしいんですよぉ!』


 すると魔神の鞄(トリック・バッグ)から顔を出した、ましろが、にやりと笑った。


「ふなーお?」

『え、【あたしの豊穣の加護はすごいでしょ?】って』


 あ! そういうことか……。

 触れている相手に、生命力を流し込み、強化する……豊穣の加護。


 今ましろは私のそばにいる。そうか、加護の恩恵を受けたうえで、能力アビリティを重ねがけした結果……あんなトンデモナイ威力が出たんだ……。


『ま、ましろ様とやすこにゃんって……もしかして混ぜるな危険なのではぁ?』


『条件を達成しました』

大鬼オーガ王から【火遁】をネコババしました』

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★新連載です★



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『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

― 新着の感想 ―
山にいた人達が大変なことになったのでは…(笑)
これ生物に対しての即死魔法になるんじゃ(酸欠攻撃的な意味で)
やすこにゃんのパワー、もはや人型決戦兵器レベルでは… もうオーガ王どころかドラゴンとかでも投石で倒せそう
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