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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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13.迷いの森もサクサク進んでいく



 私は■庭(ハコニワ)の外へ出た。

 奈落の森(アビス・ウッド)の中にて。


「わっ、出れた。念じれば、空間を行き来できるみたいでしゅね」

「くあぁあ……」


 ましろは眠そうだ。本当に、興味のないことには、とことん興味のないお猫さんである。

 私の鞄の中に、ぴょんっ、と飛び乗って入る。


『あーあー、聞こえますかー? やすこにゃん?』


 愛美さんの声が、頭の中に直接響き渡る。


「はい。きこえましゅ! そちらは、外の様子、見えてましゅか?」

『あっ、ましろ様が鞄の中に入ってしまってるので、真っ暗です。あっ、その……ご尊顔を、外に出して貰えらますと……』


 ましろが仕方なく、鞄から顔を出す。


『あっ、見えました。視界良好ですよ、やすこにゃん!』


 愛美さんは、現在■庭(ハコニワ)の中にいる。

 なら、どうして彼女の声が聞こえるのか?


 それは、ましろのスキルが発動しているからだ。


 ましろのスキル【かぎしっぽ】で、ましろと愛美さんは、繋がっている状態らしい。

 なので、ましろがみたものを、愛美さんも共有できるらしい。


 また、ましろを介して、愛美さんの思念もおくれるようだ。


「愛美しゃんは、外にでないんでしゅか?」

『あっ、はい。わ、わたしその……ひ、ヒキニートなもので……。えへへ、お家最強。それに、外に出てもわたし、幽霊ですので』


 幽霊は物理的に、外界に干渉できない(戦うなど)。

 できるのは、アドバイスだ。それなら、別にリモートでも(■庭(ハコニワ)に引きこもっていても)できる。


『そっ、それでやすこにゃん。これからど、どうするんですか?』

「森の外を目指しましゅ。その後は、旅でもしようかなと」


『あっ、さ、祭壇に引きこもっても、よ、よいのでは……?』

「祭壇にいたら、バカ王子が頼って来るかもじゃないでしゅか」


 愛美さんの話を聞いて、この世界の王族が、ろくでもない連中だってことは十分理解できた。

 結婚はしないけど、死ぬまで働かせる、とか普通にありそうだし(実際愛美さんはそれやられたし)。


「バカ王子に捕まりたくないので、さっさとこの国を出て、以後、旅をしようかなと思ってましゅ」

『あっ、な、なるほど……。な、なら【冒険者】になることを、おすすめします』


「冒険者、でしゅか?」

『は、はい。冒険者になれば、国の行き来の際にかかる、入国料や、街に入るときの通行料がただになりますし。お、お金も稼げますし』


 なるほど……。


「でも、私幼女でしゅよ?」

『あっ、ご安心を。ぼ、冒険者に年齢制限はないので』


 五歳児(推定)でも、冒険者になれるということか……。

 幼女であり、保護者の居ない自分にとって、冒険者になる以外に、身分を証明する手段は作れない……か。


 それに、ましろや私の食費(取り寄せ鞄でのコスト)を稼ぐためには、この世界のお金が必要。

 

「わかりました。では、アメリアしゃんたちを、森の外へ届けたあと、街へいって冒険者を目指しましゅっ。ありがとう、愛美しゃんっ!」


 愛美さんが色々教えてくれるので、とても助かる。

 ましろは凄いけど、外界の情報は教えてくれないし。


『え、えへえへ~♡ やすこにゃんに感謝されました~♡』

「ふー! しゃー!」


『ひっ! 【あたしのヤスコとあんまり仲良くならない! ヤスコはあたしの一番の友達なのよ??】わ、わかってます! ましろ様がNo.1ヤスコ友達です!』

「うにゃん」


 ましろが納得したようにうなずいてる。

 ましろ……どうやら私を独占したいようだ。

「ましろたん……独占欲強いでしゅ」

「みゃ?」

『【当たり前でしょ、ヤスコのこと大好きだし?】ですって。あ、愛されてますね』


 ましろの言葉がわかるのも、地味に助かる。

 今までなんとなくでしかわからなかった言葉が、わかると、よりスムーズに意思疎通できるから。


「みーや」

『【便利な下僕が手に入ったわね】ですって。あ、はいっ。げ、下僕ですぅ~』


 愛美さんなんか喜んでる……。

 ちょっと変わった人だな、この人。


「さ、レッツゴーでしゅ」

「みゃ!」


 私は猫+幽霊を連れて、森の中をてくてく歩き出す。


『そ、それにしても……ましろ様のスキル、べ、便利ですね』

「どういうことでしゅ?」


『え、だ、だって……この森、奈落の森(アビス・ウッド)はうっそうと生い茂る木々のせいで、本来なら、夜みたいに真っ暗で何も見えないはずなんですよ?』


 そうなんだ……。

 でも、私の目には、普通の森の中のように見える(明るく見える)。


「【鑑定】」


 私はましろの目を見ながら、鑑定スキルを発動。


~~~~~~

キャッツアイ

→暗視スキルの付与された目。暗視を他者にかけることも可能

~~~~~~


「ほんとだ……ましろたん、いつの間に」

『【ヤスコが困ると思って、暗視をかけてあげてたのよ】ですって』


「ありがとう、ましろたん。それと……愛美しゃん」

『へ? どうしてわたしに?』

「私だけじゃ、気づかなかったので」

『ぬへへ……♡ どういたしまして……あっ! 調子乗ってないです、ましろ様! だから不機嫌にならないで! 目ぇ閉じたら何も見えなくなっちゃいますよぅ!』


 愛美さんをあんまり褒めると、ましろが不機嫌になってしまう。


「ましろたん、一番感謝してますよ」

「うにゃん♡」


 ましろのキャッツアイのおかげで、真っ暗な森の中も普通に進んでいける。

 さらに、猫のひげのおかげで、最短ルートを進める。


 そのうえ、ましろが木々を、爪で払ってくれるので、とても歩きやすい。


「みゃ!」

『【ゴブリンが来るわ】ですって』


「え、ましろ……敵の種類までわかるの?」

「うにゃんっ」

『【匂いで、なんとなくは】』


 なるほど……。猫って人間より鋭敏な嗅覚を持つという(犬ほどではないにしろ)。

 猫のひげで敵の接近、匂いで敵の種類を見分け、そしてその言葉を愛美さんが通訳してくれる……。


 ……あれ、結構無敵のコンボでは……?


「にゃー?」

『【雑魚ゴブリンを間引いてこようか?】だそうです』


「向こうはこっちに気づいてないんでしゅよね?」

「みゃっ」こくん。


「なら……ましろたんが出るまでもないでしゅ」


 私は両手を合わせ、そして準備をしておく。

 スタスタと歩くことしばし……。


「ゴブッ……」「グギャゴ」「ゴルルウ……」


 手に棍棒を持ったゴブリンが、3体、こっちに歩いてくる。

 私と一瞬目が合う……。


 が。

 ゴブリンは通り過ぎていく。


「うまく、機能してるみたいでしゅね。愛美しゃんから教えて貰った、【隠しの結界】」


 先輩聖女である、愛美さんから、結界スキルの応用方法を、教えて貰ったのだ。


 それが、隠しの結界。

 まず、結界を自分の体を覆うように展開する。


 そして、結界の表面に、自分の周囲の情報を投影(形態変化)。

 すると、敵から見ると、私の姿は消えて見える。


 ようは、結界で、光学迷彩みたいなことができるというものだ。


『すごいですよ、やすこにゃん! 隠しの結界、教えて一発でできるようになるなんて! わ、わたしは習得に凄い時間かかったのに!』


「ううん。愛美しゃんのレクチャーがあったからこそでしゅよ」

『えへへ……♡ あ、で、でも……隠しの結界も、万能じゃあないです。感覚の鋭い魔物は、ステルスを見破ってきますので』


「わりまちた。アドバイスありがとう、愛美しゃん」


 ……旅の仲間が増えたことで、すごく旅が楽になったな、って実感したのだった。

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★新連載です★



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『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

― 新着の感想 ―
>本来なら、夜みたいに真っ暗で何も見えないはず なのに、9話では >私はダンジョンの入り口までやってきた。 >そこから差し込むのは……日の光。 となっているのがよくわからないです。
「うまく、『昨日』してるみたいでしゅね。愛美しゃんから教えて貰った、【隠しの結界】」 →機能では?
3歳ならまだ解りますが女児で5歳児がここまで滑舌が悪いか?という気が結構します。
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