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【書籍化】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする【2巻12/10発売!】  作者: 茨木野


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101/102

101.

  ボンッ、と軽快な音が響く。

 白煙が晴れると、そこには愛らしい二頭身の狸――「ぽんぽこモード」の彼女がいた。

 つぶらな瞳に、ふかふかの尻尾。

 中身がアレだと知らなければ、抱きしめたくなるようなマスコット感だ。


「……これ、やっぱり幻術なんでしゅよね」


 私が冷ややかに見下ろすと、狸は懐からスケッチブックを取り出した。


【イエス。これが私の正装フォーマルだ】


 器用にマジックで書かれた文字。

 喋るのが面倒になったのか、またこの筆談スタイルに戻っている。


【私の能力は『幻術』】

【幻術を使うケモノ……】


 ぽんぽこは意味深にページをめくり、バッと効果音がつきそうな勢いでフリップを掲げた。

 そこには、達筆な文字でこう書かれていた。


【すなわち、うちは幻獣ゲンジュウ!】


 シーン。


 森に、極寒の風が吹き抜けた。

 木枯らしがカサカサと落ち葉を揺らし、遠くでカラスがアホゥと鳴く。

 絶対零度の静寂。


「…………」


 私は無言で鼻を鳴らし、くるりと踵を返した。

 失笑ですらない。

 完全なる無関心スルーだ。

 時間の無駄だった。さっさと行こう。


「おいぃぃぃっ! ちょっとぉぉぉっ!?」


 背後で狸がフリップを投げ捨てて叫んだ。

 幻術の設定を忘れて、普通に地声で喋っている。


「無視!? そこはツッコむか笑うところでしょ!? 今の『うちは』と『幻獣』がかかった高度なギャグ! 分からない!? これだから異世界人は!」

「寒すぎて凍死するかと思ったでしゅ。行くでしゅよ」

「待って! 置いていかないで!」


 ぽんぽこは短い手足をバタつかせ、私の後をボールのように転がって追いかけてくる。

 そして私の隣に並ぶと、懲りずに新しいフリップを出してきた。


【ま、改めてよろぴく頼むわ!】


 バチコーンとウインクを決める狸。

 その鋼のようなメンタルの強さだけは、確かに「幻獣」級かもしれない。

 私は頭痛を堪えるようにこめかみを押さえつつ、新たな(そして最高に騒がしい)道連れと共に歩き出すのだった。

【おしらせ】

※2/11(水)


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― 新着の感想 ―
ザシキワラシに転生前のこうちゃん自身なのかはたまた娘か親戚なのか?>ぽんぽこぅ どっちにしてもめんどくせえ……
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