おっふ、カオルさん滅茶苦茶強い
俺は日本っぽい国の人だしやはり刀を使うのかな~~などと夢想しつつ、現場へと向かっていく。現場は例の始まりの草原らしい。
始まりの草原、という名前からして普通は強いモンスターは出ないと思うのだが、ワイバーンとこのアークゴブリンが出てきたのは偶然なのだろうか。
何か事件の予感がする。この予感が当たったとしても所詮はゲームなので、クリア出来ない事件ではないだろう。もしかしたら、最初は滅茶苦茶強いNPCがクリアしてくれるのかもな。まぁどちらにしても、そこまで気負う必要はないはずだ。
俺はそんなことを楽天的に考え、石を何となく蹴った。
何となく蹴った石は、遥か彼方の森にある、石造りの遺跡のずれかかっていた石に直撃した。すると、ずれかかっていた石がガコンと見事に嵌る。
彼のなんとなく蹴った石が結果、混沌という名を与えられた魔竜を封印したことを彼は知るよしもなかった。
俺たちは草原に着き、辺りを見回すと驚きの光景が広がっていた。ゴブリンの大軍、と形容できるほどの連携の取れた大勢のゴブリン、それを狩っていく冒険者達の光景である。
連携を取らずに少数で狩っていく姿は、ゴブリンの大軍とは対照的だった。
俺たちはこの軍の総司令官であろうアークゴブリンを討伐するべく、草原を颯爽と走り抜けていく。だがやはりというかなんというか、トリーが遅れているのでカオルさんも本気を出さずに走っていた。
わかってはいたが、カオルさんどんだけステータス高いんだよ。もしも、俊敏に極振りこれはおかしいと思う。
ちなみに今、どれくらいのスピードで走っているかといえば自転車並みのスピードであるが、さっきは乗用車並みのスピードで走ろうとしていた。それで「これぐらいと思っていたのですが」と言っていたのだ。
あれ、カオルさん本気じゃなかった?カオルさんこええな。それと乗用車並みのスピードについていけそうだったカーラもおかしいけどな!!俺?トリーのスピードを参考にして走ってたよ。
俺たちはゴブリンの横を通っているが、もちろん邪魔してくるゴブリンもいる。そんなゴブリンは、帯から出したミニチュアみたいな刀が大きな刀になって、それをカオルさんが抜刀することによって排除していた。
というか着物を着ているのにどうしてそんなスピードが出せるの?みんないつの間にかゴブリンが竹みたいに割られてて、びっくりしてるよ?
カオルさんの繰り出す一撃は神速の一撃と言っても過言ではないほどの速さであり、普通の冒険者では準備や納刀も含めて見えない。
運営よ。なんでこんなバグキャラを始まりの町に配置したんだよ!!俺のステータスアップといい、この人といいおかしいやろ!!これはカオルさんにも自重というのを教えないといけないな。
NPCって自重できますよね?....
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