ギルド
ダイブすると歩き慣れたのか、何も考えずに冒険者ギルドに着けた。冒険者ギルドは少し喧騒を失ったように見える。過疎化が本格的に進んでいるのだろうか。
全面的にゲームシステムのせいだろうな。いつもの光景ではないのでなにか寂しさを感じる。幾分か、見えやすくなった冒険者ギルドを見回すと、柱にトリーが居るのを見つけた。
「おぉ、トリー!!」
「こんにちは、セルア」
そういえばトリーならば過疎化が進んでいるからか、それとも時間が悪いからかが判るな。聴いてみよう。
「冒険者ギルドに人が少なくなったのは、ゲームを辞めてる人が増えているからなのか?」
「違うと思う。Rank2の人たちのほとんどが次の街に行ってしまったからじゃない?掲示板でそんな書き込みがあった」
「何があったんだ?」
「Rank2の人がほぼ占める大規模攻略ギルドが次の街に行ったんだって」
「へぇ」
一緒に連れてって貰った方が良かったのだろうが、女将さんとお約束をしているからこれは仕方なかったな。それに、みんなだけで一緒に行った方が楽しく、旅のように行けるだろう。
攻略ギルドと一緒に行ったら軍の遠征みたいな厳格な雰囲気が流れてそうだ。
「そういえば、ギルドってどうやって作るんだろうな」
「それもチュートリアルで説明された奴よ?」
「マジか」
俺は結局あの後、チュートリアルの動画も見てなければ、ヘルプも開いてすら居ない。本来なら俺が今動画で確認すべきなのだろうが、教えてもらおう。なんか、相手が目の前に居るのに動画見出すのも失礼な気がするしね。
「悪い、教えてくれ」
「ギルドの人の話はしっかり聴かないとダメでしょ」
「うん、そうだな...」
「ギルドは冒険者ギルドで作れるの。設立条件はRank2以上の人が四人。参加条件はギルドによって異なる」
「つまり、俺たちには人を増やさない限りRankが上がっても建てられないのか」
「そうだね。で、なんでギルドがあるというと、パーティーを組みやすくさせるためらしいわ」
つまり、ギルドが参加条件を設定することによって安定して、実力を持つ者とパーティーを組めるのか。それに、ある特出した能力を持つ者同士で集まれるな。
なるほどね。ここから考えるにほとんどのギルドが攻略ギルドということなんだろう。後者は素材が欲しくてやっている職人のギルドとかぐらいしか考え付かないからな。数が多いとは思えない。
そういや、プレイヤーはNPCと組めるのだろうか。攻略ギルドに、ゲーム開始前から居る強いNPCを入れたら攻略が捗りそうなものだが。
「そういや、NPCと組めるんだっけ?」
「NPCと共闘はできるけどパーティーは組めないみたい。プレイヤーと知識や常識以外は遜色無いと評判ね」
「NPCを彼女にして色々とエンジョイしている人も居るらしいわ」
トリーが頬を赤くしながら遠慮がちに言った。え、なに?このゲームそういうこと出来ちゃうの?しかもNPC相手に!?事件が発生しそうだな。
そんなことを思っているとカーラが歩いてきた。
「よう」
「おう。じゃあカーラも来たことだし行くか!」
俺たちは食事処へと歩き出した。




