ジェネレーションギャップ
同じような物を創ってみようかな~~と思っていると、北山さんと石川さんが二人揃って仲良く教室に入ってきた。同じ女性AWプレイヤー同士、意気投合したのだろう。
そして、石川さんは席に座るとボソっと言った。
「こんちくわ」
「こんにちはだろ!!!」
「今日も、ツッコミが冴え渡るね~」
俺のツッコミが冴え渡っている理由は、妹でウォーミングアップを意図せずともしてしまったからだろうな。というか、個人的にはツッコミって疲れるのでボケを止めて欲しいんだよな。
それなのになんでツッコミをするのかって?妹による英才教育の賜物だよ。もう、条件反射的にボケられたらツッコミがでちゃう体質になっているんだ.....北上さんはそれを楽しみにしている節がなきにしもあらずなので、まあいいけどさぁ。
「こんちくわは立派な挨拶。調べるといい」
「んな、ふざけた挨拶があるわけがないだろ....」
俺がそんなことを言っていると、北上さんが調べだした。そして数分経つと北上さんが声を上げる。
「あった!!」
「おいおい、マジかよ」
「うん、マジだね。数十年前に廃れてしまった死語という奴らしいよ。意味は、こんにちわだって」
「言った通り。私が日本に初めて行った頃にはこの挨拶が流行ってた」
「お前はいつ生まれだよ!!同い年の俺は全く聴いたことがないわ!!!」
「これだから最近の若者は」
「お前も最近の若者だろ!!!」
にしても、本当にこんちくわというふざけた挨拶が過去に存在してたとはな....衝撃的だぜ。それよりそれを知ってた石川さんに驚いたけどな。
さては石川さん、只者じゃないなッ!あぁこれやっててむなしい。妹は良く自分でやっててむなしさを感じないよな。
「これがジェネレーションゲップというやつね」
「北上さんまでボケだした!?」
「役を奪うことは許さない」
「結構なガチトーンだな!!」
北上さんが満足した、という顔をしている。そんなにツッコまれてみたかったのか。そんなことを思っていると北上さんがなにやら小声で言った。
「石川さんだけが楽しそうに喋るのはズルいもん」
これはズルい。チート級のセリフだな。そういう不意打ちは本当にクリティカルヒットしちゃうからマジで止めて欲しい。
「熱でも出た?」
「石川さん、心配ありがとう。熱ではないから安心しろ。多分、ツッコミしたから興奮しただけだ」
「突っ込んだから興奮した?」
「何も突っ込んでねぇよ!!声を荒げたから血が顔に回ったってことだよ」
「そう」
確実に熱ではないが、冷や汗が垂れているような気がする。熱でも出た?って確実にアニメだったら主人公(男)が言うセリフだよな、これ。ひょっとして俺は鈍感系ハーレム主人公に攻略される側なのか??
いや、もちろん冗談だけど。こんな会話をした後、俺は後ろの人に声を掛けられた。




