お金の話
遅れてすみません
もちろん馬車などあるわけではなく歩いて帰ることになった。もちろん、草食ウルフは回収済みだ。特に喋ることも無いので、シーンとしている。不思議と俺は気まずいとは思わず、むしろ心地よいと感じていた。
二人とも同じようなことを思っているのか、話しかけようとする素振りは無い。そういえばトリーに、何か信仰を集める算段はあるのだろうか。何故かあまり話したくないのだが、聴いておいて無い様なら考えないとね。場合によっては旅立ちの為以外のお金が必要かもしれないし。
「トリー、何か信仰を集める方法を考えているのか?」
「う~んNPCに良いことして回ろうって感じかな。私が考えている物としては」
「なるほどな。NPCを助けて布教するのか。プレイヤーから信仰されるというのも嫌だろうし、善行も出来るから一石二鳥だな」
「でしょ!それに冒険も出来るじゃない?一石三鳥だよ」
「ん、同意」
ていうことは旅立ちの為の資金だけかな必要なのは。そんなことを思っているとカーラが発言した。
「入門税や食料、辻馬車に乗るための代金が必要。だから結構なお金を稼がないといけない」
「今の稼ぎじゃ生活するので精一杯だけど、ランクアップすればいけそうね」
「ランクアップすればいけると信じたいな」
本当にランクアップに懸けるしかない。現在の状況がランクアップしてからも続くのならば超絶時間がかかることになるだろう。そういえば妖精族は食事を摂らなくてもいいが天使族はどうなんだろうな。
「天使は食事を摂る必要があるのか?」
「今はある」
「今は?」
「天使は信仰からエネルギーを得る。でも、天使モードを解けば人間と一緒」
カーラさんが口足らずなので、トリーは首を傾げている。もうちょっと説明しないと普通は解らないだろ。何となく俺は解ったけども。
「要するに天使モードのときは天使力を消費して生きるけど、人間モードの時は人間と一緒ということだろ?」
「そう」
「なるほどね」
ということはだよ。摩訶不思議しすぎて良く解らないけど普通は人間だとしたら魔力が使えるんじゃないか?
「人間のときは魔法は使えないのか?」
「使えない。天使力を扱う為に」
まあ魔力の上位互換だからそうだよな。だとすると、天使モードを解くと天使力が使えなくなるからスペアとして人間のエネルギー摂取法も使えるのか。つまり排泄も普通に行えると。
俺、この世界で尿意や便意が湧いたことがないんだよね。トリーがお手洗いに行くところを見たこと無いし、流石にこのゲームでもそういうのは無くしてあるんだろう。ここだけゲームっぽいていうのもなんか変に感じるけどね。
「喉渇いちゃったしお腹減っちゃったから、あそこの食堂に入らない?」
「そうだな。トリーが餓死したら大変だし行くか」
「ん、私もちょっとやばい」
俺たち一行は看板に『食事処』としか書いていない名前不祥の店に入った。やべぇ、雰囲気的に高級な所だよ。もうちょっと先にある看板に『食堂』と書いてある店を提案しておけば良かった...




