天使の御業
コン、コン、北山さんが畑の所有者と思われる家のドアをノックする。現代のドアと似たような音を立てるベニア板のドアって....いや、ツッコまないでおこう。そんなことを思っていると、ムキムキの男の人がでてきた。
いや、お前がやれよ!!!!絶対に倒せるだろ!!!
「何か用かい?」
「あの~~こちらは草食オオカミ退治を冒険者に依頼したお宅でしょうか?」
「ああ、そうだ。この通り鍛えているのだが、魔物となると流石に追い払えなくてな」
さっき見せてきた力コブは畏怖の念を感じるほどの大きさだったけどな。草食ウルフってそんなに強いのか?それともステータスが物を言う設定なのだろうか。
絶対後者だな、じゃないと俺が凄いムキムキじゃないとおかしい。それにレベルUPする度にムキムキになるなんて俺は嫌だ!!!ムキムキ女子なんて見たくねぇ!!
俺が心の中で叫んでいる間に一通りの情報収集は終わったらしい。女子に丸投げするとか俺最低だな。でも、女子がそういうのに優れている傾向にあるのは事実だからね。適材適所だよ。うん。
「何か有益な情報は得られたのか?」
「全然、筋肉自慢ばっかだったよ」
「ん、うんざり」
「そうか、ごめん」
「大丈夫だよ」
あのおっさん筋肉自慢してたのかよ....今どき、というかよっぽど前時代的な人でない限りムッキムキというのは敬遠するからな。さぞかしうんざりしただろう。脳内でくだらないことを叫んでた場合じゃなかったわ。
「畑で張り込んでいるしかないね!」
「ん、それしか思いつかない」
「じゃあ、張り込みしますか!」
畑にてゲーム時間で一時間程経った頃、遂に草食オオカミが姿を現した。現在は果樹園の木に隠れている状態である。農家の人には悪いが、草食オオカミを沢山狩る為に少しキャベツには犠牲になってもらおう。
草食オオカミが無警戒にキャベツをぼりぼり食ってるぞ。もうこれで全頭か。ひふみ、6頭居るな。幸い、狩るときに心を痛めることになるであろう子オオカミは居ない。
よし!狩ろう。俺が合図を出した瞬間に、カーラさんの羽が広がる。
ーー刹那
「ディバインジャベリン!!」
神聖なる光を纏った槍が三つ、オオカミの首を猛スピードで貫く。ファッ!?詠唱スピード早過ぎない!!?一言で魔法が発動しちゃったよ。それに、明らかに絶大な威力を誇るよね、あれ。
結論、天使族は完全無欠の化け物。やべぇ、俺も速く殺らないと!!そう思った時には遅かった。
「アッセンシャン!」
俺がボーっとしていたせいで膨大な時間が有ったと思いたい。だって残りの三匹も倒れていたのだから。Oh my God!!!マジで神《運営》はなにしてんだよ!!!こんなチートキャラ存在させんのなよ!!!
そんなことを思っていると隣で重いものが落ちる音がした。カーラさんが倒れてる?おいおい、大丈夫かよ!俺はカーラさんの下へと駆け寄った。




