こ、こいつ恋のキューピットか。天使族だけに
「取ってきたよ~~」
しばらく経つとそう言いがら、トリーが戻ってきた。そうするとウィンドウを飛ばしてくる。どうもウィンドウは一つでも複数人に飛ばせるらしい。飛ばすというよりかは送信する、というのが正しいようだ。
そんな風に送信されたウィンドウを見る。
『草食ウルフ討伐 対象Rank1以上※クエスト未経験者不可
依頼内容
草食ウルフを五匹以上倒せ。
五匹は素材に+60G査定、五匹以上は+30G査定
緊急クエストです。
狼のくせに草食とは情けない。畑を荒らす狼を殺せ!!』
なんでそんな物騒な書き方してんだよ!!!!にしても今回のは報酬が高い、おいしいクエストなのではないだろうか。狼の毛皮は高く売れそうだし、五匹まで60Gならば少なくとも300Gは貰える。
トリー、グッジョブだな。と思ったのだがカーラさんが言った。
「私、クエスト受けたことがない」
「ああ、そっか。じゃあ別のクエストを受けてからにしようぜ」
「大丈夫。その条件を満たすパーティーメンバーが過半数を占めていれば原則受けられるから」
「原則っていう所が気になるところだが、流石に未経験か否かぐらいは大丈夫だろうな。もし、大丈夫じゃなければクエストを変えれば良い」
「クエスト変えたらお金が....」
MMORPGで生活費に困る、なんて事態が起こるなんて一ミリも考えてなかったわ。もっとゲーム世界なんだから「買いたい装備が買えない!」みたいなことで困らせてくれよ。
俺は運営にぶーたれながらトリーに付いていく。どうやらトリーによると、畑を荒らしているのだから畑に居るはずで、街中にオオカミが堂々と歩いているわけがない。だから、森か草原に面している畑がクエストの場所らしい。
なんでここで謎解き要素を入れてきたんだ...ここまでリアルを追求してきたなら詳しい場所を記しておけよ。困ってる人がこんな考えなければわからないような書き方をするわけがないだろう。
候補が三つあり、一つ目が外れてしまったので二つ目の候補に向かっている途中、カーラが突然言い放った。
「トリーとセルアって恋人同士なの??」
「「え!?」」
トリーが慌てて弁解する。
「ち、違うよ!!」
「でも私、繋いでいる所見た」
「あ、あれはね。はぐれないように手を繋いでいたんだよ!!!!」
手を繋いでいるところを見られていたか....ナイスだ!俺としてはもう一押しでいけるのではないかと考えている。そしてこれは一押しになり得るぞ。
なんとなく繋ぎたかったから繋いでいたのが、次繋いだときにははっきりLOVEの感情で繋いでいると認識することになるだろう。曖昧な好意という認識から恋愛感情の好意と認識することになるのだ。
イケメンである今、夕日で手を繋ぎながらプロポーズすればカップルになることが可能ではないだろうか。いや、チキンだからこんな早々にそんなことしないけどね。
「そうなの?」
「ほ、ほら、着いたよ!!」
俺たちは二つ目の候補地に着いた。ここであると良いな。




