キャラ作成
VRMMO、2020年代にVirtual Realityの技術が確立されて出来たジャンルだ。最初は視覚のみだったのだが発展して今年2046年春、遂に完全なVRヘッドギアが完成した。
「よっしゃーー!!!遂にVRキターーー!!!」
俺は朝、Nileから今日届く予定だったCVRヘッドギア『Another World』略してAWを宅配のお姉さんから受け取った。叫ぶ俺を見て宅配便のお姉さんは若干駆け足で退散していく。まあ、別にいいや!叫ぶのは仕方なかったしね!
堪らず俺は玄関で包み紙を破り捨てていく。すると『Another World』とデカデカと載る箱が出てきた。そこで、すかさず空の花瓶の中に入れておいたカッターを取り出す。俺は開けるのを邪魔するセロハンテープをぶった切る。そして遂に箱が現れ、開けた。
箱を開けると白いヘルメッドがスマートになったようなものが包装されて真ん中に入っている。これがAWだろう。そして隣にコードが包装されていた。充電ケーブルだろうか?あ、そっか普通のゲーム機と違って常にコードを繋がないといけないのか。しかも寝ないといけないんだよな~~
少し熱が冷めてきたので俺は冷静になった。なので散乱したゴミやAWはここで使えないことを気づき、ゴミを近くのゴミ箱に入れて自分の部屋に箱を持って行く。
部屋に着き、そろそろ落ち着いてきた俺は箱を開けて説明書を読む。ふむふむ、このヘッドギアは脳波をスキャンしてそこに干渉して夢のようなものを見せるのか。禁則事項に目を通す。まあ特出すべきことは無いな。じゃあ仮想世界に行くか。今は春休みの最終日だ。時間的には何の問題もない。
コンセントに充電コードを挿してそのコードをAWに挿す。すると左側に付いている電源ボタンが光りだした。そして装着して寝る。スイッチオン!
すると透き通るような青空に草原を背景に白い文字で『Now Loading』と表示される。何も出来ないし、進まないんだが。何だ『Now Loading』って?
彼がそう思うのも無理はないだろう。この時代ではゲームでロードなど必要なかったのだから。
白一色の部屋が急に見える。立っている感覚もあるし手もしっかり動かせるな。しっかり感覚があることに感動を覚えた後、改めて部屋を見回した。すると、部屋にポツリと少女が立っているのが見える。茶髪のおかっぱ美少女だ。可愛い。そんな美少女が俺の元へと歩み寄ってきた。
「新たな冒険者ですね?ステータスと種族、外見を決定してください」
「それと、質問があったら出来る範囲でお答えしますから言ってくださいね」
見た目に似合う可憐な声で少女が言うと、俺の前に半透明の画面が出てきた。では、選ぶとするか。まずは種族だな。
「人族、獣人族、魔人族、ランダムのどれかか」
普通のMMOをやるみたいな感じだな。ただ、立って動きと説明を画面で見てるだけだ。ただの種族選択だしね。それっぽい演出があっても良いとおもうのだが、あの女の子もスーツ姿だし。まあいいか。
人族は普通、獣人族は身体能力が高いが魔力が低い、魔人族は魔力が高いが身体能力が低い、ランダムは五つの種族のどれかになり、職業も初期職業のどれかになる、か。俺はガチでやるつもりは到底無いしな。面白そうだしランダムにするか。
「ポチっと」
すると目の前に机と、よくあるガラガラする抽選器が出てきた。気軽にガラガラを回す。正直ネタ種族になろうが、強い種族になろうがどうでもいい。ゲームを楽しめなくなるような弱さの種族を入れておくことはないだろうからな。
するとコロコロ、球が出てきた。緑色である。その球に注視すると妖精族と出てきた。すると机とガラガラは雲散霧消して画面が出てくる。これが妖精族の外見ね。
妖精族の外見は人間の背中に僅かに模様の入った透明の羽を付けただけだ。大きさは変わらないらしい。
「あ、身長は変えない方がいいですよ!訓練が必要になりますので!」
「ありがとう」
言われてみればそうだな、体を変えれば体を馴染ませる必要が出てくる。そこを何とか出来ないのかと思ったが最初のリリースなので仕方がない。そこは後追いで良くなって行くのだろう。
まあ外見は面倒くさいしリアルバレしてもいいや。そこまで有名になることもないだろうし。髪を青髪にして、羽の色を青にすれば完成だ。
今度はステータス画面が出て来る。あれ?選んでも無いのにスキルが決まってるな。
「選んでないのにスキルが決まってるんですけど不具合じゃないですよね?」
「不具合ではありません。職業の決定で職業スキル、後は全て、種族を考慮されたランダムになりますので。ちなみにランダムを選択されると職業もランダムです」
「やっぱり不具合じゃねぇか...職業もランダムだって書いてなかったぞ。まあいいけど」
運が良かったらしく妖精の強みである魔力と運が活かせるスキル構成になっていたからな
『ステータス
名前:未定
LV:1
種族:妖精族
職業:水魔法使い
称号:幸運に愛されし者
能力値:体力: 8 物攻: 5
魔攻:15 速度:20
魔力:40 物防: 7
魔防:16 幸運:500
スキルポイント:0
職業スキル:魔法作成
水魔法(大)【ウォーターボール】
スキル:豪運 幸運 開運の祈り
開運の呪い 不運の呪い』
俺が幸運なのは間違いないがこのステータスの強さがわからんな。ちょっと聞いてみよう。
「一般的なステータスってどれぐらいなんですか?」
「だいだい人族の平均が魔力以外のステータス30です。魔力は40です。妖精族は物攻と物防以外は大幅に上回っているはずです」
「.......」
え、魔力と幸運以外下回ってるんですけど.....しかも補正が無いと思われる三つは一桁だし、スキルは運系のしかないし、魔攻は人族の平均の二分の一だよ、二分の一。ま、まあががが、ガチ勢じゃないし!!!これでもいいし!
「ではこのキャラに決めるのであれば名前をご入力ください。やり直しは現実世界のお金2800円で出来ますがしますか?」
ここでやったら負けな気がするので俺は名前を入力する。セルア、と。別にステータスがヤバくて焦ったからセルア(アセル)にしたわけではない。本当だよ?
内心焦っている俺はレベルを上げれば大丈夫だろう。そう思うことにした。
「じゃあ、転送しますね?」
「ちょっと待ってください。スキルの概要はどうやって見れます?」
「着いてからステータスを見たいと念じればさっきのステータス画面が出てきます。そこからスキル名をタップすれば見れますよ。決まってから作り直しは3680円かかりますので悪しからず」
「ハハハ、お願いします」
「では転送します!」
俺は運営のちゃっかりしたところに苦笑いを浮かべたまま転送された。
『ステータス
名前:セルア
LV:1
種族:妖精族
職業:水魔法使い
称号:幸運に愛されし者
能力値:体力: 8 物攻: 5
魔攻:15 速度:20
魔力:40 物防: 7
魔防:16 幸運:500
スキルポイント:0
職業スキル:魔法作成
水魔法(大)【ウォーターボール】
スキル:豪運 幸運 開運の祈り
開運の呪い 不運の呪い』




