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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
王都学院編

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32/363

晴れ渡った空は、自由な気分になる

 


「何でしょうか」

「面白い魔法を使う奴が居るなって思っててずっと気になっていたんだ。それにマクガレフの娘と仲が良いって知ったら益々気になってさ……良かったら、少し話さねえか?」


「怪しい人とは関わりませんよ?」

「あー悪い悪い、急に言われたら断るよな。俺はカサンドラ・オレイドスっていうんだ。オレイドス家、知ってるだろ? 名前くらい教えてくれよ」


「クルルと言います」

「よろしくっ。あのさ……セイランに魔法を教えているのってクルルか?」


「ええ、そうです」

「あぁ、やっぱりそうかぁ……なるほどねぇ」


 うんうんと納得するように頷いて、変な感じだな。少し見下しているような、自分が優位に立っているという自信が溢れているというか……

 セイランには似ているけれど、雰囲気は似ていない。

 関わっても得は無さそう。こいつのせいで絡まれた訳だし。

 私はご機嫌斜めなのだよ。


「じゃあ、失礼します」

「いやぁちょっと待ってくれよ」


「あなたのせいで中等部の人に因縁を付けられました。最悪の気分です」

「俺のせいって…もしかしてさっきのか? 新しい魔法を作ったから試したくてさ、勝負でもしてたなら悪かった。許してくれ、な?」


「……」

 無視しよう。

 許してくれ、な? で済む話じゃない。

 こうやって回りを巻き込んでも許して貰える立場だったのだろう。関わりたくない、なんか軽いし、父の謝る時みたいで殴りたくなる。


「待ってくれよー、おーい」

「……」


「俺魔法が好きでさ、凄い奴と友達になりたいんだよ」

「……」


「最近セイランが冷たくてさ、仲良くなりたいし…」

「……」


「男友達って少なくてさ、クルルもそうじゃねえか?」

「あの……そういう所だと思いますよ? セイランに嫌われるの」


 カサンドラが立ち止まり、驚いた様子で私を見た。何? 自覚無いの? タチ悪いな。


「ど、どこら辺が…駄目、かな?」

「嫌がっている人に付き纏って話し掛け続けるって、色街の勧誘みたいですね。それに悪かったで済む話では無いのに許して貰えると思っているその思考とか、公爵家の立場で好きな事を自由にやっている自分に酔っていそうで…同姓に嫌われるタイプですね」


「……まじか……なんか、心当たりがありすぎて……心が痛い……」

「今自覚出来たのなら、良かったと思った方が良いですよ。では…」


「待ってくれ!」

「はぁ……なんですか?」


 もう帰らせてよ。

 私の前に回り込んで、さっきとは違う真剣な表情で私を見据えてきた。このまま足を真上に上げたら金的攻撃が出来る……いや流石にやらないよ。父が泣きながら叫んでいたのを目の前で見ていたからさ……


「……ありがとう。なんか、目が覚めたっていうか……こんな事言ってくれたの、クルルだけだった」

「そりゃ、公爵家の子息に悪口なんて言えませんからね」


「はぁ……そう、だな……あー、えーっと、クルルがセイランの友達なら、安心だな!」

「……セイランとは友達ではありませんよ。魔法を教えるだけの関係です」


「えっ……いや、魔法教えてるんだろ? 友達じゃねえか」

「ははっ、自分の基準で言わないで下さい。私なんかがセイランと友達になんてなれませんよ。では、失礼します」


 もう、疲れたから帰ろう。

 学院には行かず、早歩きというか駆け足で王都へ。

 カサンドラは付いて来ない様子だから、そのまま家に向かって一直線。

 なんか、明日学院行くの嫌だな。



「いってらっしゃーい」


 母に見送られ、いつも通り王都へと走る。

 走っている途中で、昨日の事を思い出して立ち止まってしまった。


「……さぼっちゃおうかな」


 なんか、無性に行きたくない。

 足が貼り付けになったみたいに動かない。

 色々と、思い出してしまう。学院では、友達が出来ないし……変な奴に絡まれたり、絡まれたり。

 大人は味方してくれるけれど、見ているのは……私の後ろに立つ両親だ。

 最近気付いてしまったけれど私は一日の大部分を、孤独に過ごしている。

 この眼鏡のせいなのか、私の性格がいけないのかわからない。学院に通う意味もあるかどうかわからない。

 解らない事だらけだな……はぁ。

 上を見上げ、晴れ渡った空を眺める。鳥型の魔物が気持ち良さそうに飛んでいる姿を見ると、自由に何処かへ行きたい衝動に駆られた。

 うん…今日は、学院に行かない。

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