表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊の友として  作者: 北杜
三章 伯爵家滞在編
48/276

閑話 男爵家家族旅行2

昼過ぎに伯爵家の有る街に着いた。普段ならもっとゆっくりと馬車を進めるがトルクの治療のために街の中でも速度を速める。

伯爵家に着いた私達はすぐにトルクを医者に見せた。先に伯爵家に着いていた護衛の兵が準備をしていたようだ。


「この子の治療を頼む」

「これは・・・、わかりました」


医者にトルクを預けるときにレオナルドと女性と少女が向かってきた。


「トルク」

「お兄ちゃん」


この女性がトルクの母親か、少女はだれだ?


「お久しぶりです、クレイン様。先ほど兵から聞きました。賊に遭ったと」

「トルクが賊にやられた。詳しい事は後で話す。義父に会うがその前に、幼女は誰だ?」

「トルクの従妹のマリーです。この子もポアラ様の使用人として雇います」

「わかった。それも後で聞く」


子供達は疲れているため先に部屋につれていき、私とアンジェは義父と義母に会う為に執事長に案内されて部屋に向かう。


「クレイン・ルウ・ウィール。ただいま戻りました。お久しぶりです。義父上」

「久しぶりだな、クレイン。賊に遭った様だが大丈夫か?」

「私達家族は大丈夫ですが。使用人のトルクが怪我を負いました。医者を手配していただいて感謝いたします」

「ドイルの命の恩人だ。それに報いよう」

「お久しぶりです、お父様」

「アンジェも久しいな。息災か」

「勿論ですとも」

「二人とも久しぶりね。子供達は?」

「馬車を飛ばしてきたので部屋で休ませています。義母上」

「今回は大変だったものね」

「伯爵領で賊に遭うなんて初めてよ。どうなっているのお父様」


治安の良い伯爵領で賊が出るなんて。それも伯爵家がある街の近くで。


「実を言うと辺境でも賊が増えているらしい。我が領地だけではなくアイローン伯爵領でも賊が増えているそうだ」

「バルム領とアイローン領。帝国からの介入ですか?」

「ワシもそう思っている。帝国の嫌がらせのたぐいだな」

「賊を捕まえたので尋問をお願いしても良いですか」

「わかった」


後は賊を伯爵家に渡して尋問の内容を聞くか。


「しかし、レオナルドが連れてきた客人だが・・・」

「はい、使用人のトルクの母親と従妹です。トルクの母親は魔法が使えるのでポアラの魔法の教師として雇おうと思っています」

「名前はリリア殿だな」

「確かそのような名前だったと思います」


男爵の養女から平民になった女性に義父が敬意を表している。殿と言うのは珍しいな。位の高い貴族や大臣を呼び捨てにするのに。


「後でゆっくり話し合おう。賊の事やリリア殿の子供の怪我の事もある。夕食はみんなで食べようか」

「では私はトルクの容態を見に行きます。アンジェはどうする?」

「私も一緒に行くわ。トルクが気になるし、リリアさんにも会いたいから」

「では案内をさせよう」


部屋を出て使用人に案内をしてもらう。案内された部屋には医師や使用人や動き回っている。トルクがベットで寝ていて側にはリリア殿がトルクの手を握っている。マリーもベットの近くで泣いている。


「リリアさんですね。初めまして、私はアンジェ・ルウ・ウィール。クレイン・ルウ・ウィールの妻です」


リリア殿は立ち上がり妻に挨拶をする。


「初めまして、トルクの母のリリアです。この度は息子の為に手厚い治療をしてもらい感謝いたします」

「トルクには私の息子を助けて頂きました。私も出来る限りの事をします」

「何から何までありがとうございます」


女性同士の会話には男はなかなか話に入れないな。少し待っているか。

トルクの容態を見ているが体中包帯塗れで薬草の匂いもする。医師に状況を教えてもらった。


「今晩が峠です。覚悟をしておいてください」


その言葉を聞いたアンジェとリリア殿は顔が蒼白になり、アンジェは医師を責め、リリア殿はトルクの手を握って呼びかける。私は医師に向かって回復魔法の使い手がこの領内に居るか聞いたがいないそうだ。アンジェは義父の元に行き回復魔法の使い手が領内に居るか聞きにいった。

そんな事をしていると子供達が部屋に入ってくる。


「お父様、トルクは大丈夫ですか?」

「トルクは無事?」

「お父様」


エイルド、ポアラ、ドイルがトルクの容態を聞いてくるが言える事は一つしかない。


「大丈夫だ。トルクは強い。心配するな」


医師や使用人の邪魔をしない様に子供達と一緒に部屋から出て子供達を部屋に戻す。私は賊の事を聞きに義父の元に向かった。

部屋に入るとアンジェの声が聞こえる。


「お父様、本当に回復魔法の使い手はいないのですね」

「領内にはいない。回復魔法の使い手は少ないから王都にしかいない」

「トルクを治せる人はいないの?折角、母親と会えるのにこれは酷いわ」

「あの医者は領地で一番の医師だ。私も出来れば助けたい」

「でも、トルクは今晩が峠なのよ」

「アンジェ、止めなさい。私達の出来る事をしよう。義父を責めてもトルクは治らないぞ」


義父とアンジェの話に入る。


「でも」

「義父も医師も出来る事をしている。私達も出来る事をしよう。アンジェは子供達の側にいてくれ。それからリリア殿にはレオナルドを側に置く。医師も今晩はトルクの側に置いて何かあればすぐに対処をしてもらう」

「・・・わかったわ。子供達の所に行って、後でリリアさんの様子を見るわ」


アンジェが部屋を出て少ししたらため息が聞こえた。義父が頭を抱えている。


「アンジェは変わらないな。何かあると私に文句を言いに来る」

「私にも文句を言いに来ますよ。所で賊はどうなりましたか?」

「今尋問をしているが、狙いはお前だ」

「私ですか」

「男爵を殺せと言われたらしい」


私を殺せか、誰がそんな事を。広大な農園を欲しがる他の貴族か、豊かな領地を欲しがる他の領地の貴族か、それともアンジェと結婚して恨んでいる貴族か。


「帝国の様だ。帝国がお前をターゲットにした様だ。おそらくお前が死んだら領地の農園が何年かは食料の生産が減るか又は機能しなくなる。その結果、伯爵領の食糧が減るし砦の兵糧も少なくなる。お前を殺せば伯爵領の食糧が減るだろう」

「しかし私を殺しても農園の食料がすぐに減る訳ではありません」

「その通りだ。しかし帝国に友好的な貴族がお前の後釜になったら農園は伯爵領ではなく帝国に流れる可能性はある」

「この伯爵領で帝国に尻尾を振る貴族が居るとは考えられない」

「伯爵領の貴族では無く他の領地の貴族ならあり得る。お前の領地はアイローン伯爵領地にも近いからな。ワシも男爵位の者が伯爵領で賊に殺される罪を負うだろう。その結果、領地の削減もあり得る」


アイローン伯爵領の貴族なら金や女、位の為に王国を売ることもあり得る。だがしかし。


「あの領地の貴族ならあり得そうですが、バルム伯爵領ではそのような事はあり得ないでしょう」

「その通りだが、王国の上の連中には関係ないだろう。ワシの派閥がもっと数が多ければ良いのだが」


ため息をついて天井を見上げる。義父も苦労をしているようだ。


「私も領地の見回りを増やしましょう。帝国がおかしな事をしないように」

「ワシも領地の見回りを増やす。今度は商人を襲う可能性も有る。また他の領地の者にも伝えておこう」

「それが良いと思います」



その後、義父と話し合いをしていると夕食の時間になったので私達は夕食を食べるべく食堂に向かう。食堂には全員揃っている。しかしみんな表情が暗い。


「今日はお前たちが帰ってくるから美味しい料理を作ったぞ」


義父が明るくみんなに言った。


「エイルド達もこの料理は好きでしょう?今日はいっぱい食べてね」


義母も明るく言うが子供達は反応しない。やはりトルクの事が気になるのだろう。どうするか考えていると。


「貴方達、そんな顔をしないの。せっかく作った料理が可哀そうでしょう。そんな顔しているとトルクに言われるわよ。「料理を残す子供はその食べ物が夢に出てきて悪夢を見せる」って。しっかり食べなさい」


食べ物が夢に出てきて悪夢を見せる。前にエイルドが食べ物を残したときにトルクが言った言葉だ。エイルドの前で低い声で。


「食べ物を残すとその食べ物がエイルド様を恨んで夜中にエイルド様の頭の中に入り込んで悪夢を見せるのです。どのように頭の中に入るかというと耳から入ったり、鼻の穴から入ったり、つぶっている目をこじ開けて目から頭の中に入ります。その食べ物は「もったいねーもったいねー」と言いながらエイルド様に悪夢を見せるでしょう。どのような悪夢かと言うと・・・」


その後の話はトルクがエイルドにしか教えていない。次の日からはエイルドの食べ残しが無くなり、キチンと食べる様になった。その行為を見ていたポアラとドイルも食べ残しをしなくなった。


「エイルド、ポアラ、ドイル。トルクなら大丈夫だ。あいつは強い子だ。お前達がそんな事をしているとトルクが起きてから笑われるぞ」

「お父さんの言うとおりよ。しっかり食べてトルクに出来る事をしましょう」

「わかりました。お父様、お母様。僕もこれ以上、トルクに迷惑をかけたくないです」


一番年下のドイルがこの旅で一番成長をしたようだ。トルクと二人で何か話していたのだろうか。


「お爺様、ご馳走ありがとうございます」

「うむ、仲の良い使用人が怪我で倒れているのだ。心配だろうがそんな時こそしっかり食べておかないとな。食べて体力をつけて有事の際にすぐに動けるようにする。食べて体力を整える。これは戦場でも一緒だ。エイルドもポアラも食べようか」

「はい、いただきます」

「いただきます」


みんなで食事を食べる。食べ物を口にしたらあまり美味しくなかった。アンジェを見ると表情を変えずに食事をしている。子供達を見ると苦い顔をしている。この食事は美味しくない。義父や義母を見ると普通に食べている。味が薄く、変な匂いがして、食材が苦い。去年同じ料理も食べていたと思うが、なんで今年はこんなにまずいのだろう。アンジェも料理のまずさに閉口しているようだ。

やはり男爵家の食生活が変わったからか。トルクが作った料理で舌が肥えている。これは少し困ったな。


「どうした、料理が口に合わなかったかな?」

「お父様、この料理は美味しいですか?」

「去年と同じ料理だぞ。みんな旨いと言っていた料理だが、どうした?」

「どうも私達の口には合わなかったようです」

「そうなのか?」


義父が周りを見る。子供達は苦い顔をして食事をしている。エイルドやドイルは水で料理を飲み込み、ポアラはゆっくりと料理を飲み込んでいる。

義母が心配そうに子供達を見つめ、料理を食べるがいたって普通だ。義父と義母はこの料理が旨いと思っている様だ。


「私達には美味しいと思うけど、貴方達はそう思ってない様ね」

義母が悲しそうに言う。するとアンジェが言った。

「私達は男爵家で食べている物が美味しくて、どうも舌が肥えたようだわ」

「ふむ、リリア殿の子供は料理まで出来るのか・・・」


義父が何か考えている。本当にトルクの母親は元男爵家の養女の平民のはずだが、何か秘密があるのか。



食事を終えてアンジェと子供達と義母はトルクの所へ。私はレオナルドと一緒に義父の書斎に向かった。


「どうも食事が合わなかった。レオナルドはどうだ」

「私も男爵家で食べている食事の方が素晴らしいと思っています。どうも舌が肥えたようです」

「これでは使用人も兵達も舌が肥えた様だな」

「表立って不満は言わないでしょう。しかし伯爵家の料理がここまで不味いとエイルド様達が何か言うかもしれません」

「そうだな、新しい料理のレシピを義父の派閥に教える前にここの料理長に教えようと思っていたが、この程度の料理の腕では教えてよいものか少し考えるな。伯爵家の料理長はどんな人物だ?」

「伯爵家の料理長は三年位前に先代から変わったと聞いています。評判はあまり良くないです。料理長の地位をほしいままにしていて、自分に反抗する使用人の食事を出さなかったり、陰険な嫌がらせをしていると聞いています。伯爵家で働く料理人も数人辞めているそうです」

「お山の大将だな。たがが料理人の分際で何をしているのか」

「確かに平民にしては高い地位にいます。しかし貴族から見れば平民ですから」

「確かに私も貴族だが、同じ貴族から見ればただの男爵だからな」

「クレイン様は男爵ですが、ただの男爵ではありません。武勲を立て領地を守っておいでです。その辺の男爵とは比べ物になりません」

「まあいい。それよりもこれからの事を義父と話し合おう」


義父の書斎に着き、私達は失礼のない様に入る。義父も書類を作成している様だ。


「すまんな、仕事が終わらなくてな。帝国がきな臭いから今のうちに出来ることをしないと」

「その帝国ですが、今回の賊の後ろにいるのは帝国のようです」

「本当か、レオナルド」

「はい、賊を尋問して吐かせました」

「その賊が嘘をついている可能性は?」

「無いと思います。魔法を使う賊が帝国の人間だったらしいです」


魔法を使う賊・・・、ドイルを人質にして、トルクを殴り、私が殺した奴が。


「まだ詳しい事はわかりませんが、その賊は帝国の訛りが有ったらしいです。それから他の賊ですが、どうもただの賊ではありません」

「どういうことだ?」

「食べれないから賊になったと言っています。しかし賊は傭兵ギルドで探し人として探索されている行方不明の平民のようです」

「行方不明の平民が賊になったのか?」

「闇魔法の洗脳か?」


義父がレオナルドに言う。闇魔法は相手を洗脳したり、呪ったりする陰険な魔法が多いと聞く。光魔法の回復魔法並みに使える人間も少ない。


「闇魔法の洗脳の可能性が高いです。そしてまだ行方不明の平民は自分が賊と思っています。しかしどうして賊に身を落としたのか聞くと分からないとしか言いません」

「洗脳は解けるか?」

「わかりません、光魔法の使い手か闇魔法の使い手がいれば解除はすぐに出来ます。あとは洗脳が薄くなった時に親族に会わせて、その衝撃で思い出すくらいでしょう」

「そうか、とりあえず洗脳を薄くして親族に会わせる用意をしよう。傭兵ギルドにはワシが連絡をしよう」


義父の仕事が増えるようだな。これ以上、増えたら体調が悪くなるかもしれない。


「それから一人だけ洗脳されていない賊がいます。口を割りませんが主犯の一人でしょう」

「そうか・・・。帝国の情報をそいつが知っていれば良いが、どうだろうか?」

「下っ端のようですから詳しくはわからないでしょう」


帝国の情報が欲しいな。ここまでやられっぱなしだ。そいつから情報がほしい。我々も帝国に侵入して情報を得るか。


「義父上、我々も帝国に諜報員を放しましょうか?」

「現在、傭兵ギルドのギルド長と帝国の情報を集めるべく作戦を立てている」

「我々も何か手伝いが出来れば良いのですが」

「そうだな、クレインは帝国に目を付けられている。それを逆手に取るか」

「・・・つまりは囮ですか?」

「そうだ、ワシからも護衛の兵を増やすが、護衛に穴をワザと開けて敵をおびき寄せよう」

「アンジェや子供達が心配ですね。今度、賊が襲ってくるとしたら男爵領への帰り道か男爵家でしょう」

「後は農園の破壊活動だな。秘密裏に傭兵ギルドに守らせよう」

「因みに伯爵家は大丈夫でしょうか?賊が潜んでいるかもしれません」

「現在、泳がせている」

「帝国の賊が居るのですか?誰です」


伯爵家に賊が居るとは。家族の安全は大丈夫なのか。私は義父に問う。


「まだ教えられぬ、少し待て」

「しかし」

「安心しろ、危害は無い」


これは教えてもらえないか。ため息をついてレオナルドを見る。レオナルドはわかったように頷く。危害が無いといっても心構えはしておこう。その後、私は義父とレオナルドと情報の交換をする。その中に新しい料理のレシピを話した。


「新しい料理か」

「はい、義父上。そのレシピを伯爵領から広めていただけませんか」

「確かに男爵家からではなく伯爵家からの方がいいかもしれないな」

「義父上の派閥の人達に教えて王国での地位を上げる事も出来ます」

「確かに魅力的な話だ。どんな料理だ?」

「色々ありますよ。ハンバーグにサンドイッチ、ホットケーキやパンプキンスープ」

「・・・なんだそれは。聞いたことが無い」

「それはそうでしょう。新しい料理ですから」

「食べてみないと分からぬ。後日食べさせてくれ」

「トルクが回復したら食べられるでしょう。ここの料理はあまり美味しくありませんから」

「・・・そんなに美味しくないのか、うちの料理は」

「新しい料理に慣れたのかどうも我が家の家族は舌が肥えたようです」

「男爵家の使用人も舌が肥えました。男爵家の使用人の一部が料理を作らせてほしいと言っています」


使用人が料理を作るか。男爵家ならではの話だな。基本的に使用人と料理人の縄張りが決まっており両方ともそこには入らない。使用人が料理人に口を出さないし料理人も使用人に口を出さない。

しかし、男爵家の使用人が伯爵家で料理を作るなんて事は無理だ。伯爵家の料理をけなす事になる。さすがにそれは許可できない。少なくとも伯爵家の厨房では。


「新しい料理人を雇って少し余裕を持たせるか、トルクには料理の開発を任せよう。そして開発した料理を伯爵家の料理人に教えるか」

「少し時間が掛かりそうだな、とりあえず滞在中に何種類か教えてもらっておこう。そういえば甘味は無いのか?女性の心を掴むのにはお菓子が良いだろう」


義父の問いに私とレオナルドは顔を合わせる。そういえば甘い料理は蜂蜜が入ったホットケーキくらいしかないな。トルクはお茶のお菓子を作った事がない。今度作らせるか。


「今度、新しいお菓子を作らせましょう」

「そうですね、お茶会に出すお菓子ですね。」

「・・・お主達に言っておくが新しい料理やお菓子はそう簡単な物ではないぞ」


実際その通りなのだがトルクが作る料理はほとんど新しく斬新な料理だ。きっと出来るだろう。私達は笑いながら大丈夫だと答えた。



義父との話が終わり、私達は解散する。義父はもう少し仕事をして休み、レオナルドは賊の情報を得るために移動する。私はトルクが心配になり見に行った。夜遅いので部屋のドアを静かに開けようとするがドアから声が聞こえる。


「お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。お願いします、トルクを助けて下さい。・・・・・・・・・・・」


母親の必死の祈りを邪魔するわけにはいけないので私はそっと部屋から離れた。間違ってもリリア殿に引いた訳ではない。絶対にだ。

その日の朝、峠を越えトルクが助かった事を医師から聞いた。その後リリア殿が倒れて伯爵家に騒ぎが起きるが割愛する。

それからトルクが目覚めるのはその二日後だった。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ