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母の夢 悪夢と思ってごめんね。度★★★★★
身近な人の「死」とか「死別」の話しがダメな方は、読まないでください。
水分を含む、重い雨雲敷き詰められた深夜。
私はまた、今日も眠れずにいる。
悪夢を見たくないが故、眠れない。
悪夢と言っても、霊や化け物に追われるようなものではない。
というか、そういう夢は寧ろ私には刺激的で楽しい。
私の悪夢──それは、母が出てくる夢だ。
いつかのように、家族団欒にいたり。
いつかのように、一緒にどこかに出掛けたり。
いつかのように、当たり前のように隣にいる。
そんな、他愛ない日常の夢。
───……目が、覚める。
母は夢占いとかが好きな人だから。
母に今見た夢のことを話してみようとぼんやり思う、が。
母はもう、この世にいなかったことを思い出す。
今の母は夢の存在だったと、気づいてしまう。
母の夢を見るたび、胸が苦しく湿ってしまう。
だから、母の出る夢は私にとって悪夢みたいなもので。
折角、夢に見れたのに「悪夢」と思ってしまうのは申し訳ないが……
母が亡くなってしまった事実を未だ飲み込めてない私にとっては、その事実を突きつけられるようで。
貴女に会える夢を悪夢と思ってしまい申し訳ないと思いつつ。
いつの日か貴女の居る夢が、懐かしく愛しいものに変わってほしいと。
眠れぬ夜を彷徨いながら、私はそう思うのだった────




