232/338
孤独な夜の船出 吟遊詩人の詩度★★★★★
月が眠る新月の夜
私はひとり 暗い海の前に佇む
月のない夜の海は真っ暗で
まるで 大きな闇が辺り一面に広がってるようで
私は闇の中から聞こえる波の音に耳を傾けながら
先の見えない闇を 海の向こうを見つめる
ぼんやりと暗い海を見つめると
砂浜に置いていた大きな荷物をちいさな船に乗せた
荷物をちいさな船に乗せると
真っ暗闇の海に船を押した
船が海に浮かぶと
私はそのちいさな船に乗った
ちいさな船はゆっくりゆっくりと
砂浜から離れる
私は砂浜の向こうの町を見つめながら
ちいさく言う
「ありがとう。またね」
島の人々には今日出ると話していない
どうも 別れの瞬間が私は苦手で
こうして旅に出るたび
私は無言で去る
私の乗るちいさな船はゆっくりゆっくりと
真っ暗闇の向こうに…
広いひろい海の世界に
流れていく─…




