天の川の向こうのあなた想う… 七夕以外の織姫の様子度★★★★★
※こちらの作品は2022年 02月20日に短編詩として投稿したものです。
カタンカタンカタン……
ふと。
機織りする手が止まる。
あなたのいつかの笑顔が眼裏に映る。
……カタンカタンカタン
ふうっと、ため息をつき、また機織りを始める。
カタンカタンカタン……
サボってしまったら今度こそ2度と、
あなたと会えなくなってしまうかもしれない。
それだけは絶対に嫌。
カタンカタンカタ……
今日はあまり集中力がない。
…少しだけ。
少しだけ息抜きに、天の川を見てこよう。
それなら構わないよね。
さわさわさわ……
星の屑が透明な天の川を流れる。
天の川の側に佇み、天の川の向こう側を見つめる。
───もしかしたら、彼の姿が見えるかもしれない。
そんな淡い期待を胸に、天の川の向こう側を見つめる。
けど、彼の姿は見えない。
でも、それでいい。
天の川を挟んで見つめあってるところでも見られたら、
会えなくなるかもしれないし…
天の川の向こう側を見つめながら。
ほろり…
あたたかな星屑が頬を零れる。
…後数ヵ月ですね、あなた。
今だけ。
今少しだけ、この刹那の時間をお許しください。
すぐに機織りの仕事に戻りますから。
だから、少しだけ。
ほんの少しだけ、どうかお許しください。
向こう岸のあなたを想わせてください…




