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ただ、それだけのことだけど。 リアルに日常にあった風に書いてみたフィクション詩です。度★★★★★
あ。
少女が握っていた赤い風船が、
少女の手の隙間からするり。
ぴろぴろと尻尾をふるようにして、
持ち手の紐を揺らしながら大空へと泳いでゆく。
地上で風船に向かって泣き叫ぶ少女。
けど、赤い風船は何だか楽しげに、
大空へと向かって泳いでゆく。
まるで、自由になったことを喜ぶかのように、
大空へと……
結局。
風船を配る人が側にいたので、
その人が少女に改めて風船をあげて、
少女は泣き止んだのだけど。
ただのいつかの日常の切れ端。
だけど。
妙に印象に残る、ひと場面……




