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日清戦争 -34 砲撃開始。 

更新遅れました。

 第1遊撃隊 「吉野」

「3000までこらえろ!!遠くではあたらんぞ。距離には注意せよ。近すぎれば巨弾が当たるぞ」

 坪井が叫ぶ。彼はミスター単縦陣の異名を持つほど単縦陣に精通している。故にその戦術を発揮できる数字なども熟知している。

「本隊旗艦松島発砲!!」

 見張りが叫ぶ。

「本隊間合いが遠いぞ。あれではあたらん。もっとこらえよ。!!」

 叫んでいる間にも砲声が聞こえる。本隊2番艦『厳島』、3番艦『橋立』が続けて発砲したためだ。本隊4番艦以降は速力差の観点から距離が離れているのでまだ砲撃に参加していない。

「まだでありますか!!」

 だがそれは恐怖である。一切攻撃できぬサンドバック状態それを耐えねばならぬのだ。

「距離3000!!」

「よく耐えた!!攻撃開始!!」

 『吉野』が砲撃を開始する。後続の2番艦『高千穂』、3番艦『秋津洲』が砲撃を開始する。

「『浪速』以降の3艦いまだ砲撃せず」

 見張りの叫びは周りの士官を驚かせるに十分だったが、坪井はにやりと笑みを浮かべた


 『浪速』

「追撃の際は3艦2組に分かれる以上、後ろの2隻を考えて行動しなければならないと愚考します。」

 田中の意見である。

 第1遊撃隊5番艦『和泉』は日本艦隊に編入して日が経っていない。十分な訓練が不足していることは容易に想像できる。

 6番艦『千代田』は元々本隊所属艦として訓練を積んできた。故に第1遊撃隊との連携訓練は不十分だった。

「もっと接近してから射撃する。」

 それが東郷の意図だった。


 『千代田』

「本艦は頑丈だ!!あたっても沈まんぞ!!」

 『千代田』は日本の防護巡洋艦の中では異質な船だ。防護巡洋艦は通常、舷側装甲を持たない。重要区画である機関区天板の防護装甲しか持たない。装甲の外側に石炭庫を置き、石炭庫を防御区画とする。それによって舷側装甲を省略、軽量化、低コスト化を目標とした。

 この構造は艦上部構造物の脆弱化を生み、小口径砲で上甲板を掃射され戦闘能力を喪失するという危惧があり、実際にこの黄海海戦でそれが証明されることになる。

 そして『千代田』には薄いながらも、舷側装甲を持つ防護巡洋艦である。小口径砲程度なら防げるだろう。ただし、大口径砲主体の清国艦隊に対しては装甲が薄いとみなせるやもしれない。

「まだですか!!」

「こらえろ!! 〇〇野郎は女に笑われるぞ!!」

 下ネタにその場が笑いがあふれる

「船には嫌われたくないであります!!」

 軍艦は伝統的に女性として扱われる。船乗りとして船に嫌われたくはない。


 5番艦『和泉』 艦長三浦 功

「訓練不足ではあたるものも当たらん。当たりやすいように接近してからだ!!」


 浪速。

「目標敵艦隊最右翼艦 『楊威』 第一・第二主砲射撃せよ!!照準を確認する!!」

 東郷は史実にはない独自の射撃をしようとしていた。海戦の常識として、初弾は全砲門一斉発射する。それが戦列艦時代からの定石だった。

「艦長。なぜ一斉発射せんのですか?」

 それに一部士官が聞く

「初弾は当たらん。もったいない。それに砲撃距離が正しいか確認せねばなるまい。各艦がばらばらに射撃開始したがために小口径砲弾の水柱は立ちすぎておる。あれでは自らの砲弾が外れかわからぬ。それに目標も各艦が勝手に判断しておる。」

 日本艦隊も砲撃上の問題はあった。自らの砲弾がどれかわからない。そしてそれが当たったか外れたかもわからない。これはでは距離が替わる状況下では無駄玉を打ちまくることになるだろう。

「幸いにもわが艦の主砲は第1遊撃隊の中でも最大。同型の『高千穂』の主砲弾水柱と誤認せぬ限り確実にわかる。」

 浪速級がこの時搭載するクルップ社製26cm(35口径)砲は戦艦級の主砲だ。この砲を上回る砲撃能力を持つのは本隊の松島級3隻のみ。ただしこの松島級の主砲等は欠陥品かつ不調で、砲撃には時間がかかる。カタログスペックでは5分に1発だが、これを発揮できるわけがなかった。準じる砲撃能力を持つのは本隊6番艦『扶桑』の1861年型 24cm(20口径)単装砲だけであったがこの船はまだ距離が遠く、遊撃隊の砲撃範囲に砲弾が落ちることはないので混同する可能性はない。そのうえ砲が旧式のために速射性は浪速の主砲に劣る。

 つまりかこの時点でまともに使える最大の巨砲を運用する艦は『浪速』と『高千穂』だけだった。

 なお、この主砲は黒色火薬を発砲に用いる旧式砲だったため日露戦争前に同様だった副砲ともども英アームストロング社製15.2cm単装速射砲に交換されている。

「『高千穂』砲撃確認」

「よし5秒後発射。」

「主砲斉射!!」

 2門の主砲は火を噴くとしばらくして、敵艦隊最右翼艦『楊威』の周りに水柱が立つ

「2本ともに敵艦後方に着弾」

「遠いということだ。修正しろ!!夾叉が取れるまで続けろ。今後主砲は砲撃の誤差修正を継続せよ。副砲群と後衛2隻は修正情報を参考に打ちまくれ。」

 数分後、正確な情報をもとに3隻が砲撃を開始した。目標清国艦隊最右翼艦『楊威』



浪速が史実遊撃隊最後尾を任されて、高千穂が2番艦を任された理由は主砲にあると思います。本当なら3,4番艦が編成上適当だろうに。巨砲の水柱を利用して射撃修正するつもりだったのではないだろうか。そう考えて描写を入れました。

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