閑話 ラナの相談
「ロナウド様、ミレイ様、この後、私たち三人だけで話をする時間を作って頂けないでしょうか?」
ラナは緊張した面持ちで二人に話しかけた。
司令官のテントでエトウたちと遭遇した後、ラナはきちんと話し合わなければならないと強く感じていた。
そうしなければ、以前と同じ過ちを繰り返すことになるかもしれないと。
ミレイはラナの真剣さにすぐに気がついた。ラナの目をしっかりと見つめてうなずくと、ロナウドに向かって話し始めた。
「ロナウド様、私は問題ありません。今後のことを、パーティー内で話し合っておくことは大切かと思いますが、いかがでしょうか?」
「……そうだな。では、夕飯を一緒にとろう。私の部屋に来てくれ」
「まぁ、楽しみですわ。それでは、夕飯のときに。ラナ、行きましょう」
「はい。ロナウド様、ありがとうございます。それでは失礼します」
「ああ」
テントの中にエトウがいるのを見つけたとき、ロナウドは明らかに冷静さを失っていた。
エトウの態度もひどいもので、ロナウドの話などまったく聞く気もないといった様子だった。
そのエトウの対応によって、ロナウドはますますうろたえた。エトウがテントを去った後、司令官の話に少ない言葉で応じるのが精一杯だった。
ラナは、ロナウドとエトウが新しい関係を作ることを願っていた。
今のまま、怒りなのか、憎しみなのか、自分への情けなさなのか、一言ではあらわせないほどの感情を抱えているのは、ロナウドにとってよくないと思ったのだ。
そして、その感情が高ぶれば、火の粉が再びエトウを襲うかもしれない。
エトウがこれ以上不利益を被るのは理不尽であるし、そんなことがあればロナウドにも厳重な処分が下るだろう。
ラナはその事態だけは避けたかった。そこでミレイとも話し合って、ロナウドに相談する時間を設けることにしたのだ。
夕食の席で、ラナがロナウドに提案したのは一つだけ。真剣にエトウの提案を聞いてほしいということだけだった。
「こんなことを申し上げるのは心苦しいのですが、ロナウド様はエトウのことで感情的になることが多いです」
ラナは遠慮しながらもはっきりと告げた。
「……それは、認めざるをえんな」
ロナウドは眉間にしわを寄せながら、ラナの意見にうなずく。
「一度だけでいいのです。真剣にエトウの提案を聞いてください。エトウは昔から、作戦などを考えるのが得意でした。王城での講義でも、騎士の先生から何度も褒められていたんです。ロナウド様の豊富な知識で、作戦の可否を判断してください」
「ラナ、それは意味のあることなのか?」
「はい。ロナウド様ならば、現状を克服して、エトウと新しい関係を作って頂けると私は信じています」
「……そうか。あのとき、ミレイとラナが自分を救ってくれなければ、私はいまだに王都の屋敷に引きこもっていたかもしれない。エトウと関係を結ぶことに意味があるとラナが言うならば、それに従ってみよう」
「ロナウド様……ありがとうございます」
ラナはロナウドが自分の意見を受け入れてくれたことに感謝した。




