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28話 六爪

 冒険者ギルドから慌ただしく爆発のあった鉱山へと多くの人が向かう。

 ノアたちは無事を願ってその人たちを見送る。

 まだ、シャマラカにきて間もないノアは信用もないし、冒険者としてのランクも低い。

 連携が特に重要になる救援任務では足を引っ張る可能性のほうが高い。


 静かな街を歩いていると、ぽむとこおりが急に走り出した。

「こらっ、今は追いかけっこなんてしてる場合じゃない」

 ノアは2人を追いかけて街の外れにたどり着く。

 ぽむとこおりは鼻をぴくぴくとさせて何かを探しているようだった。

 2人が見つけたのは大きな穴。


「何者だ!?」

 穴から響いてくる声に驚いてぽむとこおりが距離を取ると、勢いよくオールが飛び出した。

 それも一体ではなく、ゾロゾロと出てくる。


「喋るモグラ? これが街の人の言っていたオールか……」

(でもどうしてこんなところにいるんだ)

 喋るモンスターというのは実はそこまで珍しいものではない。

 ノアもそれは知っていたので喋ったことへの驚きは小さい。

 しかし、オールの群れが街のすぐそばに出てきたことへの戸惑いはありつつも、戦闘態勢を取る3人。


「あれまぁ、どうしてここに人がいるんだ? ガザル殿の派手な陽動には驚いたけど、完璧だと思ったんだけどな」

 ゆっくりと出てきたオールは他の個体に比べて爪が鋭く伸びていた。

 ジグルはガザルが陽動で注意を引いている隙に都市の守りを壊す役目を任されていた。

 オールの中で6人の将軍は六爪(ろくそう)と呼ばれている。

 六爪の中で攻撃に秀でているのがガザルとこのジグルということで、選ばれたのだ。


 ノアは目の前のオールの発言から事態が急を要するものだと判断した。

(陽動……これはかなりまずい状況なんではないか。だが、こいつの言う通りものの見事にほとんどの人が爆発現場に向かっていったからなぁ。問題はこいつらの強さか)


 10体以上の群れに対して3人しかいない。

 鉱山都市全体で注意するほどのモンスターが弱いわけがない。

 多少はオールの話も聞いているノアは戦闘を行うのか、それとも逃げて応援を呼ぶかの選択を迫られていた。

 逃げるにしてもオールの力次第では悪手になる。


「ぽむ、こおり……やるぞ!!」

 ノアは戦闘をすることにした。

従魔強化(テイムアップ)INT、ぽむ、全力でぶっ放せ!! こおりはぽむの守りを」


「めんどくさいなぁ、殺せ!!」

 ジグルは部下に命令を出す。


「くまくま」

 ここは通さんぞとばかりにぽむの前にこおりが立ち塞がる。

 オールの爪とバットが何度もぶつかり合って甲高い音を響かせる。

 その隙を狙った背後からの攻撃を軽やかにジャンプで避けながらバットを振って他の攻撃も防ぐ。

 防御に徹しているこおりの甲斐あってポムの準備が整った。


「メェメェメェメェ、メェェェ(黒き炎は灰すら残さぬ、一切合切灰燼と帰せ、『深淵業火(アビスファイヤ)』)」

 深淵業火は猛々しい黒の火柱を上げてオールたちに炸裂した。


「……!?」

「なかなか、味のある攻撃だったけどさぁ、その程度がどうしたって感じだねぇ」

 ジグルは鋭い爪でススをはたく。

 その動作からも分かるように無傷。


「やはり、格上か……しかし、一体も倒せてないとはね」

 ボスらしきオールには効かなそうな気がしていたノアだが、まさかその部下にも効かないとは思っていなかった。

 できれば数体は倒して時間を稼げればという思惑は外れた。

 後は、天に祈るしかない。


 オールたちが3人に詰め寄ろうとしたところで、一体のオールの足元で風の魔法が弾ける。

 バランスを崩したオールのすぐ横にいつの間にか男が立っている。

 手に握る槍でオールの心臓をひとつきした。

「間に合ってよかったよかった」

 男はこの状況でも余裕の表情を見せる。


「うぅん、強そうな人だねっ!!」

 ジグルは一気に距離を詰めて爪を振りかざす。

 爪は黄色に発行して電気を纏っている。

 男は難なく槍で受け止める。

 槍にもまた電気が走っていた。


「ほう、同系統とは面白い」

「シュレト、遊んでる場合じゃないよ」

 ローブをきた女性が歩いくてる。

 緑の髪が浮いていることから、体に風を纏っていつでも攻撃に移れるように準備しているのが見て取れる。

「然り、街に危機が迫っていますぞ」

 全身鎧に大楯、大剣を担いだ男が歩くとその装備の重量のせいかズシンズシンと大地が揺れているように感じる。

「ちゃっちゃと終わらせてよ」

 もう1人ローブを纏った赤髪の女性が現れた。


「これはめんどくさい……引くぞ」

 その声でオールたちは踵を返して穴に帰っていく。


「逃すわけ!!」

 赤髪の女性が魔法を発動させると炎の鳥が現れて穴に向かって入ろうとするが、その前に氷の虎が穴から出てきて炎の鳥と相討ちになる。


 実はぽむに頼んで深淵業火を出来るだけ目立つように放ってもらっていた。

 結果は予想通りにそれを見て何かあったのだと駆けつけてくれた冒険者たち。

 しかし、ノアの想定よりも早く駆けつけてくれた上に強かった。

 ノアは冒険者4人とギルドに報告に向かう。

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