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24話 ひつじとしろくまとファンクラブ

 ゴブリントロールとの一戦を乗り越えてぽむもこおりも目まぐるしい成長を見せていた。

 ノアは遅まきながら次の街を目指そうかと思っていたのだ。

 他のプレイヤーの多くはとっくに先へと進んでいっている。

 しかし、これはノアが悪いのではない。

 テイマーの宿命というのか、どうしても従魔の育成に時間がかかるのだ。


 1体ならば同じ時間を過ごしているので、そういう問題もないだろうが、2体目、3体目ともなるとレベル差があるために最も下のレベルに合わせることになる。

 ルキファナス・オンラインはパーティを組んでいたとしても功績によって経験値量が変わってくる。

 何もしないで見ているだけでは経験値など雀の涙ほどしか手に入らない。

 さらにいえばパーティを組むのも難しいため、なかなか先へは進めない。

 テイマーが不人気な理由でもあった。


 ノアとぽむが二次職でこおりだけ一次職だったので、こおりのレベルアップを図っていた。

 そして、トロールに勝利したことによってその目的を達することができた。


 こおりは無法者から喧嘩師へと転職をした。

 シンプルに言えばごちゃごちゃとしたスキルとかではなく力で押していく脳筋な職業だ。

 その高いステータスで前衛を果たしてくれる予定であった。


 ノアとしては次の街を目指すと言っても本拠地は帝都から変えるつもりはない。

 なぜなら帝都が最も便利だからだ。

 人も多く、情報や物も集まる。

 東西南北で難易度が変わるため、レベルに応じた冒険もできる。

 流石にもっと上になれば帝都から遠く離れた魔境を目指すことになるが、それはまだまだ先の話だ。


 それがどう曲がりくねって伝わったのか帝都からぽむがいなくなると噂になっていた。

 ぽむのファンクラブは今でも勢いを落とすことなく熱狂的な信者を増やし続けている。

 最近ではこおりのファンクラブもできている。


「ノアさん、帝都を出るというのは本当なのですか?」

 ハンナはものすごい剣幕でノアに詰め寄る。

「私もそんな噂を聞きましたね」

 ロザリーアもハンナほどではないがノアを怪訝そうに見る。


 3人……横で何食わぬ顔でケーキを食べるぽむと、羊羹を食べるこおりを合わせた5人がいるのは、ノアの家。

 といっても本当のノアの家ではなく、そういう店名の場所だ。

 ハンナとロザリーアからぽむとこおりのファンショップを作りたいと打診され、その熱量に押されて二つ返事をしていたところいつの間にかできているノアの家。


 1階がブロマイドやコスプレグッズなど各種アイテムを売っており、2階がぽむとこおりの好物を扱う食事処となっている。

 そんな店のVIPルームに5人はいる。


 立地は帝都の中でも誰もが羨む一等地。

 豪華な建物はファンからの寄付金で一瞬で集まった。

 それどころか二店舗、三店舗と増やせる資金が集まり、すでに計画もできている。

 もちろん売り上げの一部はノアに入ることにっていて、馬鹿にならないほどのお金が動いている。


 ノアもファンクラブの存在を知って、かなりの規模と熱量だと感じとり、コントロールをするべくぽむのファンクラブをハンナに、こおりのファンクラブをロザリーアに任せた。

 ノアが帝都を出るという噂があったのはハンナとロザリーアの耳にも入っていて、ファンクラブの会員から詰め寄られて今の状況だ。


「いやいや、勘違いなんだよ。俺は欲しい素材があるからちょっと帝都を離れるってだけで、予定では2、3日で戻ってくるよ」

 ノアが向かおうとしているのは鉱山都市『シャマラカ』。


 鉱山ダンジョンで潤っている都市であり、武器や防具を作るのに重要な素材が手に入る。

 ノアが求めているのは様々な鉱石だ。

 テイマーの武器といえば鞭、もしくは杖や魔導書などになる。

 アマンダのようなテイマーで前衛をするのを除けば一般的には後衛の役割になる。


 ノアは自分の武器を鉱石にしようかと思っていた。

 鉱石には様々な種類があるが、それこそ爆発するような危険なものから、何も起こらないような外れがある。

 例えば爆発する鉱石を相手に投げれば十分な攻撃手段に変わる。

 うまい具合に加工することができれば状況に応じて使い分けができる。


 ただし、難点もいくつかある。

 まずは使い捨てであること。

 一度発動した鉱石は砕けて使い物にならなくなってしまう。

 そして、そもそも加工ができるのかという問題。

 これに関してあてなどないが、鉱石都市に行けばそういう研究をしている者もいるんではないかと希望的観測を持っていた。


 例え、研究してるものがいなくても素材を持っていれば何かしらには役立つのだから、無駄になるというわけでもない。

 さらに、今のパーティのレベル的にもちょうどいいのだ。


 ノアはそういった思惑をハンナとロザリーアにも伝える。

「なるほど、そうでしたか。それならば大丈夫そうですね」

「ファンクラブの方には心配ないようにと伝えておきます」


 ノアはここに来て有名人がどれほど大変かを思い知らされていた。

 少しの行動が大きな影響になってしまう。

 しかし、ノアにはどうしようもない問題で、諦めるしかなかった。

 懐が暖かくなるのも悪くはないと思っている。

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