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テンプレ悪役令嬢~ヒロインは...~

ヒロインの転生先は、身近すぎるところ。

とある悪役令嬢に転生した一人の元日本人女子高生。

前世の死因は、近くにいた子どもをかばって車にひかれて死亡。

現在は、悪役令嬢を生んだことにより体の弱かった母親が死亡し、家族(父・姉・兄)がら理不尽な扱いをされて虐待されている。

そんな悪役令嬢ことマデリエネ・アディエルソン公爵令嬢。

ヒロインに怯えつつ、冷静な仮面を付けて過ごす日々が、朝の登校時に校舎に入る前に突然終了となった。

アンブロシウス・オングストレーム第三王子によって。

アンブロシウス・オングストレーム第三王子と楽しく愉快な仲間たちは、マデリエネ・アディエルソン公爵令嬢を取り囲み威圧して脅しています。

その中には、マデリエネ・アディエルソン公爵令嬢の兄であるボトヴィッド・アディエルソン公爵令息もいます。

ついでに、姉であるペトロネッラ・アディエルソン公爵令嬢の姿が。

アンブロシウス・オングストレーム第三王子が背中でかばっているつもりのヒロインことシェシュティン・ブロムダール子爵令嬢は、なぜか怒りのステキな笑顔を浮かべています。


「マデリエネ・アディエルソン公爵令嬢、貴様との婚約を破棄する! そして、シェシュティン・ブロムダール男爵令嬢に対して、今すぐ謝罪しろ!」

「アンブロシウス・オングストレーム第三王子様、ひとつよろしいいですか?」

「なんだっ!!!」

怒鳴ることはないと気付かないのは、アンブロシウス・オングストレーム第三王子クオリティ。

それよりも、

「シェシュティン・ブロムダール様は、男爵令嬢ではありません。子爵令嬢です」

そう、シェシュティン・ブロムダールは子爵令嬢なのです。

「そんなことは、どうでもいいだろ!!!」

いちいち、怒鳴らないと気が済まないのがアンブロシウス・オングストレーム第三王子クオリティ。

身分制度が明確なこの世界で、身分制度を無視するかのような発言をするアンブロシウス・オングストレーム第三王子。

素敵ですね。

「と・に・か・く・謝罪しろ!」

「やってもいないことで、謝罪はできません」

「俺様が、謝罪しろっていってるんだから謝罪しろ。フンッ、無知なお前に証拠を見せてやろう。ありがたく思え」

もちろん、無知なほうはアンブロシウス・オングストレーム第三王子です。

彼が疎かにしている公務のしわ寄せは誰がしていると思っているのでしょうか。

国王様自ら、注意しているのにも関わらず無視するのがアンブロシウス・オングストレーム第三王子クオリティ。

それはともかく。

出てくる証拠というのは、どれも明らかに捏造したと分かる物ばかり。

これで断罪が出来ると思うのが、アンブロシウス・オングストレーム第三王子クオリティ。

容赦なく論破するのが、マデリエネ・アディエルソン公爵令嬢。

「往生際が悪いな。妹よ」

血のつながっている家族と思わないくせに、こういう時だけ妹呼びするボトヴィッド・アディエルソン公爵令息。

「素直に、罪を認めればよいものを」

ボトヴィッド・アディエルソン公爵令息は、見下して言った。

「そうね。弟の言う通りよ。家族に恥を欠かせないで」

諭すように言う、ペトロネッラ・アディエルソン公爵令嬢。

ちょっと、ヒロインさん。

ヒロイン顔を捨ててますよ、シェシュティン・ブロムダール子爵令嬢。

そして、どこからともなく取り出したのは釘バット。

そこに、ドーグラス・アディエルソン公爵が登場。

「ボトヴィッドとペトロネッラの言う通りだ。愚かな娘よ。いい加減、自分の罪を自覚したらどうだ。その姿、見苦しいと分からないのか。今まで我慢していたが、お前にはもう、うんざりだ。親子の情など見せぬ。マデリエネ・アディエルソン、お前をこのアディエルソン公爵家から追放する!今後は、アディエルソンの名を名乗るな!」

厳しい声で責め立てる、ドーグラス・アディエルソン公爵。

だがしかし、マデリエネはアディエルソン公爵家が行っていた不正の数々の証拠を国王陛下に提出していたのです。

なんて、ご都合主義とは言ってはいけない。

「マデリエネ様」

「アルヴァー。どうかしました?」

「例の件は、すべて終了いたしました」

「そう、ご苦労様」

「いえ」

ここで出てきたアルヴァーというのは、アディエルソン公爵家の執事見習いです。

ボトヴィッド・アディエルソン公爵令息とペトロネッラ・アディエルソン公爵令嬢は権力を笠に着て執事見習いたちとメイド見習いたちを酷い虐めと嫌がらせをし、その一部の者たちは大怪我やトラウマを負わせられたのです。

その時に、マデリエネに助けられた者たちは彼女に忠誠を誓ったのです。

つまり、ボトヴィッド・アディエルソン公爵令息とペトロネッラ・アディエルソン公爵令嬢の裏の顔の被害者の一人。


自分の息子であるアンブロシウス・オングストレーム第三王子の不甲斐なさを痛感し、ついに覚悟を決める国王陛下。

校舎前で待たされイラついた生徒たちは、国王陛下が歩く道を空け、臣下の礼をする。

国王陛下に気付いたドーグラス・アディエルソン公爵は国王陛下に挨拶をし、

「たった今、我が家に巣くう害悪を断罪したところです。お目汚し、失礼いたしました」

「うむ。ドーグラス・アディエルソン公爵及びボトヴィッド・アディエルソン公爵令息、ペトロネッラ・アディエルソン公爵令嬢。

お主らの罪は、残らずすべて露見しておる。大人しく、裁きを受けるがよい。近衛騎士たち、こやつらを今すぐ拘束しろ!」

「どういうことですか、国王陛下!私どもは、この小娘と違って、悪事は働いていません!」

私を指して、国王陛下に訴えるドーグラス・アディエルソン公爵。

「私を馬鹿にしておるのか。不正・横領・奴隷売買・違法薬物の密輸・希少動物の殺害・不法な森林伐採・友好国への侵略計画、などなどすべて、分かっておるわ!」

ちなみに、希少動物の殺害はボトヴィッド・アディエルソン公爵令息とペトロネッラ・アディエルソン公爵令嬢の罪です。

ストレス発散のために希少動物を好きなだけ心の赴くままに殺害していました。

すべての証拠書類を余すところなく見せられ、ドーグラス・アディエルソン公爵とボトヴィッド・アディエルソン公爵令息、ペトロネッラ・アディエルソン公爵令嬢は崩れ落ちた。

「なんでだ!? 証拠隠滅していたはずだ」

罪を暴かれ、動揺するドーグラス・アディエルソン公爵。

ならばとこう言った。

「国王陛下、この小娘も連座で処罰すべきだ」

「いや、それは無理だ。マデリエネ嬢は、国に忠誠を誓いお前たちの罪をすべて明らかにした。肉親の情にとらわれずに、国の害悪を無くすために動いたのだ。この時点で、連座での処罰など出来るはずなかろう」

「何だと、恩知らずな小娘が! 死ね!」

そう言って、ドーグラス・アディエルソン公爵はマデリエネを殴ろうとした。

そこに、割り込む影が。

そう、シェシュティン・ブロムダールは子爵令嬢です。

「何が恩知らずよ。散々、私の娘を虐待したくせに。死ぬ時に、マデリエネのことをあれほどお願いしますと頼んだのに」

と言って、シェシュティン・ブロムダール子爵令嬢はドーグラス・アディエルソン公爵の顔を釘バットで殴りました。

「わ、私の美しい顔が―――――!」

ドーグラス・アディエルソン公爵は、手で顔をかばい地面にのたうち回りました。

「家族に、なんてことしてくれるんだ! 今までの恩を忘れたのか、この恥知らずが」

と言って、マデリエネを罵倒し剣で斬りかかろうとするボトヴィッド・アディエルソン公爵令息。

「旦那様譲りの選民意識は昔からいけないと教えてたでしょ。母との約束を無視して、旦那様に荷担して妹虐めするなんてなんていけない子」

呆れたように、シェシュティン・ブロムダール子爵令嬢はボトヴィッド・アディエルソン公爵令息の顔を釘バットで殴り倒しました。

「お、俺の美しい顔が―――――!」

父親と同じことを言って、父親と同じように手で顔をかばい地面にのたうち回りました。

「もう、信じられないわ。あの小娘は。私たちのありがたさが分からないから、こんなことが出来るのね」

そう言って吐き捨てる、ペトロネッラ・アディエルソン公爵令嬢。

「やっぱり、あなたはそういう子なのね。昔からのワガママは全く変わらないんだから」

前世で自分の死亡時期を後悔したように言いつつ、ペトロネッラ・アディエルソン公爵令嬢の顔を同じく釘バットで殴るシェシュティン・ブロムダール子爵令嬢。

「わ、わたくしの美しい顔が―――――!」

やはり同じく、手で顔をかばい地面にのたうち回りました。

シェシュティン・ブロムダール子爵令嬢は、マデリエネ同様に転生者。

それも、何処かの時代の日本の女子高生ではなくマデリエネの母親の。

マデリエネは、『ヒロインは、お母様が転生した姿なんて』と内心驚いています。

ですが、いち早く気を取り直し『転生者はお母様』ということを有耶無耶にさせました...させました。


シェシュティン・ブロムダール子爵令嬢の怒りを込めた一撃一撃に、呆然となるアンブロシウス・オングストレーム第三王子と残りの楽しく愉快な仲間たち。

この状況を利用しない手はないと国王陛下は、一気にアンブロシウス・オングストレーム第三王子と楽しく愉快な仲間たち、ドーグラス・アディエルソン公爵とペトロネッラ・アディエルソン公爵令嬢の処罰を言い渡しました。

残りの一生をかけて、男たちは鉱山で労働を、ペトロネッラ・アディエルソン公爵令嬢は綿摘みを。

どちらも、奴隷階級の人たちがする仕事です。

もちろん、彼らは奴隷階級へと身を堕とします。


この後、マデリエネはこの乙女ゲームは第二弾もあって悪役令嬢という役目をリサイクルすることに気付きます。

第二弾は、魔王討伐の物語。

奴隷少女が、主人公です。

『この世界の文字物語で、理不尽な目に遭うのは私で十分です。二代目ヒロインを手中に収め、魔王と攻略対象たちと世界を釘バットで討伐しよう』と決意し、二代目ヒロインを奴隷階級から助け出すのでした。

二代目ヒロイン(マデリエネ同様の転生者)は、マデリエネと協力し魔王と攻略対象たちと世界を釘バットで力の限り殴り倒し、この世界の世界観を破壊するのでした。

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