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卒業パーティーでの婚約破棄~王子と仲間たちの留年~

この話は乙女ゲーム設定ではありませんが、乙女ゲームのヒロインの取り巻きをしている攻略対象って学校を卒業出来るのかなと思いました。

それで、出来たのがコレです。

「クリスタ・リンネ侯爵令嬢! 貴様との婚約を破棄する!」

ムノウ・サマヨウ王子がそう言うと、クリスタ・リンネ侯爵令嬢付きの侍女はムノウ王子をボコボコに蹴り倒しました。

そして、国王陛下は侍女の行いがなかったものとして、

「ムノウ・サマヨウの王位継承権を剥奪する! そして、ムノウ・サマヨウ。 貴様の留年が決定しておる」

「何ですってっ!」

ムノウ王子は、驚きました。

ムノウ王子はボコボコにされたのにいとも簡単に復活しています。

侍女が回復魔法で、強制的に回復させたからです。

「うむ。ムノウ王子の他には、ムノウ王子の側近と媚びを売っているマンディ・ラテ男爵令嬢の留年が決定しているのですじゃ。

生徒会の仕事の放棄、授業の参加回数不足、テストの点数で卒業資格がないのですじゃ」

校長は呆れた顔をして、王子と仲間たちをそう言って見た。

「・・・っ。 しかし、クリスタはマンディに嫌がらせをしているのですよ!」

ムノウ王子は反論するのですが、国王陛下はそれを否定します。

「クリスタ・リンネ侯爵令嬢には無理だ。 彼女は、究極のどじっ子体質だからな。 嫌がらせをしようとすれば、すべて自分で台無しにするのだ。 それに、普段から自分のどじっ子体質で日常に支障が出ておる。 本来なら、王家の影として付けていた者を侍女として付けて日常の補佐をさせているのだぞ」

王家の影を侍女に降格させた娘に、リンネ侯爵は呆れた目を向けています。

そうです。侍女は本来なら王家の影の次期当主でしたが、クリスタ・リンネ侯爵令嬢を野放しにすると危ないので次期当主の座を降りて別の者に譲ったのでした。

「なんで、そんなヤツを王太子妃にするのですか!」

当然の疑問をムノウ王子は国王陛下にぶつけました。

この国の常識だけど。国民全員知っているけれど。

「それはな。 この国の王族男性は、子世代において子種を持つ者は一人しか生まれないからだ。 だから、お前が王太子に選ばれた。

本音を言えば、コントロール・サマヨウが選びたかったのだがな。だが、あやつは残念ながら子種を持っておらぬ。宮廷医術師が確認している」

王子は絶句した。 子種を持つというだけで、王太子であったことを。

両親に一番愛されたわけでも、能力を認められたわけでもないことを。

そして、自分の思い込みで無実の罪でクリスタ・リンネ侯爵令嬢を断罪しようとして王太子だったのに王位継承権を剥奪されたことを。

なにより、どんな劣等生でも卒業できる学園で学園初の留年生になったことを。

意識を取り戻したムノウ王子は、

「いや、それよりも」

国王陛下はムノウ王子の言わんとしたことを思い当たったのか、ムノウ王子の言葉を遮って、

「クリスタ・リンネ侯爵令嬢が王太子妃に決定した理由か。 万が一の可能性を考えてのことだ。 もしも、お前が継承権を剥奪することになれば、彼女しか王太子妃になれない。 なぜなら、彼女は結婚して子どもを産みたくないのだからな。 王家にどこぞの者か分らぬ血を混ぜることがあってはならんからな」

「えっ? そんなことで。 まさか、俺がこんなことをしなければ」

「そうだ。 彼女とは婚約を解消し、別の令嬢が王太子妃になったであろう。 もちろん、その令嬢にはクリスタ・リンネ侯爵令嬢と一緒に王妃教育を受けさせている」

ムノウ王子は、ショックのあまり膝から崩れ落ちました。

相性の悪いクリスタ・リンネ侯爵令嬢と結婚しなくてもよかった事実に。

国王陛下はさらに追い打ちをかけます。

「お前を王籍剥奪しないのは、王族の血を継ぐ子どもを産ませるためだ。 喜べ、その娘の他に街で関係を持った女性たちをお前の妃に迎える。 その女性たちが独身で、同意があればだが。 判断は、宮廷医術師に任せてある。 安心しろ、子育ては王家で責任を持つ」

どこに、安心要素がと王子は思いました。

「それにしても、お前には卒業式・卒業パーティーの案内状がないのにどうやってここに入ったのだ?」

侍女は、

「おそらく、まさか王子と仲間たちが卒業できないと警備兵が思わなかったのでしょう。真面目に、学生生活をおくれば卒業出来ますから」

と、普通に答えました。

国王陛下はしばし考えた後、パーティーを楽しむようにと会場にいる者たちに言って、警備兵を呼んで王子と仲間たちを連行するよう命令して会場を後にしました。

ちなみに、卒業パーティーに王子と仲閒たちを入れてしまった警備兵にはお咎めがありません。

だって、ムノウ王子が悪いから。


ムノウ王子は、学園での留年生活を監視付きで学園生活を送り無事卒業。

離宮にて軟禁され、子種を持つ子どもを作るまで、子作りを頑張りました。


王族で子種も持つ男性は、

親世代(国王陛下とその兄弟)は、国王陛下。

子世代(ムノウ王子とその兄弟)は、ムノウ王子。

孫世代(ムノウ王子の子どもたち)は、●●王子。

という風に、一人だけしか生まれません。

一種の呪いのようなものです。

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