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聖女様の手作りお菓子は最強です~本当は、チョロインになるはずだったんです!!!~

「異世界からごく普通の少女を誘拐・少女の笑顔で世界がよくなる・チョロイン」で考えてみた。

そしたら、聖女様が『そんなことで、絆される訳ねーじゃん』と背後から私の肩に手を置いたのでした。

その結果が、コレ。

イケメン集団が、不幸になります。

イケメン集団の婚約者たちが、NTR?ます。

異世界のある国がおこなった、ごくありふれた異世界誘拐...ではなく異世界召喚。

魔物が溢れて、騎士団では対応しきれなく異世界からごく普通の少女を聖女として召喚したのです。


聖女様を召喚した国の王様は、聖女様に心穏やかに笑顔でいるようお願いしました。

現在・過去・未来、すべてを奪われた聖女様は絶望にくれて悲嘆に暮れる日々でした。

そして、聖女様は国の身分のあるイケメンな少年たちの心遣いによって、元気を取り戻しました。

イケメンな少年たちは、聖女様の取り巻きとなるべく国から選ばれたのです。

もちろん、聖女様には聖女様の身の回りをお世話をする侍女たちも国から選ばれています。


すべてを奪われた聖女様は、なんとか心の折り合いを付けてこの世界で頑張っていこうと決意しました。

その時に、ふと趣味のお菓子作りを再開しようと考えました。

聖女様は神殿で保護されているので、聖女様のお世話係をしている神父様に調理場を借りられないか相談しました。

そしたら、調理場を借りる許可が出たので聖女様は早速お菓子作りを開始しました。

神殿の調理がから出るものすごくいい匂い。

食欲をそそる香ばしい匂いにつられて神殿関係者が、調理場を窺います。

そこには、クッキーが焼けるのを見守る聖女様と期待に顔を輝かせる料理長と料理人たちがいました。

たまたま、神殿を訪れていた王様と普段の王族としての態度をかなぐり捨てて全速力で走る王妃様。

そう、王妃様は転生者だったのです。

この時、聖女様と料理長と料理人たちと神殿関係者は知らなかったのです。

この世界のクッキー第一弾が王妃様に総べて食べられてしまうことを。

できたてのクッキーを冷まして、紅茶を用意する聖女様。

クッキーを食べる準備を始める料理人たち。

そこに、調理室の扉を全力で開ける王妃様登場。

テーブルの上にきれいに置かれたクッキーを王妃様は滂沱の涙を流しながら食べました。

それを見て、オロオロと慌てる聖女様。

唖然とする料理長と料理人たち。

王妃様に追いついた王様がクッキーを手にしようとすると王妃様が王様の手を全力で叩き落としました。

クッキーを食べ終えた王妃様は、「ご馳走様でした。花梨。また、作って下さいね」

王妃様はそう言って、美しい微笑みをしてお城に戻っていった。

慌てて追いかける王様と王様の護衛たち。

翌日、なぜか能力が冴えまくった王妃様が王妃様としての仕事を全力で片付けたのだった。

宰相様は、なまけものな王妃様が仕事をきっちりこなし片付けたことが信じられなかった。

そして、調べて一つの可能性に行き着いた。

聖女様の作ったお菓子を食べたからだと。

それ以降、国の重要な役職に就く者たちの休憩の合間には聖女様の作ったお菓子を食べるようになった。


そのことに気をよくした聖女様は、自分に心を砕いてくれる聖女様の取り巻き(予定)にもお菓子を作るようになった。

聖女様の取り巻き(予定)が自分の作ったお菓子を美味しく食べていると思い込んだ聖女様は、ある日それが思い違いだと知った。

「アレは、なんでしょうね? 人間の食べ物でしょうか?」

と、宰相子息。 この一言を冷静沈着な宰相様が聞けば、怒り狂うでしょう。

「あんなものでも、美味しいと言わなければいけないとはな」

呆れ気味に言う王太子様。 王妃様が聞けば、「あのクッキーは、私のためだけに作ってくれたものなのに!!!」と怒り狂うでしょう。

王様は、「儂、一枚も食べたことないのに...」と深く溜息をつきながら恨めしそうに嘆きます。

「もっとましな物作れないのか、アイツは」

不満を言う騎士団長子息。

騎士団員たちが聞けば、嫉妬と殺意が湧き上がるでしょう。

「あの平凡顔は、ヘラヘラ笑っているだけでいいなんて、狡いよね」

と、ショタッ子魔術師団長子息は馬鹿にしました。

運悪くそれを聞いていた聖女様付き侍女のその1は、怒りのあまり思わず持っていた箒を真っ二つにへし折りました。

それを見ていた魔術師団長と騎士団長は、顔を青くしました。


聖女様付き侍女その1は、聖女様の元に行きストレス発散をしてはどうかと聖女様に提案しました。

聖女様は、悲しみでいっぱいでしたが聖女様付き侍女その1以外にも聖女様付き侍女たちが自分のことを本気で心配していることに気付いて気を取り直し、その提案に乗りました。

翌日、聖女様は聖女様付き侍女その1の提案で魔物狩りに行くことになりました。

同行者は、聖女様付き侍女1と騎士団長と王様と王妃様です。

王様と王妃様に護衛たちは居ないのか?と普通なら思いますが、対魔物戦では護衛たちが足手まといです。

王様と王妃様の方が強いのですから。

何より、聖女様付き侍女その1がいます。

聖女様付き侍女その1は、数年前に調子に乗った魔王にただ一人で挑み数秒で瞬殺した実力の持ち主です。

殺してはいません。引き籠もりにさせました。

以来魔王は、魔王城の自分の部屋から出てこなくなったのです。

魔王は魔物たちの頂点に立つ存在ですが、それだけなのです。

魔物というのは、本来自分勝手なのです。

魔物たちの住む国までは行きません。

国内だけです。

魔物たちは主に森の中で、商人一団や冒険者一行を襲います。

森に着くと聖女様付き侍女その1は、聖女様に城の宝物殿の中から持ってきた伝説の鉄パイプを渡しました。

聖女様は困惑しましたが、聖女様付き侍女その1の説明を聞いて納得して受け取りました。

そこから、聖女無双の始まりです。

鉄パイプで、魔物たちを殴り倒していきました。

魔法なんて使いません。

今は、物理の時代です。

聖女様の活躍に続けと、騎士団・魔術師団・聖女様付き侍女その1・国王様と王妃様が続きます。

聖女様の取り巻き(予定)はというと、聖女様付き侍女たちにボコられています。

聖女様に視界に入らないようにと。

聖女様の活躍はとどまることを知りません。

魔物たちをしばき倒し、異世界スイーツを作り続けました。

異世界スイーツがあると、なまけものな王妃様の仕事がはかどります。

王様と国の重鎮たちは、この世界の平和よりも聖女様はこのためにこの世界に降臨されたと思うようになりました。

聖女様がいると国の士気が上がります。

『聖女』という肩書きよりも、彼女の存在自体に価値があるのです。

聖女様は聖女付き侍女たちを引き連れて、今日も魔物たちを倒します。

そして、魔物たちに襲われている国民たちを助けます。

辺境の村にも行ったりします。

この国の法律で、国の隅々に転移魔方陣があるのです。どんな小さな村でも。寂れている土地でも。


聖女様の活躍が続くと当然ながら、婚約破棄がでます。

聖女様の取り巻き(予定)の婚約者たちとの。

王太子・宰相子息・騎士団長子息・ショタッ子魔術師団長子息は、それそれの婚約者たちから婚約破棄されました。

婚約者たちが、彼らの聖女様に対する仕打ちを知ったからです。

そして、彼女たちは聖女様の婚約者となりいずれ結婚することになりました。

聖女様の取り巻き(予定)は醜く喚き散らしたのですが、彼らの婚約者だった少女たちは「聖女様の方が強くて優しくてカッコイイし、個人として見てくれる」など、彼らよりどれほど聖女様の方が上かと夢見る少女のように語り聞かせました。

聖女様の取り巻き(予定)の親たちは彼らを苦々しく思っており、人一人居ない村に彼らを廃嫡し追放しました。

追放先の村の転移魔方陣は、一方通行になりました。

村からの王都行きは不可、王都からの村行きだけ出来るという風に。

これは、「生活必需品は送ってやるから、魔物たちは自分で対処しろ」と言うことです。


もう、聖女様は彼らに会うことはありません。

聖女様はすべてを奪われたけど、一から自分が必要とするものを得たのです。

聖女様の笑顔を失わせる者は、聖女様の世界から居なくなったのです。

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