息子よ、人間界を支配せよ!~やだ、めんどくさい。他人にこれ以上、迷惑かけるな~
魔王の扱いが、ものすごく悪いです。
魔界の魔王は、飽きもせず人間界の支配を目指してます。
魔界では、「自分一人でやれ。私たちをそんなくだらないことに巻き込むな」とういのが一般的です。
だって、めんどくさいじゃないですか。
もれなく、管理もついてくるのですよ。
諦めてくれないかな。あの、魔王。
はじめまして。私は魔王の配下ではないですけど、一般的な強さの悪魔Aです。
元は、とある国の人間でした。
よくある同僚のパワハラ女に、駅のホームで電車を待っている時に電車が目の前を通ったすぐ後に突き飛ばされて電車に衝突し死にました。
同僚たちが私に対するパワハラ女の所業をイケメン上司に直訴していたのですが、パワハラ女が仕事が一番出来て職務に影響が出るからイケメン上司は見て見ぬふり。
私がイケメン上司にパワハラを告発したと勘違いしたパワハラ女が、私を殺したということです。
パワハラ女もイケメン上司も結婚適齢期だったので、パワハラ女はイケメン上司に媚びを売ってたんですよね。結婚できるように。
それにしても、私を殺す時のパワハラ女の顔がマジで怖かった。
ちなみに、イケメン上司は社長令嬢と婚約していたのですが、私が死んだことにより破綻。
社長令嬢は、人間だった頃の私と幼馴染みで親友だったので私に対するパワハラを黙認していたことをしり激怒。
私のことをかわいがっていた社長も激怒。社長夫人も激怒。
そんなわけで、出世街道爆心中だったイケメン上司は社長親族の問題のある女と結婚させられて閑職に追いやられてしまいました。
あの人、あの容姿からはあの性癖は想像つかないんですよ。
イマゴロ、イケメンジョウシハキットタノシイジカンヲスゴシテイルハズ...キット。
パワハラ女? 駅のホームにあった監視カメラが、パワハラ女が私を殺した瞬間をとらえたとだけ言っておきましょう。
人間の法律なんて、今となっては分りませんし。
現実逃避に人間だった頃を回想していたのですが、魔王は無慈悲に人間界を支配する礎を作るといった。
生まれたばかりの自分の息子を愛情深い子供を心底欲しがる人間の夫婦の元に置いてきたのだ。
これにより、魔王妃様は魔王を半殺し。
こうして、魔王は生死の境を彷徨いつかの間の平和が魔界に訪れることになった。
魔王の所業により、晴れて魔王と魔王妃様の離婚は成立。
元魔王妃様は、離婚後に出来た恋人とラブラブ生活満喫中。
魔王が目覚める一ヶ月前に、元魔王妃様は恋人と結婚したのでした。
めでたし。めでたし。
ある日、突然、平和が壊される。
魔王が目覚めやがったのです。
永久に永遠に未来永劫、一生起きずに寝ていればいいものを!!!
魔王が目覚めやがっての第一線は、
「妃がいない。 どうなっている?」
でした。
私は懇切丁寧に、魔王の所業で見事離婚が成立したと伝えました。
怒り狂った魔王が、起き上がり歩こうとしたところで私は手加減なしに魔王の急所を蹴り上げました。
魔王は、気絶しました。
翌日、なぜか再び目覚めやがった魔王は
「油断したな! 悪魔A。今頃、我が息子が人間界をしているはずだ」
意味不明で理解不可能な得意顔になった魔王は、喜び勇んで人間界に降りていった。
そこにあったのは、住宅街に立ち並ぶごく普通の一軒家だった。
しかし、普通ではなかったのです。
大勢の天使たちが攻め込んでいました。
彼らに立ち塞がっているのは、ごく普通の人間の夫婦。
彼らは、私が人間だった頃に憧れてやまなかった釘バットを持って天使たちの顔を攻撃していました。
(天使は美形だけです)
学校帰りの12歳の少年が慌てて来ました。
「パパ! ママ!」
少年は、人間の夫婦を心配して叫びました。
「大丈夫よ。心配しないで、家に入ってなさい」
人間の女性は、少年に向かって慈愛に満ちた声でそう言いました。
「うん。分った」
少年が家に向かって歩き出したところで、空気の読めない天使が少年に襲いかかろうとしました。
私は、その天使を蹴り殺す程度の威力で蹴飛ばしました。
これでは、この人間の夫婦と少年に説明できませんね。
私は天使たちの動きを止めて、人間の夫婦と少年に家に入っててもらうことにしました。
そして、天使たちはR15指定な方法で私に殺されたのです。
R18指定にしなかったのは、私の優しさですよ?
私は人間の夫婦の家の扉をノックして家に入りました。
なぜか顔を青くした魔王もなぜか家に入りました。
気を取り直した魔王は、
「よくやったな、我が息子よ。うまく人間界に入り込めたものだ。この調子で、人間界を支配するぞ」
それにブチ切れたのが、人間の女性。
「この子は、私たちの子どもです。 今更、父親面してこないで」
人間の男性も同調して、
「そうだ。 自分の息子を捨てておいてよくそんな堂々と出来るな! 恥を知れ!!!」
それにしても、よく人間の夫婦は自分の息子が魔王の息子だなんてよく納得したな。
私の疑問が顔に出てたのか、人間の男性が説明してくれた。
曰く、自分たちの息子は自分の出生の秘密を知ってて人間の夫婦に説明していた。
人間の夫婦は、そのことを受け入れ自分の息子として育てることを新たに決意した。
曰く、ものすごく高位の神様がこれからやって来る天使たちや神様たちのことを説明し「天使と神様を殺す許可を与えた」そうです。
その神様が言うには、「自分の正しさしか信じない殺人狂集団には手を貸さない。彼らは、死後消滅あるのみ」とキレすぎて無表情になっていたそうな。
あの者たちは、自分たちにとって絶対に怒らせてはいけない神様を怒らせていた。
私はというと、殺す許可を与えたというところで彼らが怒らせてはいけない神様が殺人狂集団の信者たち(人間たちのこと)を殺す許可も与えたことに気付きましたが、これは人間の夫婦と少年に言わないことにしました。
彼らは、人間なので人間の法律的に「殺人罪」になってしまいます。
ですので、これは私が引き受けましょう。
自分の出番が来たと魔王は立ち上がり自分の正しいと思い込んでいる目的を言おうとしました。
そこで私はすかさず、魔王の急所に蹴りを入れ気絶させました。
そして、人が入り込めない山奥深く転移した私は魔王を地中深く埋め込んで戻りました。
戻った私は、人間の夫婦と少年に魔界にいる悪魔がどう思っているのかとか魔王のことを説明しました。
人間の夫婦と少年は、悪魔たちの意思を無視した魔王の決断にドン引きしました。
人間の夫婦と少年は私が人間の姿でいることに疑問を持ったようですが、生前が人間だったことを言うと納得して事情を聞きませんでした。
魔王と違って、空気が読めるようです。感動しました。
人間の夫婦と人間の夫婦に愛情深く育てられた少年は、魔王と神たちと天使たちと違って他者を気遣えるようです。
この後は、午後の優雅なティータイム。
私は、人間の夫婦と少年と暮らすようになりました。
人間の夫婦は、在宅での仕事。
少年は、学校。
私は、殺人狂集団と信者たちの滅殺。
私が嬉々として、彼らの滅殺をしていると知った悪魔たちが羨ましがって参戦するようになります。
殺人狂集団の滅殺をする悪魔たちにだけに、善意と良識のある人間を守るのを任せられないと思ったのか殺人狂集団とは関係ない天使たち神様たちも参戦してきました。
天使・悪魔・神なんて、どこからともなく湧いて出る存在ですしね。
それにしても、天使・悪魔・神を当たり前のように受け入れる人間の夫婦がすごい。
天使・悪魔・神から、この人間の夫婦がいる場所が『聖地』認定されるまでもうすぐそこまで______________




