ガンバレ、ヒロインちゃん~きっと、愛が見つかるはず~
婚約者から悪役令嬢に婚約破棄する場合、「真実の愛」が多いので魔法の呪文にしてみた。
短いです。
「最★強★魔法★”真実の愛”」
ヒロインちゃんは、そう言って魔法を発動し決めポーズをした。
(注:美少女変身ものの決めポーズを想像して下さい)
「フハハハハッ、我が弟...、じゃなかったヒロイン。貴様の力はそんなものか!!!」
魔王は、不遜な態度で言い切った。
「クソッ、クソッ、クゥソッッ、クソォッッッ!!!!」
ヒロインちゃんは、美少女のしてはいけない行動である地団駄を思いっきり踏んだ。
魔王の部下の四天王は、楽しそうな魔王を引き摺って『うちの魔王が、すんません』という視線を私によこし去って行った。
おはこんばんは。
この世界で、裏の実力者と呼ばれる悪役令嬢の専属転生モブ侍女です。
ここは、『真実の愛、それは最強の魔法を呼ぶ魔法の言葉』という乙女ゲームの世界。
剣と魔法があり、別に魔王を倒さなくてもいい世界。
テキトーな数の攻略対象者がいます。
ヒロインは、攻略対象を狩り終えて魔王を倒すのに失敗に終わりました。
「なんで、なんで、なんで。全部失敗したじゃない。最後の砦、攻略難易度・超イケメン・スーパーボイスの王太子様だったのに!!!」
「甘いわね、ヒロイン」
「悪役令嬢!!!」
ここで、登場。
我が主であるドS系美女悪役令嬢様。そして、オマケのように隣にいる悪役令嬢様の婚約者。
「あなた、見た目で選ぶからそうなるのよ。ほら、見て私の素晴らしい婚約者を」
うっとり婚約者を見る悪役令嬢様。
鼻の穴を大きく開けて信じられない顔をして見るヒロイン。
分かりますよ、その気持ち。
しかし、そのちょー太った婚約者はドMなのです。
婚約者のヒールで踏まれるのが大好きなドMなのです。
大事なことなので、二度言いました。
己を性癖を満たせる素敵な関係。
絶対に、真似したくない。
「見てみなさい、ヒロイン。我が婚約者のステータスを」
私に命じて、悪役令嬢様は婚約者のステータスをオープンさせました。
(注:ヒロインと悪役令嬢様と悪役令嬢様の婚約者と私にしか見えない仕様)
そして、膝から崩れ落ちるヒロイン。
「うそっ、どの攻略対象よりも高スペック・ハイスペックじゃない!!!」
絶望するヒロイン。
ヒロインは、どうやら大事なとこを見ていない模様。
表示されているステータスには『性癖:ドM』があるのに。
「ふふふっ、ヒロイン。あなたの間違いは決められた相手から選んだことよ」
ハッと顔を上げるヒロイン。
「確かに、決められた相手から選ぶのが簡単なのかもしれないわ。でも、ここにはあなたや私の意志がある。私たちは、ここで確かに生きているし存在しているのよ」
勝ち誇って言う悪役令嬢様。
「ずるいわ。私より先に運命の相手に出会えるなんて。まさに、悪役令嬢!!!」
指さして、ヒロインは言った。
それ、悪役令嬢と違うがな。
「ふふふっ。幸せのおすそ分けをして上げてもいいわ、ヒロイン」
「本当ですかっ!!! 次の相手を見つけないといけなかったんですよ。 ありがとうございます!!!」
目を見開いて、信じられない顔をしてヒロインを見る王太子様。
「マリーア、俺を捨てるのかっ!」
今更ですが、ヒロインはマリーア・シンジツと言う名前です。
「ごめんなさい、王太子様。どうやら、私と王太子様では真実の愛にたどり着けなかったんです。だから、ごめんなさい。私の使命は、師...じゃなかった魔王を倒すことなんです。『最★強★魔法★”真実の愛”』を発動させる恋をしないといけないんです」
どうやら、ヒロインと魔王は『自分の中にある設定』を忠実にしたいらしい。
はた迷惑な。
王太子様は、国王陛下に引き摺られて退場していった。
国王陛下は、『うちの王太子が、すんません』という視線を私によこし去って行った。
ちなみに、王太子様はゲームでは悪役令嬢様に婚約破棄しますが、現実では悪役令嬢様に婚約破棄されています。
身分がどうとかと言うより、国の最高権力者である国王陛下だって悪役令嬢様の父上様である宰相様が怖いんだもん。
ちょっと可愛く、国王陛下はそう言っていた。
ぶっちゃけ、キモかった。
「さぁ、行こう。我が咲き誇る一輪の薔薇女王」
そっと、悪役令嬢様に手を差し出す悪役令嬢様の婚約者。
その手に手を重ねる悪役令嬢様。
そして、ヒロインに手を差し出す悪役令嬢様。
「行きますわよ、ヒロイン。『最★強★魔法★”真実の愛”』を発動させる手伝いをしますわ」
「はい。頑張ります!!!」
悪役令嬢様と悪役令嬢様の婚約者にそう言って、ついて行くヒロイン。
頑張れ、ヒロイン。
倒さなくても困らない魔王を倒すその日まで。
続く
続きません。
「!!!」が多いですが、仕様です。




